「外車の車検=高い」というイメージが根強く存在します。
BMWを購入すると、購入したディーラーで車検を受ける場合が多く、その際に高くなってしまう事が主な原因でしょう。
しかし、ディーラーの価格設定にはきちんと理由がありますし、ただ単純に価格を釣り上げているわけではありません。
とはいえ「少しでも費用を抑えたい!」というのが消費者心理ですよね。
昨今では多くの民間車検業者があり、費用の安さを売りにしている業者も多いです。
「安い=リスクがある」と考える人も多いとは思いますが、ディーラー車検と比較した時に、具体的にどのような違いがあるのかを知らない人も同様に多いです。
そこで今回は、「ディーラー車検はなぜ高いのか」や「民間車検は本当にリスクがあるのか」について解説し、民間車検業者を上手く活用する方法などについても分かりやすく解説していきます。
1. BMWディーラーの車検費用の相場はいくら?
1-1. 初回車検の費用相場
まずは新車時から数えて3年目の初回車検をBMWディーラーで行った場合の費用についてですが、相場を見てみますと、およそ14万5000円前後であるという事が分かりました。
もちろん修理箇所、パーツ交換が多い場合はこれ以上の金額になってしまうケースもありますが、大半の場合はこの近辺の金額に集約しており、この金額は国産車の初回車検を各メーカーのディーラーで行った場合と大差が無い結果になりました。
つまり、初回の車検に関しては、ディーラーの車検に関しても「高い!」と驚愕するような金額ではないというわけですね。
また、BMWの自動車には、新車購入時に3年間のメインテナンスパッケージ”BMW サービス・インクルーシブ・プラス”が標準装備となっており、鍵の紛失や破損、盗難などの補償、タイヤのパンクなどの補償、無料の点検や24時間サポートなどが含まれます。
こういったサポート体制があることから、初回の車検で複数のパーツ交換が必要になる事が起こりづらいという事も考えられますね。
1-2. 2回目(5年目)以降の費用相場
冒頭で書いた「ディーラーで車検=高い」という図式は、2回目以降の車検のイメージから語られていると言っても過言ではありません。
シリーズや車の状態などにもよりますが、場合によっては50万近くに金額が上がってしまう事もあります。
しかし、逆に20万以下(15~16万程度)で収まるという事もありますので、一概にディーラー車検が他と比べて飛躍的に高いというわけでもありません。
2. BMWのディーラー車検は高い?!オートバックス(民間車検)と費用を比較
では実際にディーラー車検と、民間車検の費用について比較してみましょう。
今回は民間車検の例として、オートバックスで車検を通した場合を挙げ、高額とされる2回目以降の車検費用を比較します。
シリーズ | BMWディーラー | オートバックス(民間車検) |
1シリーズ | 約150,000円 | 約90,000円 |
3シリーズ | 約150,000円 | 約105,000円 |
6シリーズ | 約160,000円 | 約105,000円 |
7シリーズ | 約170,000円 | 約105,000円 |
大まかな計算ですが、上の図のように明確に費用に違いが出てきます。
交換が必要なパーツなどによって上下するため、あくまで平均的な数値ではありますが、実際にディーラーで車検を受けられた方、オートバックスで車検を受けられた方のそれぞれの費用から算出しますとこのような数字になります。
上記の図ですと、ディーラーとオートバックスには約1.5倍とも言える5万円以上の差が出ていますので、やはり費用で考えると民間車検の方が圧倒的にメリットがあると言って間違いありません。
しかし、自動車は日常的に使用するものですし、命を預けるものでもありますので、安ければ良いというものでもありませんし、内容や整備士の質、パーツの質などを加味した上で納得の出来る車検を受けたいところですよね。
3. BMWの車検費用が2回目(5年目)以降に高くなる理由
では、BMWの車検費用がどうして2回目以降は高額なのかについて解説していきましょう。
国産車との違いはどこにあるのでしょうか。
3-1. 車検費用の内訳
・法定費用
法定費用に関しては、どのような自動車にも掛かるものですし、ディーラーと民間車検、外国車と国産車などの違いはありません。
車両の重量が2t以下の場合を例に挙げますと、自賠責保険が25,830円、重量税が32,800円、手数料や印紙代を併せて1,800円となり、合計で60,430円になります。
こちらの金額は、車検を受けるにあたって、”手続き面の基本料金”のような認識で良いかと思いますね。
・車検整備費用
法定料金が”手続き面の基本料金”とすると、こちらの車検整備費用は、実際に検査を行うにあたって発生する基本的な費用であると言えます。
同じく2t以下の費用を挙げますと、ディーラーでの基本工賃は約37,000円、総合検査料に10,800円、車検代行費用として約9,700円というようになります。
こちらには交換パーツなどの料金は含まれていませんので、あくまで車検の検査部分の基本料金であると言えます。
