日本のいくつかの場所で、自衛隊の装甲車が公道を走っている様子が見かけらているように、軍用車両(たとえ戦車であっても)公道を走ることができます。

中には自分も装甲車に乗って公道を走りたいという夢を持っている方もいらっしゃいますし、実際にその夢を叶えた方もいます。

では、どうすれば装甲車に乗って公道走行ができるのでしょうか?

そのためには、

  • 道路法
  • 道路運送車両法
  • 道路交通法

この3つの法律を理解する必要があります。

また、装甲車の購入は海外から輸入することがほとんどです。しかし、この輸入もハードルが非常に高くなっています。

つまり、装甲車で公道走行するためには、

  1. 日本で公道走行可能な装甲車を理解する(道路法)
  2. 装甲車を購入して所有する
  3. 車検に通るように整備、改造してナンバープレートを取得する(道路運送車両法)
  4. 装甲車で公道走行するために必要な免許を取得(道路交通法)
  5. 自動車保険にも加入する

このような5つの手順ををクリアしていく必要があります。

今回はその詳細をお伝えしていきますので、一緒に確認していきましょう。

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①日本で公道走行可能な装甲車を理解する

自衛隊の装甲車が公道走行する動画をチェック

こちらの動画のように、自衛隊の装甲車も公道走行が可能です。また、こちらの装甲車は車線からはみ出ないほどのサイズですが、実は巨大な戦車であっても公道を走ることができます。

個人所有の装甲車が公道走行する動画をチェック

また、こちらの動画のように、個人が所有する装甲車(フェレット装甲車)でもナンバープレートを取得すれば、日本でも公道走行が可能です。

ただし、所有者が自衛隊であろうと個人であろうと、一般の乗用車とは訳が違いますので、いくつかの条件を満たす必要があります。

では、どのような装甲車であれば日本の公道を走ることができるのでしょうか?これを知るためには、まず道路法の車両制限令を理解する必要があります。

道路法の車両制限令とは?

道路法第47条1項 車両制限令第3条には以下のように、道路を通行できる車両を定めています。

この最高限度以内であれば、乗用車と同じように公道走行が可能です。

しかし、これを超える場合には特殊車両と呼ばれ、通行許可がないと公道走行はできません。

特殊車両通行許可は、通行しようとする道路の管理者への申請が必要になります。

  • 都道府県道の場合:各都道府県
  • 市町村道の場合:各市町村
  • 国道の場合:国土交通省

申請方法については、CDーROMを利用したFD申請以外にもインターネット申請が可能になりました。インターネット申請の場合、国土交通省の「特殊車両通行許可オンライン申請」のホームページから可能です。

交通許可が降りれば、たとえ戦車であっても公道走行が可能です。(戦車は大型特殊車両に該当します。)ただし、周囲の安全確保や誘導のための車両等も準備する必要があります。

例えば、平成29年に行われた陸上自衛隊北部方面隊の長距離機動訓練では、装甲車4両が公道を走るために誘導車両17両が用意されました。

つまり、車両制限令の最高限度を超えていても、許可証があれば公道走行は可能ですが、毎回の申請と誘導車両等の準備も必要になるということです。また、そもそも、通行許可が下りない可能性もあります。

以上のことから、個人が所有する装甲車を公道で走らせるには、まずは車両制限令の最高限度を超えない装甲車を見つけることが現実的だと言えるでしょう。

日本で公道走行が可能なフェレット装甲車とは?

では道路法における車両制限令以内の装甲車とはどのようなものでしょうか?例えば、自衛隊の96式装輪装甲車があります。こちらの装甲車は、

  • 全長:6.84m
  • 全幅:2.48m
  • 全高:1.85m
  • 全備重量:約14.5t

このように車両制限令の最高限度以内の車体サイズ、重量となっているため手続きなしで公道走行が可能です。

しかし、自衛隊車両は個人が所有することはできません。そのため、公道走行する夢を叶えるためには、海外の装甲車を購入・輸入することになります。自衛隊車両は民間への払い下げはありませんが、海外であれば軍払い下げの車両が中古販売されているからです。

その中でも、車両通行許可証がなくても走れる車体サイズ・重量の装甲車を選ぶことになります。この条件を満たしているのが、イギリス軍で開発されたフェレット装甲車です。

こちらは小型・軽量設計であるため、実際に日本で公道走行に成功した装甲車になります。

フェレット装甲車にはいくつかの派生型があるのですが、MK 1/2のスペックは以下の通りです。

  • 全長:3.7m
  • 全幅:1.91m
  • 全高:1.88m
  • 重量:3.7t

このように、個人が装甲車を所有して公道走行させるためには、

  • 道路法の車両制限令を理解する
  • 手続きが不要な最高限度以内の装甲車を探す

まずは、こちらのステップが必要になります。

②装甲車の中古車を購入して所有する

次のステップは、実際に装甲車を購入することです。こちらについては、「装甲車を中古車で購入する方法と販売店・値段情報まとめ」で詳しくお伝えしていますので、今回はポイントを確認していきます。

