250cc以上のバイクオーナーには、2年に1度の車検義務があります。
も普段から通勤・通学などでバイクを使うライダーならまだしも、週末に楽しむ程度の場合はうっかりして車検が切れてしまっているということも意外と多いのでは?
でもそんな週末限定ライダーほど、「車検が切れたのなら仕方ない。とりあえずそのまま置いておくか!」なんて考えていませんか?実はそれって本当に損なのです。
もちろん期限が切れた状態で公道を走らせていれば、車と同じように違反や罰則の対象になります。でも車ほどあまり知られていないのが、バイクの車検に関する情報です。
でもこれだけの説明だと「車検切れのまま放置しておくと損をする」という理由が分からないままですから、きっとそのまま放置を続けてしまうはずですよね?
そこで今回は「なぜ損をすると断言するのか」という答えと併せて、車検が切れてしまったバイクの為に知っておきたい4つの対策を紹介します。
1. 車検切れのバイクを保管しているだけでは損をする?!
普段は車で通勤・通学をして週末だけバイクを楽しむ「週末限定型ライダー」の場合、意外とバイクの車検期限のことを忘れていたりします。
確かに車の場合はフロントガラスに期限が記入されたステッカーが貼られていますから、運転している間でも目につきやすく意識しやすいものです。
でもバイクの場合はナンバープレートにステッカーが貼られているため、普段からバイクに乗っている人でも意外と見落としがちです。
だからといって期限が切れた状態のバイクを運転していると、違反になり罰則が科せられます。でも本当にやってはいけないのは、「期限切れのまま放っておくこと」なのです。
1-1. 車検が切れたバイクにも軽自動車税が毎年かかる
バイクのオーナーにも、車のオーナーと同じように税金の納付義務があります。二輪車の場合は軽自動車税がかかるのですが、納付額は排気量によって細かく分かれています。
しかも2016年4月から二輪車に対する軽自動車税も増税され以前よりも約1.5倍金額が高くなっています。
つまり車検の期限が切れていたとしても、あなたがバイクのオーナーであり続ける以上毎年4月になれば軽自動車税を払い続けなければいけないわけです。
では増税後の軽自動車税がどれだけ上がっているのか、増税前と比較してみましょう。
排気量 | 増税前の軽自動車税 | 増税後の軽自動車税 |
50cc以下 | 1000円 | 2000円 |
51~90cc以下 | 1200円 | 2000円 |
91~125cc以下 | 1600円 | 2400円 |
126~250cc以下 | 2400円 | 3600円 |
251cc以上 | 4000円 | 6000円 |
通勤・通学でバイクを使うとなれば250cc以下の原付またはバイクがメインになると思いますが、週末に思いっきり走りを楽しみたいというライダーとなればやはり251cc以上の中型以上のクラスになるはずです。
増税前であれば5000円でおつりがくる程度ですから、放置していたとしても考え方によっては車検を通すよりは安く済むと感じるかもしれません。
でも1年間で6000円も税金で取られるとなると、かなりもったいないと思いませんか?
もちろんバイクだって長期間放置していれば、いろいろな部分に不具合が出てきます。そうなれば修理や部品の交換箇所だって増えてきますから、車検にかかる費用もかなり膨らみます。
もしも今後もバイクを乗り続けようと考えているのであれば、車検が切れた状態のままエンジンもかけずに放置するよりもきちんと車検を通して定期的に乗っている方が費用面でもかなりお得なのです。
1-2. 車検切れのバイクに乗った場合の罰則
期限が切れたバイクはあなたがどんなに「走っていて問題がない」と思っていても、法律上では「安全走行ができないバイク」とみなされます。
特にバイクの場合は車の事故よりも重大な事故になる危険があるため、きちんと整備・点検を行っていなければ安全に走りを楽しむことは出来ません。
このように言ってしまうと、「無謀な運転をするわけじゃないから大丈夫だよ」と思われてしまうかもしれません。
でも法律で「バイクのオーナーには車検を通す義務がある」とされている以上、違反すれば罰則の対象になります。
ちなみに期限切れのバイクで公道を走った場合、「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」「30日間の免許停止」だけでなく、前歴がない場合でも違反点数が6点付きます。
「たかがバイク」と思っていたかもしれませんが、車と同じ位バイクの場合も期限切れの場合の罰則は厳しいのです。
自賠責も切れるともっと重い処罰の対象に!
