エンジンオイルは原則としてメーカーが指定した粘度のものを使用しますが、特定の条件下でその指定粘度とは異なるエンジンオイルを選ぶ事で性能が向上するケースがあります。その中のひとつに過走行車が含まれています。
年間走行距離が2、3万㎞以上で年式が新しい過走行車から、1年で1万㎞以上走行した10年前の車、更に年式の古い車で走行距離がかなり多い車など、過走行車にも様々なケースがあります。そのケースや車、メンテナンスの具合によっても摩耗にバラつきはありますが、早ければ10万㎞前後を目安に症状が表れます。
過走行車に見られるエンジントラブルや様々な症状の中には、意外にもエンジンオイルを交換するだけで簡単に改善する場合もありますので、詳しく確認していきましょう。
過走行車に見られるエンジントラブル・症状
過走行車に見られる代表的とも言える症状を列挙すると以下のようなものがあります。
- エンジンのかかりが悪い
- エンジンの振動や音が大きくなる
- 白煙が出る
- オイル漏れ
- オイルが減る
- パワーダウン
これらの症状が起きる原因は様々ありますが、もっとも大きな原因がエンジンオイルの粘度です。過走行車の場合、メーカー指定のオイルを使っていたとしても粘度が合わなくなってしまうのです。
一般的に過走行車にはメーカー指定オイルよりも粘度を上げることをすすめられます。まずはメーカー指定の高温側の粘度をひとつ上げて使用してみましょう。
例)純正オイル:5W-30 → 変更後のオイル:5W-40
※「W」の付いている左側の数字は低温冷間時(エンジンスタート時)の粘度数値です。右側がエンジンが温まっている状態での粘度数値です。まずは右側(高温側)の粘度を一つ上げてみましょう。粘度を一つあげる場合は純正オイルよりも「10」増やしてください。
過走行車のエンジンオイル粘度を上げる効果
通常、エンジンのピストンとシリンダーには適切なクリアランス(隙間)が設けられています。このクリアランスでメーカーによる粘度指定のエンジンオイルを入れると、油膜によって気密性を保つ事ができます。(隙間をオイルで塞ぐことができます。)
しかし、過走行車の場合、摩耗によってクリアランス(隙間)が大きくなったしまう為、純正指定のオイル粘度では気密性が保てなくなってしまいます。摩耗して広がったクリアランスを塞ぐために、オイル粘度を上げ気密性を保つことでエンジン性能の改善が期待できます。
過走行車にオススメのエンジンオイル
過走行車といっても年式が古い過走行車もあれば年式が新しい過走行車もあります。こうした様々なケース別におすすめのエンジンオイルをご紹介します。
Kendall(ケンドル)「GT-1®Endurance Motor Oil with Liquid Titanium®」
5W-20・5W-30・10W-30・10W40
アメリカでは有名な老舗エンジンオイルメーカーです。走行距離10万㎞以上の車をターゲットにして、エンジンオイルとしては勿論、シールの劣化抑制、修復実験といった潤滑以外にも、シールに対する影響のテストもしている本格的な多走行、過走行車向けエンジンオイルです。
1年または1万6千㎞のロングライフなので、普通のエンジンオイルよりもコスト面でも嬉しい所がポイントです。
RIZOIL(ライズオイル)「GTR-S」
10W-30・10W-40・20W-50
こちらは旧車や過走行車など、走行距離を重ねた車に良いエンジンオイル専門の国内メーカーが手掛けたエンジンオイルです。
前身が整備屋という事もあり、メカニック目線を取り入れたエンジンオイルの開発が特徴的です。メーカーの知名度や歴史としては、ここで紹介している2社よりも劣りますが、着実にシェアを拡大している注目のエンジンオイルです。
Mobil「スーパー2000ハイマイレージ」
5W-30・10W-30
人気エンジンオイルメーカー、Mobilの数あるラインナップの中の一つで、過走行車、多走行車専用に向けて開発されたエンジンオイルです。低温時の始動性も良く、シールコンディショナー配合で、オイル漏れへの対処も施しています。
今回ご紹介しているメーカーの中では、国内での知名度も高く、信頼と実績もあるMobil「スーパー2000ハイマイレージ」がオススメです。
まとめ
過走行はエンジンが傷んで壊れたり修理が必要になってしまう前に、早めに最適なエンジンオイル選びんで対策するようにしましょう。今回ご紹介しているような過走行車に最適なエンジンオイルを入れる事で、違いを体感できた人や燃費が向上したというケースも少なくありません。
過走行車の愛車が不調な場合は、この是非一度エンジンオイルを一新してみてはいかがでしょうか。