車のコーティングをする前には、下地処理が欠かせません。なぜなら、下地処理をすることでコーティングの効果を発揮することができルからです。また、効果の持続期間も左右する重要なポイントです。

もし車のコーティングをするのであれば、コーティング前の下地処理のクオリティーにしっかりを目を向けておくことです。

「下地処理ってどんなことをしているのですか?」いい質問です。さっそく、コーティングに必須の下地処理について詳しく見ていきましょう!

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1. 車の下地処理に使うコンパウンドとは

カー用品のコンパウンドとは、日本語に直すと「研磨剤」のことです。

研磨剤とは、研いで磨くために使われるもので、身近な例だと歯磨き粉に含まれているザラザラしたものがそれに当たります。歯磨き粉を使った歯磨き後に歯がツルツルになるのは、研磨剤によって歯についた汚れを削り落とし、綺麗に磨き上げるからです。

また、ヤスリも同じようにザラザラした面で磨くと、対象物の凸凹している表面を削りとって、ツルツルにすることができます。

車に使用するコンパウンド(研磨剤)もこれらと同じように、ボディーを磨いて綺麗にするためのものです。特に、車のコーティングをする前の下地処理には必須となる道具です。

2. 車の下地処理に必須のコンパウンドの目的と効果

車のコーティングをする前に、下地処理が重要だと言われるのは、コーティングの仕上がり具合がよくなるからです。その結果、車が綺麗になるだけではなく、コーティング効果も高くなり持続期間も長くなります。

では、なぜコーティングをする前の下地処理に、コンパウンドを使ってボディーを磨く必要があるのでしょうか。コンパウンドを使う目的と効果は、次の4つです。

  1. コーティング前に塗装面を綺麗に整える(凹凸をフラットにする)
  2. ボディーの傷を消すことができる
  3. 汚れや古くなったコーティングを落とすことができる
  4. 傷んだ塗装面を回復させる(ウォータースポットなどを除去)

①コーティング前に塗装面を綺麗に整える

新車出ない限り、外をしっかり走っている車のボディーはよく見ると凸凹になっています。汚れや傷が主な原因です。光り輝く車は魅力的です。その輝きを演出するためにも、塗装面をフラットにしておく必要があります。鏡面のように磨き上げられたボディーにコーティングをすることで、コーティング本来の目的を発揮することができます。

②ボディーの傷を消すことができる

車はどれだけ丁寧に乗っていたとしても、細かな洗車傷やドアノブ周囲の引っかき傷があるものです。こうした細かな傷は、コンパウンドを使って磨けば綺麗に消すことができます。

もし傷を消さずにコーティングを施工すれば、コーティング剤で傷を閉じ込めることになってしまいます。すると、ボディーがくすんで見えたり、塗装面を痛める原因となってしまうのです。コーティング前にボディーの傷を消すためにも、コンパウンドが必要になるのです。

磨きを行わないコーティング業者は、傷を埋めるための樹脂を上から塗布します。ただし、こうした樹脂(不純物)の難点は紫外線の影響により、剥がれ落ちることです。「○年間輝きを維持!」と記載してあるのも、結局は剥がれてしまうため期限付きとなっています。

ガラスコーティング にも、不純物が含まれているものはいずれ剥がれ落ちます。100%ガラスでできたコーティングを選ぶことで比較にならないほど持ちがよくなります。注意点として、ガラスコーティングと謳われているものの中には、実際にはガラス成分がわずかしか入っていない嘘の表記ものも流通しています。

③汚れや古くなったコーティングを落とすことができる

傷と同様に、ボディーの汚れもコンパウンドで磨くと綺麗に落とすことができます。例えば、洗車では落とすことができなかったような、イオンデポジットやウォータースポットと言われる水ジミ、水垢なども落とせます。

また、以前にコーティングを施工している車の場合には、古くなったコーティング剤がボディーに残っています。もしも剥がれないコーティングを選びたいのであれば、不純物の混じったコーティングはなおさら剥がしておく必要があります。紫外線で劣化する樹脂(不純物)が混じっているコーティングが下地になっては、どんなに剥がれないコーティングも剥がれやすい下地と一緒に剥がれてしまいます。