バイクのオーナーになる以上、自賠責にも加入する義務があります。自賠責は「強制保険」といわれるもので、事故を起こした場合の被害者の補償のためオーナーには加入する義務があります。
もちろん車検を通す時には自賠責保険証も必要になりますから、契約する際は基本的に24ヶ月契約となります。
ちなみに「車検&自賠責切れ」で公道を走らせた場合は、「1年6カ月以上の懲役または80万円以下の罰金」「90日間の免許停止」となる上に、前歴がなかった場合でも違反点数が12点付きます。
2. 車検が切れたバイクの4つの対策
うっかりミスだったとしても期限が切れてしまった状態では、公道を走ることは出来ません。でもちゃんと車検に通せば、これまでのように快適なライダーライフを楽しむことが出来ます。
そのために知っておいてほしいのが、次の「4つの対策」です。
2-1. 再度車検に通してバイクに乗る
・メリット
「うっかり期限を忘れていただけで、これまで通りライダーライフを楽しみたい」というのであれば、素直に車検を通すのが一番です。
バイクにも相性がありますから、「車検が切れたから、新しいバイクに乗り換えよう」とはいかないのがライダーの本音なはずです。
癖のあるバイクほど愛着がわきますし、同じタイプのバイクでもエンジン音やスタートの加速力は違います。だからこそバイクは最高の相棒なのです。
これからもあなたの相棒と一緒に走りを楽しみたいのであれば、やはり素直に車検に通してあげましょう。
・デメリット
公道を走れない状態なのですから、車検を通すにしても移動方法を確保しなければいけません。
無料でバイクショップが引き取りに来てくれるのならばよいですが、トラックなどバイクを積み込める車を準備する必要があるため別途費用を請求されます。
もちろんエンジンをかけなければ公道を通ることは出来ませんが、手で押して車検場またはバイクショップに持ち込むのはかなり体への負担がかかります。
2-2. そのままバイクを売る
・メリット
週末だけの楽しみであれば、車検が切れたのをきっかけに思い切ってバイクを売ってしまうのも一つの方法です。
状態が良ければあなたが思っている以上の査定を出してもらうこともできますし、その分税金等バイクの維持費にかかる費用をカットすることが出来ます。
・デメリット
一度手放してしまうと、次にバイクを購入しようという気持ちになかなかならないのがバイクです。車なら通勤・通学のほかに家族でレジャーに出かける時にも使えますが、バイクの場合は定員が1~2名と限定されます。
それだけにバイクは、家族構成やライフスタイルが変わっていくとどうしても車よりも優先度が下がってしまいます。
だから一度手放してしまうと、バイクから遠ざかってしまう傾向が強いです。
2-3. 名義変更をして譲る
・メリット
せっかく手入れをしてこれまで大事に乗ってきたバイクです。だからこそ全くの他人の手に渡るより気心の知れた友人などに譲った方が、ライダーの本音からいえば嬉しいはずです。
しかも譲る相手が友人であれば、たとえあなたが所有者でなくなったとしてもタイミングさえ合えば相棒だったバイクに会いに行くこともできます。
・デメリット
同じバイク仲間だとしても、人それぞれ好みのバイクは違います。
またバイクは乗り手の癖によってかなり個性が出やすいですから、いくら友人であってもあなたと同じようなタイプのライダーでなければそう簡単に引き取ってはもらえません。
逆に言えば、バイクショップや買取業者に買い取ってもらった方が早く次の乗り手が見つかるとも言えます。
2-4. 廃車手続きをする
・メリット
バイクの場合は車よりもユーザーが限定されます。それだけに状態が悪いバイクの場合は、買い取りを希望しても値段がつかないこともよくあります。場合によっては引き取りだけで料金を請求されることもあります。
このような状態の場合は、廃車手続きをしてしまった方が断然得です。手続きもすぐにすみますし、不要な税金を納める必要もなくなります。
