車の個人売買や家族や友人から車を貰った場合、車検証にかかれている所有者の名前と現在の所有者の名前が違っていることがあります。
でも実際に今の所有者はあなたになっているわけですから、車検を通すとすればあなたが手続きをすることになります。この場合、車検の名義変更が済んでいないと車検は受けられないのでしょうか?
それとも他人名義のままでも車検を通すことはできるのでしょうか? さらに気になるのは「もしも名義変更を車検のタイミングでするとしたら、それって可能?」という疑問ですよね。
そこで今回は、名義変更に関する車検の疑問についてわかりやすく解説していきます。
1. 車検を通すためには名義変更が必要?
車検証には、車に関する情報だけでなく車の所有者の住所や名前も書かれています。でも状況によっては、現在の所有者と車検証にかかれている所有者が違っていることもあります。
このように他人名義のままの車検証でも、車検が切れてしまえば公道で車を走らせることは出来ません。車検の期限が間近な今、確実に期限内に車検を通すにはやはり事前に名義変更をしておかなければいけないのでしょうか。
それとも他人名義のままで車検を通すことは出来るのでしょうか。
1-1. 他人名義の車でも車検は受けられる
個人売買や車を譲ってもらったことで他人名義となったままの場合でも、現在の所有者であるあなたが車検を受けることは出来ます。
もちろん車の所有者の代理人として、あなたが車検を通すこともできます。ただしこの2つのケースでは、必要となる書類に違いがあります。
車の所有者の代理人として車検を通す場合
何らかの事情で車の所有者の代わりにあなたが車検の手続きをする場合は、車検を通すために必要となる書類のほかにも追加で準備しなければならないものがあります。
個人売買や譲渡によって他人名義のままで車検を通す場合
前所有者と現在の所有(あなた)のそれぞれが準備しなければならない書類があります。
家族や友人から車を譲ってもらった場合は心配いりませんが、個人売買やオークションサイトなどで購入した場合は、売買が成立した後に連絡が取れなくなることもあります。要注意です。
1-2. 車検のタイミングで名義変更することもできる
名義変更手続きといっても、車検と同じように様々な必要書類があります。また手続きの手間などもあるため、「出来れば車検と同時に名義変更を済ませたい」と思うはずです。
もちろん車検と名義変更を同時に行うことは出来ます。車検業者に車検の依頼と合わせて名義変更手続きをお願いすることもできますが、現在の所有者であるあなたが自分で手続きをすることもできます。
2. 名義変更していない車を車検に通す方法
名義変更をしていない車であっても、車検を通す方法はあります。ただし「どのような理由で車の所有者として登録されていないあなたが車検を通すのか」によって、必要となる書類に違いがあります。
2-1. 必要書類
名義変更をしていない車を車検に通すためには、車検に必要な書類だけでなく名義変更手続きに必要な書類も準備する必要があります。
ただし「所有者の代理人としてあなたが車検を通す場合」と「個人売買などによって購入した他人名義の車を車検に出す場合」では、準備しなければいけない書類に違いがあります。
車の所有者の代理人として車検を出す場合の必要書類
- 車検証
代理人が車検を行う場合でも、車検を受ける際に必要となる車検証の準備は必要です。
- 自動車納税証明書
自動車税は、車の所有者が納付する義務があります。車検を受ける時にはすでに自動車税を納めていることを証明する「自動車納税証明書」が必要です。
もしも車の所有者が自動車納税証明書を失くしてしまっている場合は、再発行をする必要があります。納税証明書の再発行手続きも代理人が行うことは出来ますが、その場合は車の所有者の委任状が必要になります。
- 自賠責保険証
自賠責保険も、車の所有者であれば必ず加入しなければいけません。車検のタイミングで自賠責保険を再加入するのが一般的なので、基本的には車検証とセットで管理しているはずです。
もしも自賠責保険証を失くしてしまっている場合は、加入している保険会社に依頼すればすぐに再発行してもらうことが出来ます。
- 車の所有者の委任状
代理人としてあなたが車検の手続きを行うためには、車の所有者の委任状が必要になります。委任状には委任者(本来の車の所有者)と受任者(代理人であるあなた)の住所と氏名を記入する欄があります。あらかじめ車の所有者に準備させておきましょう。
- 代理人の身分を証明するもの
委任状にかかれた受任者と実際に代理手続きを行うあなたが、同一人物であることを確認するために必要になります。この証明書類は、あなたの運転免許証で対応ができます。
- 代理人の印鑑
様々な手続きには印鑑が必要になります。ただし代理人として手続きを行う場合は委任状がありますので、あなたの印鑑があれば対応できます。印鑑は認印で問題ありません。
個人売買などで他人名義の車を車検に出す場合の必要書類
基本的には、代理人として手続きする場合と同じです。ただし個人売買やオークションサイトなどをした場合は、売買が成立した後で車検証にかかれた所有者と連絡が取れなくなってしまうケースもあります。
この場合は車検を通すために必要な書類がそろわなくなるため、車検が受けられません。
ですから売買が成立する前に、名義変更をするために必要な書類を旧所有者に準備してもらい、車の引き渡しの際に確実に受け取ることが必要になります。
ちなみにこの場合に必要となる書類は、次のようなものになります。
- 譲渡証明書
- 旧所有者の印鑑証明書
- 新所有者の印鑑証明書
