- ディーラー車検は必要以上の予備整備費がかかる
- 民間車検はディーラーより2〜3万円安くなることもある
- 安さ重視なら民間車検を使って適切な費用で車検を受ける
車検の時期が近づいてくると、ディーラーから案内が届いたり電話がかかってくることがあります。車検は受けなくてはいけないとわかっていても、その費用に頭を抱えてしまう方も多いでしょう。
また、ディーラーよりも民間車検の方が値段も安いと聞いたけど、なにが違うのか疑問に感じている方も多いと思います。
そこで、車検選びのポイントをお伝えすると、
- 多少高くても安心を選ぶ方はディーラー車検がおすすめ
- ディーラーとの関係は気にせず、少しでも費用を抑えたいなら民間車検がおすすめ
このようになります。
これまでディーラー車検しか経験したことがない方や、車検はディーラーで受けるものだと思っていた方は、民間車検のことはわからないことだらけだと思いますが、この記事でメリット・デメリットをしっかりとお伝えします。
1. 車検はディーラーで受けると高い理由とは?
1-1. 知っておきたい車検費用の内訳
ほとんどの方は車検費用が高いと感じていると思いますが、特にディーラー車検は高くなっています。しかし、なぜ高いのかご存知でしょうか?意外と知られていないのがその内訳です。
車検費用の内訳を表すと以下の通りになります。
車検費用=法定費用+点検・整備料金と代行手数料
それぞれ詳しく確認してみましょう。
・法定費用
法定費用とは車検の際に必ず支払う費用のことです。具体的には、
- 自動車重量税
- 自賠責保険料
- 検査手数料(印紙代)
この3つが該当します。
国に支払う税金や強制保険料ですので、どこで車検を受けても同じ費用がかかります。(ただし、車種や年式ごとに定められた金額は異なります。)
ディーラーや民間車検は、あなたに変わって車検を代行する業者になりますので、これらの法定費用の支払も代行しています。つまり、これらは業者の利益にはならない部分になっています。
・点検・整備料金と代行手数料(車検基本料)
一方で、業者の利益になるのは点検・整備料金と代行手数料になります。
まず、車検を受ける場合には24ヶ月定期点検を受ける必要があります。具体的には、
- 基本点検技術料
- 整備技術料
- 部品、油脂代金
などが該当しますが、車検を受けるための点検・整備料金だと理解していただければいいでしょう。また、その他に車検の代行手数料もかかります。
そして、これらの合計が車検基本料と呼ばれ、その費用が各業者で異なるため、ディーラー車検が民間車検よりも高くなる理由です。
1-2. ディーラー車検と民間車検の費用の違い
では、車検基本料(点検・整備料金+代行手数料)の違いはどれほどあるのでしょうか。
車検を受ける場所 | 車検基本料 |
ディーラー | 30,000円〜100,000円 |
民間整備工場 車検専門のチェーン店 |
20,000円〜80,000円 |
カー用品店 ガソリンスタンド |
20,000円〜60,000円 |
上の表をみていただいてもわかるように、ディーラー車検の車検基本料が最も高く、その差は数万円にも及びます。
では、なぜこのような違いがあるのでしょうか?