国産車の車検整備費用と比べますと、基本工賃に当たる部分が2万円近く高く、検査料も若干高いため、この時点で国産車と比べると割高であると考えられますね。
3-2. 5年目、7年目を迎えるBMWは部品の交換時期
BMWの2回目以降(5年以降)の車検が高くなる理由として、”パーツの寿命”が大きく関わってきます。
エンジン回りや水回りなど、ほぼ全てのパーツにおいて国産車よりも寿命を迎えるサイクルが早いんですね。
そのため、2回目以降の車検を受けるタイミングでパーツ交換を余儀なくされる事が多く、それによって費用が上がってしまうという事なんです。
3-3. BMWは部品交換や修理費用、工賃が高い
BMWはそれぞれのパーツ自体も国産車と比べて割高ですが、交換費用や修理費用、それにあたって発生する工賃も高いです。
例えばオイル交換ですと、BMWはメーカー純正のオイルを使用しますので、オイルそのものも比較的高額になります。
ディーラーにオイル交換を任せた場合、オイル交換の工賃、フィルター交換、点検費用などが合わさり、合計すると25,000円ほどになる場合があります。
オイル交換だけでこの費用ですから、メンテナンス費用の高さはご理解いただけるかと思います。
3-4. 実はディーラー車検は外注マージンがかかる
ディーラーでの車検に関しては、持ち込んだディーラーが修理や点検をするとは限りません。
ディーラー自体に整備施設が無い場合がありますし、車検や修理のための人材がいない場合もあります。
そういった場合は他の整備工場などに外注する事になるわけですが、外注すると外注先に支払う賃金(マージン)が発生してしまいます。
そうなると「BMWディーラーじゃない整備場が行うなら、民間車検と変わらないのでは?」という声が聞こえてきそうですが、BMW含めほとんどのディーラーは技術や施設環境の水準を設けており、高水準の整備が可能な整備場に外注します。
賃金を払ってブランド価値を下げる仕事をされてしまっては、メーカー側も本末転倒ですので、BMWからきちんと認められた整備場で車検が行われるという事なんですね。
そういった経緯があるため、外注マージンの分の費用が上乗せされ、結果として車検費用が高くなる一因となってしまうわけです。
4. BMWのディーラー車検と民間車検の違い
4-1. 車検費用の違い
これについては上でも書いてきましたが、トータルの費用で考えると約1.5倍の差が出る場合が出てしまうほど違います。
民間車検ですと、法定費用約6万円にプラス2〜6万円ほどが相場となっており、ディーラー車検の場合は、法定費用にプラス5~10万円ほどの相場ですので、費用の違いについては歴然としていると言えるでしょう。
4-2. 車検内容(点検・整備内容)の違い
ディーラー車検の場合、通常の点検や整備にプラスで”予防整備”が行われます。
予防整備とは、車を安全かつ長く乗る為に、故障してしまう前にパーツの交換をしたり、その他の整備をするというものです。
運転中に故障してしまうと、事故の原因にもなりますし、連鎖的に他のパーツにも被害が及んでしまいます。
それらを未然に防ぐ意味でも、ディーラー車検の予防整備は大きな意味を持っていると言えるわけですね。
4-3. 信頼性の違い
信頼の置き方は人によって異なると思いますが、専門的知識を持っているメーカーに預ける事に信頼性を感じる場合はディーラー車検の方が良いと言えるでしょう。
しかし、行きつけの整備場やショップがあったり、技術的に信頼している整備士がいたりする場合、民間車検の方が信頼性が高いとも言えます。
5. BMWの車検を民間車検で受けるメリット・デメリット
5-1. メリット
費用の安さ
車検を受けるにあたって一番気になってしまう部分が費用かと思いますので、ディーラー車検に比べて格段に安く抑えられる事は大きなメリットであると言えるでしょう。
昨今ではディーラー以外の整備場やショップでも、設備が整っている場合が多いため、決して「安かろう悪かろう」ではない事もポイントです。
”修理”の範囲が幅広い
ディーラーでの車検の場合、少しでも不具合が見受けられた場合はパーツ交換を余儀なくされる事がほとんどで、その分費用も嵩んでしまいます。
しかし、民間車検の場合は、代替品や溶接での修理で済む事もあり、それによって費用を大幅に抑えられるというメリットがあります。
もちろん何でも修理出来るわけではありませんし、可能な範囲は整備場によって幅があります。
純正パーツだけでなく汎用パーツでの対応も可能
ディーラー車検の場合は、「交換=純正パーツ」となってしまいますが、民間車検の場合は純正パーツではない汎用パーツとの交換が可能なケースも多いです。
「純正パーツじゃないとイヤ!」という拘りがある人には難しいですが、交換費用を抑えたいと言う人には大きなメリットですね。
5-2. デメリット
・技術力や設備環境にムラがある
「せっかく預けるなら技術力の高い整備場に預けたい」と誰もが思いますが、”技術力”というのは漠然としたものですので、良い整備場を見極めるのは難しいです。
ディーラーと提携している整備場は、一定水準以上の技術や設備が整っているため、ディーラー車検と比べて、見極めの手間が掛かってしまうのがデメリットであると言えるでしょう。