まず、先ほどお伝えした通り、個人が装甲車を所有するには、海外から中古車を購入・輸入する必要があります。軍払い下げ車両を扱っている業者がいくつかありますので、こちらを利用することになるでしょう。

ただし、海外業者とのやりとりが必要になりますし、輸入の際は税関との複雑な手続きも必要になります。装甲車を日本へ輸入することに成功した方は、海外エージェント、ブローカーを利用しています。

そのため、まずは日本で輸入実績のある業者に相談することがおすすめです。いくつかの業者がありますので、こちらで確認しておきましょう。

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③装甲車が車検に通るように整備・改造してナンバープレートを取得する

装甲車が用意できても、そのままの状態では公道を走らせることはできません。車検を通してナンバープレートを取得する必要があります。

車検の内容に関しては、装甲車だから特別な基準がある訳ではなく、乗用車と同様に道路運送車両法における保安基準を満たすことが必要になります。

そのため、道路運送車両の保安基準第1条から第73条までクリアするように、装甲車を改造・整備しなくてはなりません。

つまり、車検に関する知識と装甲車を改造・整備できる技術を持った整備工場や整備士を見つける必要があります。当然ですが、装甲車を扱ったことがある整備士はほぼいないため、引き受けてくれる業者を探すことも大変になるでしょう。

また、車両マニュアルや交換部品も必要になります。そのため、これらが手に入るかどうかも車両購入前に調べておくようにしましょう。

以上のことから、これまでに装甲車を車検に通したことがある整備士などとつながりを持っておくことが重要になります。

④装甲車で公道走行するために必要な免許を取得

ここまでのステップをクリアすれば、装甲車で公道走行が可能になります。

そこで気になるのは、装甲車を運転するために必要な免許の種類ではないでしょうか?

装甲車が公道を走る場合には、道路交通法が適用されますので、以下の基準を参考にして下さい。

※平成29年3月12日から準中型自動車が新設されました。これにより、普通免許で乗ることができる車両の範囲が狭くなっていますので注意しましょう。特に、先にお伝えしたフェレット装甲車の場合にも、車重には注意が必要です。

この基準内であれば普通免許でも装甲車を運転することができます。ちなみに、戦車などは大型自動車に分類されますので、大型免許が必要になります。

以上のことも考慮した上で、車両選びや改造・整備を進めることが大切です。

⑤自動車保険にも加入する

いよいよ装甲車に乗って公道を走り出す準備ができました。ただ、ここでもう1つ忘れてはいけないのが、自動車保険への加入です。

車検に通す際に強制保険(自賠責保険)には加入していますが、乗用車と同じように自動車保険にも加入するようにしましょう。

最近は、通販型の自動車保険が人気ですが、装甲車の場合には加入できないことがほとんどでしょう。実際に装甲車に乗っている方は、東京海上日動を利用しているようです。

各保険会社に問い合わせ、補償内容等を確認してから加入しておきましょう。

装甲車で公道走行するまでに必要な費用

以上の5つの手順によって装甲車で公道を走ることができるようになります。輸入や車検に通すための手続きなど、ハードルが高い部分もありますが、夢を叶えるためにもぜひチャレンジしてみましょう。

最後に、この夢を叶えるために必要な費用もお伝えしておきます。

こちらでもご紹介しているように、装甲車の購入価格は300万円前後となり、思いの他安く購入することができます。しかし、輸入や車検手続きに600〜700万円前後必要となります。

トータルで10,000万円前後の費用が必要になると考えていただくといいでしょう。また、整備・修理や保管などにかかる維持費が必要になることも忘れないようにしましょう。

装甲車の車検をとって公道を走らせる方法まとめ

今回は、装甲車を購入して公道を走らせるための5つの手順をご紹介しました。

  1. 日本で公道走行可能な装甲車を理解する
  2. 装甲車を購入して所有する
  3. 車検に通るように整備、改造してナンバープレートを取得する
  4. 装甲車で公道走行するために必要な免許を取得
  5. 自動車保険にも加入する

これらを理解するためには、道路法、道路運送車両法、道路交通法を理解する必要があります。また、その費用もトータルで1,000万円ほどかかります。

決して簡単ではありませんが、装甲車で公道を走る夢を叶えるためにも、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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