ディーラーは、実は車の販売では利益はほとんど出ない仕組みになっているので、車検や整備などでできるだけ利益を出そうとするのが一般的です。そのため、ユーザーから見れば「本当に必要なの?」と思う品目まで盛り込んできます。
一方、民間車検は企業努力でコスト削減ができるので、車検基本料を安く抑えることができます。オートバックスやエネオスなど、車検以外の事業が成り立っている企業は、比較的高品質の車検を安く請け負うことができるのです。
そして大きく価格差が出るところは、「予防整備」の価格の違いにあります。
2. 車検をディーラーで受けると「予防整備」で高くなる
2-1. 予防整備=車に安全に乗るための整備
予防整備とは簡単に言えば、次回の車検(2年後)まで安全に乗るためにやっておいたほうがいい整備のことです。先ほどお伝えした車検にかかる24ヶ月定期点検費用とは別ものになります。ただし、実はこの予防整備は行わなくても車検を通すことができます。
わかりやすい例で言えばタイヤ交換です。タイヤの溝が規定値よりも残っていれば車検には通すことができます。しかし、車検後すぐに交換が必要だと考えられる場合には、予防整備として一緒にタイヤ交換も勧められることがあります。
タイヤの料金は車種やタイヤのサイズによって違いますが、10万円以上の追加費用が必要になる場合があるので、この価格分が車検が高いという印象を与える原因です。
一方で、車検費用が非常に安い業者の場合には、この予防整備を行わないため金額を抑えることができています。
このように、予防整備とは車検を通すだけなら不要ですが、車に長く安全に乗るためには必要なものと言えます。ディーラーはこのような予防整備を車検と同時に行うため、費用が高くなっているのです。
2-2. ディーラー車検は工賃(技術料)も割高
もう1つディーラー車検が高くなる理由は、工賃(技術料)も割高になっていることです。これは車検に限らずオイル交換などの部品交換はディーラーで行うと高くなることが多く、オートバックスなどのカー用品店で行ったほうが安いのと同じです。
工賃(技術料)は作業時間によって決められているのですが、業者ごとにその料金設定が異なります。一般的には値段が高くなる方から順に、
- ディーラー
- 民間整備工場
- 車検専門のチェーン店
- カー用品店
- ガソリンスタンド
このようになっていると言われており、この価格差によって車検費用にも差が生じています。
その他にも、部品交換の際には純正部品を使うことも費用が高くなる原因です。
3. 車検をディーラーで受けるメリット・デメリット
ここまでお伝えした内容をディーラー車検のメリット、デメリットに分けて整理してみましょう。
3-1. ディーラー車検の2つのメリット
ディーラー車検のポイントは、価格よりも安心感を得られるかどうかです。ディーラーの担当者と仲が良い方や、普段からディーラーにお世話になっている方にはメリットになりますが、まとめると以下の2つになります。
「予防整備」があるので車に長く安全に乗ることができる
ディーラー車検では、車検に通すための点検整備以外にも、車を安全に長く乗るための予防整備が行われます。
車が故障してからの修理となれば余分な費用がかかるだけではなく、突然の故障で立ち往生したり事故を起こしてしまう危険もあるでしょう。
これを未然に防いで安全に、そして安心して車に乗るための予防整備を車検と一緒に受けることができます。
特に、車検以外の定期的な整備や点検(法定12ヶ月点検やオイル交換など)を行っていない車の場合には、ディーラー車検をおすすめします。
車検に出す車に精通しているので安心感がある
また、この予防整備ができるのは、ディーラーがメーカーの車に精通しているからです。当然かもしれませんが、ディーラーが販売している車ですのでその特徴をよく理解しています。
例えば、車種の特徴や走行距離に合わせて最適な部品交換時期などがわかるため、故障する前に予防整備ができるのです。
また、最近の車はコンピューター診断により異常を見つけることができるため、一般的に車種の個別情報が多いディーラーの方が有利と言われています。
一方で、民間車検の場合には様々な車種を扱っているため、車検に必要な整備は可能であっても、車種個別の対応が弱いとされています。
費用だけ見れば民間車検の方が安くなりますが、定期的な点検整備を受けていない場合には注意しましょう。
3-2. ディーラー車検のデメリット
ディーラー車検のデメリットは費用が高いことが一番に挙げられますが、それ以外にも不審な点はいくつかあります。ディーラーの方が安心と思われがちですが、実はそうでもない場合もあります。まとめると以下の3つになります。
ディーラー車検は値段が高い
予防整備を行えばその分料金が追加されますし、工賃(技術料)も民間車検よりも高くなっています。先にご紹介した車検基本料の表をみてもわかる通り、少なくとも1万円の違いがありますし、場合によっては8万円もの差が出てくることもあります。
一方で民間車検では、この予防整備を行っていなかったり、工賃(技術料)が割安になっているため、車検費用の合計金額が安くなっています。
作業は外注されることもある
ディーラー車検は、場合によっては実際の作業は外注先(下請け)の民間工場が行なっている場合もあります。つまり、外注先が作業を行なっている場合は作業内容は民間車検と変わらないということになります。