特に最近主流のガラスコーティングの場合には、コンパウンドを使って磨かなくては取り除くことができません。

④傷んだ塗装面を回復させる

長年乗った愛車の場合、新車のようなツヤや光沢を失ってしまうことがあります。それは、塗装が傷んだり劣化していることが原因です。傷んでしまった塗装面(下地)の上にコーティング剤を塗っても効果を発揮することはできません。

コンパウンドを使って磨けば、新車のようなツヤや光沢を取り戻すことができます。洗車では取れないしつこい水垢やウォータースポットも取ることができます。

とはいえ、この塗装面は0.1mmの世界です。車の鉄板の上から順に、下塗り層(0.02mm) →中塗り層(0.035mm)→カラー層(0.015mm)→クリアー 層(0.035mm)と非常に薄い層が塗り重ねられています。だからこそ、下地処理には職人の洗練された経験や知識、つまり『腕』が問われます。

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3. コンパウンド選ぶ時に知っておきたい種類と特徴

ここまでお伝えしたように、コンパウンドとはコーティング前の下地処理に使う研磨剤のことです。

コンパウンドを使って車のボディーを磨くことで、塗装面がきれいになり、コーティングの効果を発揮することがでます。逆に、下地処理をしなければコーティングが無駄になってしまうと言えます。

本来は、職人技が問われる下地処理ですが、最近は自分でも手軽にコーティングにチャレンジすることができるようになりました。プロの仕上がりとまではいかなくても自分でやりたい場合に、どんなコンパウンドを選べばいいのでしょうか?

コンパウンド選びに役立つように、詳しい種類や特徴についてお伝えしていきます。ただし、知識に加えて経験がものを言う世界です。DIYに挑戦する場合には失敗、つまり愛車に傷を入れてしまう覚悟で取り組みましょう。

3-1. 研磨剤の粒子の大きさ別にみたコンパウンド

コンパウンドに含まれている研磨剤の粒子には、様々な大きさのものがあります。商品によって多少の違いはありますが、粒子の細かい順に次のような種類に分けられます。

  • 超微粒子(2ミクロン以下~)
  • 極細目(4ミクロン以下~)
  • 極細目(6ミクロン以下~)
  • 細目 (8ミクロン以下~)

研磨剤の粒子が大きいほど、傷や汚れなどを削り落とす力が強くなり、逆に粒子が細かいほど、研磨効果は少なくなります。

ただ同じミクロン(μ)の粒子でも、コンパウンドメーカーによって研磨力が違いますので粒子の大きさ(μ)はあくまで目安になり、そこから先は経験が大切になります。細目より粗いコンパウンドもありますが、一般の方は手をださないほうが良いでしょう。


コーティングや板金のプロなどは、粒子の違うコンパウンドを何種類も用意して、ボディーの状態に合わせて使い分けています。

はじめに粒子の大きいものを使って、しっかり磨き上げてから、仕上げに超微粒子のコンパウンドを使うといった具合です。市販品にも、数種類のタイプがセットになっているものがあります。

3-2. 液状(リキッド)タイプとペーストタイプ

コンパウンドの形状には、液状タイプとペーストタイプの2種類があります。液状タイプは伸びが良いため、広い面を研磨することに向いています。

一方で、ペーストタイプは伸びが悪いため、狭い範囲の研磨に向いていたり、液状タイプのように流れ落ちることがないため、ボディーの下側や側面に使われます。一般の方は、リキッドタイプが扱いやすいでしょう。

3-3. 水溶性コンパウンドと油溶性コンパウンド

ボールペンにも水性と油性があるように、コンパウンドにも水溶性と油溶性のものがあります。水溶性コンパウンドの方が研磨力が強く、油溶性コンパウンドは弱くなります。そのため、水溶性の方が作業効率が高くなります。

油溶性コンパウンドは、弱くなります。油分があり伸びがいいです。そのため作業はし易いですが、油分や不純物があるぶん研磨力は弱くなります。また、しっかり脱脂する必要があります。逆に水溶性の方は、研磨力が強く作業効率は高くなります。油分がないので脱脂も必要最小限ですみます。そのため注意しないと削り過ぎてしまうリスクはあります。