- 旧所有者の委任状
- 車庫証明(新所有者が準備する)
- 名義変更申請書
- 新所有者の印鑑(実印のみ)
2-2. 名義変更しないことのデメリット
車の名義変更をしないでも車検を通すことは出来ます。ただしデメリットの方が大きいことを理解しておいてください。
デメリットその① ナンバープレートを取り直す手間が余計にかかる
名義変更をするということは、ナンバープレートを改めて取り直す必要がある場合が多いです。前所者とあなたの住所が同じ管轄するエリアであれば、特にナンバープレートを取り変える必要はありません。
でも管轄エリアが異なる場合は、あなたの管轄内で使用することが出来るナンバープレートに変更する必要があります。また同じ都道府県内であっても、管轄エリアが異なる場合も同じです。
デメリットその② 今後あなたが今の車を売却・下取りしてもらうことが出来ない
車は消耗品ですから、いつかは乗り換えのタイミングがやってきます。でもその時にあなたが所有者でなければ、どんなに自分の車だと言い張ってもそのことを証明することが出来ません。
つまり名義変更をしないでそのままにしておくということは、「あなたの車であることを証明できない」ということです。ですから売却する時も下取りしてもらう時も、前所有者にその権利があることになります。
3. 車検のタイミングで名義変更する方法
ディーラー車検や民間車検など車検業者に車検をお願いする場合は、必要な書類さえ整っていれば代理で手続きをしてもらうことが出来ます。ただしその場合は、手数料が発生します。
ユーザー車検の場合はすべて自分で手続きを行う必要がありますが、手数料はありませんので費用を抑えることは出来ます。ただしユーザー車検で「車検と名義変更を同時に行う」という場合は、「車検に必要な書類」と「名義変更に必要となる書類」が必要です。
3-1. 必要書類
車検業者に「車検+名義変更」をお願いする場合
- 車検証(自動車検査証)
- 自賠責保険証
- 定期点検記録簿
- 自動車税証明書(軽自動車の場合は「軽自動車納税証明書」)
- 印鑑
【名義変更に必要な書類】
- 譲渡証明書
- 旧所有者の印鑑証明書
- 新所有者の印鑑証明書
- 旧所有者の委任状
- 新所有者の委任状
- 車庫証明(新所有者が準備する)
- 新所有者の印鑑(実印のみ)
ユーザー車検で「車検+名義変更」をする場合
【車検に必要な書類】
- 車検証(自動車検査証)
- 自賠責保険証
- 自動車税証明書(軽自動車の場合は「軽自動車納税証明書」)
- 継続検査申請書
- 自動車重量納税納付書
- 自動車検査表
- 印鑑(認印でOK)
【名義変更に必要な書類】
- 譲渡証明書
- 旧所有者の印鑑証明書
- 新所有者の印鑑証明書
- 旧所有者の委任状
- 車庫証明(新所有者が準備する)
- 名義変更申請書
- 新所有者の印鑑(実印のみ)
3-2. 手続き方法
手続きに必要な書類を準備する
特に車検に必要な書類に不備や漏れがあると、名義変更どころか車検が通りません。
自動車税を納付し自動車納税証明書をとる
名義変更がされていないということは、自動車税の納付書が前所有者の住所に郵送されていることになります。ただし自動車税を納めない限り、車検は通りません。
この場合は自動車税の納付窓口に連絡をし、あなたの住んでいる住所宛に納付書を郵送してもらうように手配します。自動車税は所有者以外でも納付することは出来ますので、他人名義であってもあなたが代わりに納付すれば問題ありません。
自賠責保険に加入する
自賠責保険証も車検には必要です。前所有者が車検期間まで契約を続けていれば良いのですが、基本的には車を手放した時点で解約しているはずです。ですからとりあえず自賠責保険に加入し、自賠責保険証を交付してもらう必要があります。
自賠責保険は、保険会社で手続きが出来ます。1か月単位から加入が出来ますので、あなたの都合に応じて契約期間を決めることもできます。
4. 車検が切れている場合の注意点
法律上、車検が切れている車を公道で走らせることは出来ません。そのため車検場に持ち込むにしても、仮ナンバーがなければ動かすことが出来ません。
もちろん仮ナンバーは、市区町村役場に申請すればすぐに発行してもらうことは出来ます。ただし仮ナンバーの有効期限は5日間となっているため、有効期限が切れた仮ナンバーは「車検切れの車」と同じです。
車検業者によってはあなたの自宅まで引き取りに来てもらうこともできますが、業者によって対応が異なる点も注意しなければいけません。無料で引き取りをしてくれる業者もいますが、手数料が発生する場合もあります。
また車検が切れているということは、自賠責保険の契約も切れているということです。ですから改めて自賠責保険に加入する必要があります。
自賠責保険に加入すれば自賠責保険証が発行されますが、その内容に記載漏れなどがあった場合は正しい保険証を発行してもらう必要があります。
いずれにしても車検が切れた状態で他人名義の車を車検に通す場合は、「かなり手間がかかる」と「車検や名義変更にかかる費用が高くなる」の2点がデメリットになります。
5. まとめ
名義変更がされていない車であっても、車検を通すことは出来ます。ただしこれから先あなたが乗り続けていくことを考えた場合、出来るだけ早く名義変更をしておくことがベストです。
時間や手間をかけたくない場合は、車検と同時に名義変更を行うことも出来ます。しかし、名義変更をするためだけに必要な書類もたくさんあります。
ですので、所有者が変わった時点で名義変更をしておくのが、結果的には時間・手間・費用ともに節約できてベストでしょう。