・デメリット
廃車するにしても、バイク本体の処分の問題があります。パーツだけでも利用する価値がある場合は買取業者が引き取ってくれる可能性がありますが、全く価値がないと判断された場合は処分費用がかかります。
3. 車検切れのバイクを再度車検に通す方法
期限が切れてしまったとしても、車検さえ通してしまえば何の問題もありません。でも期限が切れたままでは、車検場に持ち込むこともできません。そんな時は、次の方法を検討してみてください。
3-1. 仮ナンバーを取得してユーザー車検に出す
長くバイクと付き合っていれば、ある程度チューニングなどは出来るはずです。そもそもバイクの車検は「安全な走行が出来る状態」であれば通ります。
もちろん保安基準がありますが、ある程度のチューニング知識があればユーザー車検でも十分に通ります。
ユーザー車検にする場合は、仮ナンバーさえとればちゃんと公道を走ることが出来ます。仮ナンバーは申請書類を準備し窓口に申請すれば、その日のうちに発行してもらうことが出来ます。
3-2. サーキット場専用バイクとして乗りつつタイミングを見て車検に出す
車検が切れた状態ですから、「公道」を走れば違反です。逆に言えば、公道でなければまだ走ることは出来ます。
もちろん楽しむことが出来る場所はかなり限定されますが、これならエンジンをかけないことによるバイクの劣化は防げます。
車と違ってバイクの場合は優先度がかなり下がってしまうので、車検にかかる費用を捻出するのもちょっとした苦労がいるのはわかります。
でも一度手放してしまうとなかなか次に購入しようという気に慣れないのもバイクです。あくまでも「車検のタイミングと費用が準備出来るまでの応急対策」という程度で参考にしてくださいね。
4. 車検切れのバイクを売る方法
車検切れのバイクを売るには、「個人売買」「オークションサイト」「バイク買取業者」などを利用するのが一般的です。
中間マージンがカットできる個人売買は最も高く売ることが出来る方法ですが、トラブルも多いのがデメリットにあります。
オークションサイトの場合は、あなたの所有するバイクの需要によって結果が大きく分かれます。
人気のある車種や状態の良いバイクの場合は高値で取引が出来ますが、「状態が悪い」「年式が古い」「癖があるバイク」などの場合はなかなか値がつかないこともあります。
最も安心なのはバイク買取業者ですが、買い取りの査定価格は業者によって様々です。また無料で査定してくれる業者も限られているので、条件によってメリットでもありデメリットであると感じるでしょう。
5. 車検切れのバイクを名義変更して譲る方法
期限が切れていても名義変更することは出来ます。車検証とナンバープレート、譲渡証明書があれば、後は譲った相手が名義変更手続きをすれば問題ありません。
ただし譲った相手が名義変更する際には、上記以外に本人確認が出来る書類(免許証でOK)と認印、住民票(取得から3か月以内のもの)が必要です。
6. 車検切れのバイクを廃車にする方法
陸運局に廃車届けをすれば、車検が切れていたとしても廃車出来ます。ただしバイク本体の処分は別途必要です。
バイク本体を処分する場合は、一般的に解体業者を利用します。解体費用は業者によっても異なりますが、1~2万円が相場です。
7. 車検切れバイクの扱い方まとめ
バイクであっても車検が切れた状態で公道を走れば、違反となり処分の対象になります。でも車と違ってライフスタイルや家族の構成が変わってくると、家の中での重要度が車よりも圧倒的に下がってしまうのがバイクです。
ですから期限が切れた後のバイクのことを考える時に重要なのが、「これから先もバイクを乗り続けたい」という素直な気持ちがあなたにあるかどうかにかかってきます。
一度手放してしまうとなかなか次に新しいバイクを購入するタイミングが見つからないですから、これから先のこともじっくりと考えて検討してみてくださいね。