しかし、私はノンシリコンのコンパウンドをおススメします。理由は、油分がキズ部に入り込まないので、どこまで磨けたかがハッキリしてしっかり磨けます。

磨きキズが怖い方は、粒子の一番細かいコンパウンドから、様子を見ながら慎重に磨いてください。通常の磨き方はスポンジにつけて磨きますが、水研ぎといって、ボディかスポンジを適量濡らして磨いてください。水があることで抵抗が減り、磨きがスムースかつ安全にできます。



脱脂については、「車のコーティングは「脱脂」がポイント!目的と脱脂方法まとめ」で詳しくお伝えしていますので、こちらも一度確認しておきましょう。

4. 初心者でも安心!愛車を傷つけないコンパウンドの選び方

コンパウンドには様々な種類がありますが、大きな違いは研磨力にあります。研磨力が大きいほど、傷や汚れを落とす力が強くなります。

ただし、研磨剤はボディーの塗装の表面を削ることで、こうした効果を発揮しています。つまり、研磨力が強いコンパウンドを使用すると、使い方を間違えれば、塗装を痛めてしまう原因にもなってしまうということです。特に、初心者の型の場合には、ボディーを磨く力加減などもわからないと思いますので注意が必要です。

そこで、コンパウンド選びに失敗しないためにおすすめなのが、粒子の大きさが異なるものがセットになっているものです。傷消し用、仕上げ用、鏡面用などに分かれており、使う順番もわかりやすくなっているものが存在します。

5. 失敗しないコンパウンドを使った下地処理の作業手順

それでは、コンパウンドを使った下地処理の具体的な方法についてお伝えしていきます。まずは、以下のものを用意しましょう。

  1. 洗車道具
  2. コンパウンド
  3. スポンジ
  4. ウエス

①カーシャンプーは普段使っているもので構いません。汚れがひどい場合には、強力なカーシャンプーを用意してもいいでしょう。

③スポンジは、コンパウンドで磨く作業のために必須です。

コンパウンドとセットになっている場合もありますが、付属していない場合には、コンパウンド用のスポンジを購入しましょう。

こちらも、カー用品店で手に入ります。使用するコンパウンドの種類に合わせた数のスポンジを用意してください。

④ウエスはコンパウンドを拭き取るために使用します。こちらも、コンパウンドの種類に合わせ数を用意してください。

ステップ1:洗車する

コンパウンドを使って下地処理を行う前には、洗車をして砂や埃、汚れを洗い落としましょう。洗車をせずに下地処理をすることはボディーを傷つける原因ですので厳禁です。

そのほか、洗車で落ちない汚れはそれぞれに対応した落とし方があります。水垢、イオンデポジット、ピッチ・タールなどの車汚れの落とし方は下記ページをご参照ください。

ステップ2:コンパウンドをボディーになじませる

まず、水に濡らしたスポンジに、コンパウンドをつけてください。スポンジを濡らさないと、摩擦でボディをキズつけてしまうので注意しましょう。スポンジはスムーズに動くくらい水を含ませることがポイントです。

次に、スポンジに取ったコンパウンドをボディーになじませていきます。いきなり磨かずに、スポンジをボディーに数回押し当てるようにしてなじませていきましょう。その時のポイントは、狭い範囲から作業を進めていくこと、傷の周辺にもなじませていくことです。

また、初心者の方の場合には、粒子の細かいコンパウンドから使うようにしましょう。

ステップ3:スポンジの研磨面で磨く

次にスポンジの研磨面を使って磨いていきましょう。傷の上だけではなく、その周辺も磨くようにします。その時のポイントは、スポンジを縦、横にまんべんなく動かすことです。円を描くように磨いてしまうとムラができてしまいますので注意しましょう。

また、削りすぎは塗装を傷めてしまいますので、10回前後磨いたら、傷の状態を確認して作業を進めましょう。スポンジが届かないような場所があれば、ウエスで磨くといいでしょう。