逆に言えば、ディーラーが民間に外注しているということは、民間車検でもその作業品質は劣ることないということも言えます。
対応が不親切で、不信感を抱く人もいる
多くの方がディーラーを嫌がる一番の理由は、ディーラーの営業マンの対応が悪いことです。「ディーラー=対応が悪い」というイメージは割と一般的になりつつあります。
自分の担当営業マンが居ても挨拶がなかったり、ここぞとばかりに整備オプションを追加されたり、強引に車検をさせようとしたり、悪い口コミも多く見受けられます。
もちろん、一概にディーラーが悪いわけではありませんが、ディーラーが嫌だから民間車検にするという方も多いようです。
ディーラー車検と民間車検の車検日数の違い
車検に出す際に、どのくらい時間がかかるか気になる方もいると思いますが、結論から言うとディーラー車検も民間車検も数日はかかると思っていた方が良いでしょう。
車検の基準をクリアしていれば数時間で終わることもありますが、パーツを取り寄せる必要がある場合は1週間ほど期間がかかることもあるようです。
ちなみに、ユーザー車検は検査場に通すだけであれば数時間で済ませることができますが、基準をクリアできなければ不具合の箇所を調整して再度検査に行かなければなりませんのでご注意ください。
民間車検の車検日数
比較的期間が早いと言われているのはホリデー車検などのフランチャイズ展開している車検会社です。ホリデー車検というくらいなので、週末で車検を終了させることができるので、平日に仕事で車を使う方にも人気です。
また、オートバックスやガソリンスタンドなども早ければ数時間で済ませることができ、2〜3日あれば車検を済ませることができるようです。
ディーラー車検の車検日数
ディーラー車検は数日かかることが一般的です。繁忙期では1週間ほどかかることもあり、代車の在庫と自分のスケジュール的に日程が合わなければ、ディーラーと日程の調整が必要です。
ただ、ディーラー車検でもその日に車検を終わらせることができるところもあるみたいなので、実際に車検の際にはお問い合わせしていただくのが安心です。
4. ディーラー車検を安くする方法と注意点
ここまでご覧いただいた方は、ディーラー車検は基本的には安心だけど必ずしもそうではなく、費用は民間よりも高いと理解されたと思います。しかし、ディーラー車検でも費用をできるだけ抑えることも可能です。また、注意点もありますので合わせて確認していきましょう。
①必ず見積もりをとる
まず大切なことは、必ず車検の見積もりを取ってもらうことです。口頭でおよその費用を聞くだけではなく、車を検査して見積もりを出してもらいましょう。見積もりは基本的には無料です。
見積もりをせずに車検に出すと予想外の金額が請求されることもありますし、予算オーバーであれば民間車検を検討することもできます。
②見積もりの内容を詳しく確認する
見積もりの中の法定費用(自動車重量税、自賠責保険料、検査手数料)はどこで車検を受けても同じです。しかし、その他の整備・点検費用については詳しく確認するようにしましょう。
ここまでお伝えしている通り、予防整備は車検を通すだけなら必ずしも実施しなくてもいいものです。つまり、見積もりから削除できるものになります。
そのため、なぜその整備や部品交換が必要なのか詳しく確認しましょう。場合によっては車検時には見送ってもいいものがあります。
③余分なオプションには注意する
見積もりの中には、車検や予防整備費用以外にもオプションがついていることがあります。例えば、
- 洗車費用
- 下廻りの洗浄、防錆処理
- コーティング
などは行わなくても車検には関係ありませんし、後日でも構いません。
その他に、ワイパーゴムの交換は、500円程で購入して自分でも交換することもできます。発煙筒は使用期限が切れていたら交換が必要ですが、カー用品店やインターネットなどで安く購入することも可能です。
こうしたことは、見積もりを見ながらその内容を詳しく聞くと教えてもらうことができます。車検に必ず必要なものとそうでないものを確認しましょう。
④早めの見積もりを!
車検は車検が切れる1ヶ月前から受けることができます。こうした費用の確認や民間車検との比較をするためにも、早めに見積もりをとるようにしましょう。ディーラーからの案内があったら、すぐに見積もり日を予約するための連絡を入れるといいでしょう。
5. ディーラー車検が高いと思った時の車検の選び方まとめ
ディーラー車検の費用が高くなる理由が確認していただけたと思いますが、その一番の理由は、車を安全に安心して乗るための予防整備が大きく影響しています。
しかし、これは車検に通すだけであれば必要のない整備でもあります。カー用品店やガソリンスタンドで整備してもらった方が安く抑えることも可能なこともあるので、必要以上にお金を払う必要はありません。
ただし、多少費用がかかっても整備も全部任せたいという方は、ディーラー車検がおすすめです。
もう一度おさらいしますが、車検選びに迷ったら、
- 多少高くても安心を選ぶ方はディーラー車検がおすすめ
- ディーラーとの関係は気にせず、少しでも費用を抑えたいなら民間車検がおすすめ
このように選んでいただくといいでしょう。
また、一般的に高いと言われるディーラー車検ですが、事前に見積もりを取り、その内訳を詳しく確認していくと費用を抑えることもできます。
車検見積もりは基本的には無料ですので、まずは一度見積もりをとるための連絡を入れてみましょう。