車検ではフォグランプの検査項目もあります。フォグランプの保安基準は意外と細かく設定されており、知っているようで知らないことも結構あります。
ただ点検のポイントと保安基準さえ理解しておけば、フォグランプが理由で車検に落ちることはありません。
そこで今回は車検に通るためのフォグランプの保安基準や点検のポイントともに、車検に落ちないためのフォグランプQ&Aを紹介します。
1. 車検に通るフォグランプの保安基準
陸運支局などで行う検査では、ライト類に関する検査項目が意外と厳しいです。そのためフォグランプの保安基準も、知っているようで知らないことの方が意外と多いです。
しかも「え?これだけで車検に通らないの?」ということも多いため、車検業者に依頼した場合は「交換が必要ですよ」といわれることもあります。
ただ業者に車検をお願いした場合は、交換部品が多くなるほど費用が高くなってしまいます。それだけにできればセルフチェックの段階で正しく整備・点検が出来ている方が、コスト面では断然お得です。
とはいえフォグランプの保安基準はかなり細かく設定されていますから、まずはそれぞれの項目ごとに保安基準と点検のポイントをまとめました。
1-1. フォグランプの色とケルビン数
フォグランプは、①「白色」または「淡黄色」であること ②すべて同一の色であること の条件を満たしていることが大前提になります。そのためこの2つの条件がまずクリアしていれば、第一段階クリアです。
さてケルビン数なのですが、上限の目安としては「7000まで」と考えておくのが妥当です。
実はケルビン数が高くなるほど青色に変色して見えてしまいます。そのため7000以上になるとたとえ白色のランプを使っていたとしても、検査員の目視で「白色ではない」と判定されてしまう可能性が高くなります。
1-2. フォグランプの明るさ
かつてはフォグランプの明るさについて「1万カンデラ以下であること」という基準が設けられていました。でも平成18年以降の車検においてはこの基準が撤廃されているため、明るさに上限はなくなりました。
とはいえ「他のドライバーの運転を妨げないこと」という条件が別途付いています。そのため数値としての基準はなくなりましたが、あまり明る過ぎるものにおいては「条件に満たない」とされ車検に落ちる場合もあります。
1-3. フォグランプの光軸・カットライン
「光が当たっている場所」と「光が当たらない場所」の境界線を、「フォグランプのカットライン」といいます。検査する時も壁に向かって点灯させ、カットラインの状態を確認します。
カットラインの基本は「まっすぐな一直線であること」なのですが、それだけでは車検には通りません。この時に重要なのが「光軸が正しく調整されているか」になります。
カットラインよりも上に光が散っている(上方散乱光)場合は、光軸を下方向に調整しなければ、対向車のドライバーの運転を妨げ卯ことになります。しかも未調整のままでは「保安基準を満たしていない」と判定されてしまい、車検に落ちてしまいます。
ちなみに「カットラインが出ない」という場合は、「フォグランプとしての役割を果たしていない」ということになります。そのためこの場合は安全面から考えても、もちろんNGです。
1-4. フォグランプ取り付け位置の高さ
フォグランプの取り付け位置が問題になるのは、ドレスアップのために後付した場合などです。特に平成18年以降とそれ以前では規定の内容が変わっていますので、車検の際には注意が必要です。
上ふちに関する基準
平成18年以降の車検に関しては、次の2つの条件をクリアしている必要があります。
- 証明部の上ふちは800㎜以下の高さに設置すること
- ロービームの上ふちを超えていないこと
下ふちに関する基準
平成18年以降の車検に関しては、次の条件をクリアしている必要があります。
- 証明部の下ふちの高さが250㎜以上の位置に設置していること
追加条件として挙げられているもの
フォグランプの取り付け位置については、「上ふちの基準」「下ふちの基準」のほかにも次の条件をクリアしている必要があります。
- 最も外側にあるふちが、ボディーの最外側から400㎜以内に設置してあること
2. 後付けフォグランプで車検に出す場合の注意点
ドレスアップ目的でフォグランプを後付する場合、そのままの状態では車検に通らないこともあります。そのため車検に出す前にセルフチェックを行い、場合によっては不適合にならないように整備し直す必要があります。
ですからセルフチェックを行う際は、次の点に注意してください。
室内にスイッチがついているか?
後付した場合によくありがちなのが、フォグランプのスイッチを室内側につけ忘れていることです。あくまでも霧の場合に使うのがフォグランプなので、常につけっぱなしの状態では違法になります。
ポジションが並列に配線されているか?
保安基準では「フォグランプとポジションは並列に配線する」という規定があります。つまり「フォグランプが点灯している=ポジションも点灯している」ということです。
ですからどちらか片方だけが点灯していると状態では、保安基準を満たしているとは言えません。
3. これって違反?車検に落ちないためのフォグランプQ&A
Q. フォグランプの色は黄色や青でも大丈夫ですか?
A. 黄色はギリギリOK!青はNG!
フォグランプの色は、保安基準上「白色」または「淡黄色」とあります。そのことから考えると「黄色や青色はどちらもNG」となりがちですが、実際に車検に通らないのは「青色」の方です。
そもそもフォグランプの色が青という場合は論外なのですが、白色でもケルビン数が高くなると青色に見えます。この場合は車検では通りません。
ちなみに黄色はギリギリ車検に通ります。ただし左右で色が異なる場合は通りません。
Q. LEDフォグランプは車検に通りますか?
A. 保安基準を満たしていれば車検に通ります!
「フォグランプをLED化した」というだけの理由で車検に通らないことはありません。ただしLED化した車を車検で通すには、「バルブ調整がきちんとできている」ということが前提条件となります。
バルブの調整がきちんと行われていないと、「光源不足(明るさが不足している)」「配光の不備(配光がおかしい場合)」「色が極端」などが理由で車検に通らなくなります。
Q. フォグランプが切れていたりつかない車でも車検に通りますか?
A. 左右ともに切れている場合は通ります!
フォグランプは「左右ともに同じ状態であること」が車検を通すポイントです。片側だけ切れている状態は、この条件に合いませんので車検に通りません。ただし左右ともに切れている場合は、条件を満たしているため車検に通ります。
Q. 球切れのフォグランプを隠す方法は本当に車検に通りますか?
A. ほぼ問題なく通ります!
検査官の判断次第という部分があるので「100%通ります」とは言えませんが、「飾りとしてただ付けているだけです!」といえばほぼ問題なく通ります。
ただし片側だけ球切れの場合は、両方とも点灯しないようにいておくことが車検を通すときのポイントです。
Q. フォグランプを取り外した車は車検に通らないですか?
A. 両方取り外しているなら問題ありません!
フォグランプを取り外す場合、(ありえないとは思いますが)片方だけ取り外した状態の車は車検に通りません。もちろん両方とも取り外している場合は、そのこと自体が問題となることはありません。
Q. フォグランプのスイッチに関する車検の基準を教えてください。
A. 車内で点灯・消灯がコントロールできていることが基準です!
フォグランプを常に点灯した状態で車を走行させることは違反です。そのため必ず車内にスイッチを付け、点灯・消灯をコントロールできるようにしておく必要があります。
もちろんブレーキと連動してフォグランプがつく場合も違法とみなされますので、車検には通りません。
4. まとめ
ライト系の保安基準は、思っている以上に細かく設定されています。ユーザー車検の場合はもちろんですが、ドレスアップ目的で後付した場合や片側だけの球切れなどの場合も注意が必要です。