車を公道で走らせるためには必ず持っていなければいけないのが車検証です。でも健康保険証のようにコピーを持っているだけだと、一体どうなるのでしょう?もしかしてこれも罰則の対象になるのでしょうか?
さらに車検証といえば気になるのが、車の名義変更や車検です。名義変更や車検の手続きの際には車検証が必要になりますが、このような場合でもコピーで対応することが出来るのでしょうか?
そこで今回は「車検証のコピー」に関する気になる疑問をピックアップしていきます。
1. 車検証はコピーの携帯でも大丈夫?
車に関するあらゆる情報が書かれた証明書のことを「車検証(自動車検査証)」といいます。単純に車検に通っていることを証明するだけではなく、車の所有者の個人情報などもかかれています。
もちろん日本の法律では、車検証の期限が切れている車を公道で走らせることは出来ません。厳しい罰則はもちろんですが、違反点数だってつきます。
では車検が切れていないけれどコピーしか持っていない場合はどうなのでしょう? 何しろ物騒な世の中ですから、いつ自分が車上荒らしの被害を受けるかわかりません。
車の中に置いてあった貴重品が盗まるなどの被害は確かにキツイですが、車検証を盗まれてしまうともっと大変なことに巻き込まれるかもしれません。さらに個人情報を悪用されれば、どのような被害を受けるかわかりません。
このような場合のために備えて原本は自宅に保管し、コピーを原本代わりに持っている方が安全な気がします。
そもそも車検切れではないのですから、「車検切れの車に乗っている場合と違って罰則の対象にはならないでしょ?」と思う気持ちはわかります。でもそれって本当に大丈夫なのでしょうか?
1-1. 車検証は原本の携帯が必要
実はこの考え方は間違っています。まず第一に理解しておきたいのが、「車を乗るためには車検証が必要」ということです。
これはちゃんとした法律によって決められています。しかもここでは「原本じゃないと効力を発揮しませんよ!」ということも書かれています。だからコピーではダメなのです。
このことがかかれている法律を「道路運送車両法」といいます。
ここではどのように書かれているかというと、「自動車は、自動車検査証を備え付け、かつ、国土交通省令で定めるところにより検査表彰を表示しなければ、運行の用に供してはならない。(『道路運送車両法第66条第1項』より抜粋)」とあります。
この法律の第66条には、車検証の備付け等に関する義務について書かれているものです。ですからものすごくわかりやすくいってしまうと、「原本があるのにもっていないと法律違反ですよ!」となります。
1-2. 車検証不携帯の罰則
まずはじめに車検証の備付けに関する違反の罰則から説明しましょう。車検証を持たずに車に乗るということは「車検証不携帯」となります。
この場合は道路運送車両法第66条第1項に違反するため、最高50万円以下の罰金となります。では「コピーはちゃんと持っている」という場合はどうなのでしょうか?
実はこれも罰金の対象になります。原本がない時と同じく、最高50万円以下の罰金が科せられます。
「盗難被害防止のためにコピーだけを車に乗せている」という人もいますが、これは立派な法律違反です。違反点数の対象にはならないものの、見つかれば最高50万円もの罰則金ですから必ず原本を車にのせておくようにしましょう。
事故を起こした場合、コピーだとどうなる?
事故を起こしてしまった場合、警察による事故の検証を受けなければいけません。もちろんその際には、車検証を警察官に見せなければいけません。
この時に車検証がコピーだとバレた場合、事故を起こしたことによる罰則以外に「車検証不携帯」が追加されます。
もちろん事故の内容によっては、厳しい罰則や罰金、違反点数の対象となることもあります。
でも「事故に対する罰則規定」と「車検を持っていないことに対する罰則規定」はそれぞれ法律が違いますから、「それぞれの法律を違反した」と処理されます。
ですからコピーしか持たずに事故を起こした時は、「事故」の罰則と「車検証不携帯」の罰金が科されます。
自賠責保険証もコピーだとダメ?
自働車を走らせるためには、「車検証」と「自賠責保険証」はセットで携帯していなければいけません。もちろんどちらも期限が切れていないことが、公道を走らせる上での前提条件にあります。
ですから車検証と自賠責保険証は、セットで保管するのが基本です。となると、「車検証のコピー=違反の対象」であれば「自賠責保険証のコピー=違反の対象」なのでしょうか?
実は、その通りなのです。
自賠責保険に関する法律には「自動車損害賠償保障法」というものがあります。この法律の中に、「自動車は、自動車損害賠償責任保険証明書を備え付けなければ、運行の用に供してはならない」とあります。
つまり車検証と同じく、「持っていなければ車を運転してはいけない」ということです。違反すれば「自賠責保険証不携帯」ということになり罰金の対象になります。
もちろん自賠責保険証に関しても、原本を携帯することが原則です。ですから原本を持っていなければ違反になります。
2. 車検証のコピーで名義変更はできる?
車検証は、言い換えれば「車の身分証明書」です。車は自動で走るわけではありませんから、誰かが運転する必要があります。つまり「車には必ず所有者がいる」ということです。
「車の所有者が責任をもって車を管理する」ということをきちんと証明するのも、車検証の大切な役割です。
ですから名義変更をする場合は、必ず原本でなければいけません。名義変更が終われば、自動的に車検証に記載される所有者の名前も書き替えられます。
3. 車検証のコピーでも車検を受けられる?
車検を受ける際には、必ず原本が必要です。そもそも車検証がなければ公道を走れないのですから、車検場に車を移動することもできません。
4. 自動車保険への加入は車検証のコピーが必要?
自動車保険には「強制」と「任意」があります。所有者が必ず入らなければいけないのは、強制保険といわれる「自賠責」です。
「加入をしない」ということは「自賠責保険証を持っていない」ということですから、日本の法律では違反の対象になります。
自賠責に加入するためには、車検証が必要になります。車検証は車に関するあらゆる情報が詰まった大事な証明書ですから、自賠責の加入時に必ず必要になります。
これに対して任意の場合は、加入をする・しないは「車の所有者の判断次第」です。加入していないとしても法律違反ではありません。
でも万が一の場合に備えて加入する人の方が多いです。ちなみに任意の保険であっても、加入の際には車検証が必要です。
ただし加入時に必要なものは、各保険会社によって対応が違います。例えば「原本は面接時に確認し、控えとしてコピーをとる」もありますし、「コピーがあれば問題ない」ということもあります。
中には車検証の内容をFAXで送れば加入手続きをしてくれることもあります。
車検証が必要なこと「強制」でも「任意」でも同じなのですが、加入の際の対応は保険会社によって違うので気になる場合は事前に問い合わせをしておくと良いでしょう。
5. 車検証コピーの扱い方まとめ
車上荒らしに合わないためには「車の中に貴重品を置かない」が一番です。でも法律で決められている以上、車検証は持っていなければダメです。もちろんコピーもダメ!
もしも見つかれば最高50万円の罰金を払わされることになりますし、事故を起こした場合などはかなり厳しい処分になります。
安全のためにはコピーで済ませておきたい気持ちもわかりますが、法律違反になりますから別の方法で安全を確保するようにしましょうね。