セットになったコンパウンドを用意している方は、説明書を確認しながら粒子の大きいものから初めて、粒子の細かい超微粒子タイプなどで仕上げると綺麗にできます。

コンパウンドの種類を変える時には、スポンジも一緒に変えることを忘れないようにしてください。

ステップ4:ウエスで拭き取る

コンパウンドで磨く作業が終わったら、ウエスを使ってコンパウンド剤や削りカスを綺麗に拭き取りましょう。使用するコンパウンドの種類ごとにウエスも交換するといいでしょう。

ステップ5:一連の作業を繰り返す

ここまでの一連の作業を繰り返して、ボディー全体の下地処理を行います。

6. 車の下地処理とコンパウンドの5つの注意点

ここまで車の下地処理に重要なコンパウンドについて、詳しくお伝えしてきましたが、最後に注意点を確認していきましょう。

6-1. 下地処理はコンパウンド磨きだけではない

コーティング前の下地処理には、コンパウンドを使ってボディーを磨くことは欠かすことができません。しかし、下地処理はこれ以外にも、綺麗に洗車をすることや、鉄粉の除去、油汚れの脱脂なども必要になります。そうするとやはり一人行うにはかなり大掛かりで多くの時間が必要になります。時間を費やせない場合には、専門店に依頼するとよいでしょう。

6-2. 下地処理には知識と技術が必要

市販品を利用すれば、自分でも下地処理を行うことはできますが、本来は専門的な知識と技術を要する作業です。

この下地処理の精度によって、コーティングの効果が左右されると言われるほどだからです。また、業者に依頼しても、スタッフの技量によって仕上がりに差が出ます。ご自分で下地処理を行う際には、失敗するリスクもあることを忘れないようにしましょう。

6-3. 自分では落としきれない傷や汚れもある

自分では落としきれない傷や汚れがあるので、磨きすぎには注意してください。愛車を綺麗にしたいと思うあまり、無理に磨いてしまうと、塗装を傷めてしまうことにもなりかねません。しつこい汚れや深い傷は、ポリッシャーなどの専用道具を使って磨かなくては綺麗にならない場合もあります。

また、古い車や塗装が傷んでいる場合には、専門的な技術が必要になるため、初心者の方には難しい作業だと言えます。

6-4. 手間と時間がかかる

部分的な補修やコーティングであれば、自分で行うこともできます。しかし、ボディー全体のコーティングを行うとなれば、広範囲の下地処理が必要となるため、手間や時間がかかります。

また、スポンジで磨く作業では、ボディー全体の下地処理を行うことは難しいでしょう。

6-5. 業者にも相談してみる

今は、下地処理やメンテナンス、車の整備やカスタムまで自分で行うことができるようになりました。なぜなら、道具が簡単に手に入るようになったからです。

近所のカー用品店などに在庫が無くても、インターネットを使えば、大抵のものは購入できるので、車好きの方にとっては嬉しいことだと思います。ただし、下地処理を含め、ほとんどが専門的な知識に加えて『技術』が必要になります。

確かに、自分で施工する楽しみはありますが、効果や精度は専門店のプロにはかないません。特に下地処理は、車の外観を左右するものですし、失敗すると塗装の塗り替えが必要になるなど、想定外の出費もありえます。

愛車を自分で手入れすることが楽しみだったり趣味だという方以外は、安易に手を出さない方が安心です。

信頼できる業者へ依頼した方が、質の高い下地処理やコーティングができるため、愛車をきれいに保ちやすいことも理解しておきましょう。

7. まとめ

車をコーティングする前には、下地処理が重要です。下地処理のクオリティーがコーティングの効果や持続力を左右すると言っても過言ではありません。

DIYでできる機会も増えてきましたが、専門的知識に加えて技術が伴うのが下地処理です。下地処理をご自身で行う場合には、失敗を覚悟して上達をめざしましょう。

下地処理やコーティングは、専門的な知識や技術を要するものです。職人は0.1mm、もっといえば0.01mmの世界で腕をふるっています。品質を追求する場合には、技術・知識・経験のある職人にお願いするのがベストです。

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