・コンピューター関係の機器に弱い
最近の車はメーカー独自のコンピューター制御システムや、センサーなどを搭載しているものが多く、そういった機器をチェックするための外部診断機や工具を持っていない場合があります。
ディーラー車検の場合は、提携整備場に機器が支給されるので心配はないのですが、民間車検の場合は、整備場が揃えている設備や方針などに頼る部分が大きいため、整備場に車を持ち込んでも断られてしまうケースも考えられるわけですね。
また、ディーラー提携の整備場に比べて、民間の整備場の従業員の平均年齢が高いというデータもあり、整備士が最新の車に搭載されている機能を把握できていない事や、機能自体を扱えないという事も起こっているようです。
・整備を除くサービスの充実度が低い
ディーラー車検の場合は、車検終了後に無料で自宅まで配車してくれるサービスがありますが、民間車検の場合はそれがありません。
また、営業日に関しても平日の昼間しか受け付けてくれない整備場が多く、土日は休みというケースがほとんどです。
車検のために、自分自身のスケジュールが左右されてしまいやすいのはデメリットと言えるでしょう。
配車サービスに関しては、有料で行っている整備場はあるようです。
6. BMWディーラーの車検費用が高い!困った時の民間車検の選び方
6-1. 民間車検の種類
オートバックスなどのカー用品店
オートバックスなどの大手チェーン店ですと、ホームページなどで料金設定が明確に分かりますし、作業員の知識や技量に関しても、一定以上の水準を満たしている場合が多く、”利用のしやすさ”がポイントであると言えるでしょう。
単一のメーカーのみを扱っているわけではありませんので、専門知識やBMW車に対しての設備に関しては、少々劣ってしまう部分もあります。
ガソリンスタンド
こちらもカー用品店と同様に、料金設定が分かりやすく、作業員の水準もある程度保たれている事がメリットと言えるでしょう。
また、ガソリンスタンドは普段から使用頻度が高いため、行きつけのガソリンスタンドがある場合は、店員とのコミュニケーションが取りやすい事もポイントです。
技術力や設備に関しては、やはりディーラー車検より一歩下がってしまいますが、利用のしやすさ、分かりやすさも車検を頼む上で大切ですので、そういった点でオススメです。
民間整備工場
一言に民間整備工場といっても、”指定整備工場”と”認定整備工場”の2種類があり、スピーディーに車検を済ませられる”1日車検”が可能なのは指定整備工場です。
カー用品店やガソリンスタンドと比べると専門知識が比較的高めで、費用を安く済ませられる事もメリットと言えるでしょう。
設備や整備士のレベルにムラがあり、車検に必要な期間や費用などにもムラがあるため、良い工場を選ぶ見極めが大切です。
フランチャイズ店
いわゆる”車検専門店”の事を指し、車検を専門に扱う為に整備工場をフランチャイズ化して営業している業態です。
車検に特化している事と、ネット関係に強い企業が多いため、料金設定の分かりやすさや、割引きプランの豊富さ、車検のスピードなどにおいては高い水準を保っています。
元々あった整備工場をフランチャイズ化しているケースも多い為、技術的な水準も日確定高めであると言えます。
デメリットを挙げるとすれば、車検を通す上で不必要な部分の点検、整備は行ってもらえない場合がほとんどという点でしょうか。
6-1. 民間車検を選ぶ時の3つのポイント
①安さと明確な料金設定
民間車検を選ぶ上で”安さ”は外せない要素ですし、掛かる費用が分かりやすい料金設定も大切です。
ぱっと見は安くても、車検後に上乗せ料金が掛かったりする事もありますし、料金が上がるケースなどもしっかり記載されている整備工場やショップ選びが大切と言えるでしょう。
また、車検後のアフターサービスを行っているかどうかも事前に把握しておきましょう。
最近ではリーズナブルな民間車検でも、アフターサービスがしっかりしている業者も多く
②BMW車検を行っているか否か
リーズナブルな民間車検を行っている場所を発見しても、BMW車検を行っていない場合、門前払いされてしまう事も考えられます。
一昔前に比べてBMW車検を行っている整備場は増えていますが、申し込む前にきちんと確認しましょう。
③見積もりは複数出してみる
ホームページや広告に「車検最安!」と書いていても、実際に見積もりを出してみると他の場所の方が安かったという事は往々にしてあります。
民間車検を受けるにあたって、1店舗に決めて申し込むのはあまり得策ではありません。
見積もりを複数出してみて、最も納得できる業者に申し込みましょう。
7. BMWの車検費用を抑えるなら民間車検業者の選び方がポイント!
「BMWのディーラー車検は意外と安い」というような情報がネットなどで多く見受けられますが、あくまで”意外と”というだけで、民間車検と比べてしまうと高く感じてしまいます。
最近ではディーラーと近い水準の設備を持つ民間車検業者もありますし、きちんと見定めていけば車検費用を大きく抑える事も可能です。
民間車検業者の選択肢もかなり幅広くなっていますので、自分のスタイルに合った民間車検業者を選び、お得に愛車を長持ちさせてあげましょう。