ポルシェの代名詞と言えば911です。50年以上も変わらないフォルムとRR駆動を持つ、まさに名車です。しかし、誰もが憧れる911は、かつて運転の難しい車としても知られていました。
RR駆動とハイパワーなエンジンから生まれる癖のある挙動は、他の車とは全く異なるものだからです。操作を誤ればオーバーステアからコントロールを失いスピンなんていう可能性も考えられるのです。
確かに、ポルシェの運転にはコツが必要です。しかし、特別な運転テクニックが必要かと言われれば、決してそんなことはありません。毎日のように公道を走るポルシェを何台も見かけますが、彼ら全員が優れたテクニックの持ち主ではないのです。
ポルシェを運転するための基本テクニックさえわかっていれば、誰でも楽しめるのがポルシェです。
一方で、サーキットでレース走行、高速走行する場合には話は別です。ポルシェの限界を知り、そのポテンシャルを見極めた上で、スポーツドライビングテクニックが必要になります。
では、具体的にどのような運転テクニックが必要になるのでしょうか?今回は、その詳細をお伝えしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
1. ポルシェの運転にはテクニックが必要?
1-1. 公道走行なら初心者でも運転テクニックは不要
ポルシェの運転は素人では難しいと思われています。それは、スポーツカーであること、ハイパワーであること、コーナリングに癖があること、もしくはブランド力や高級車であることも影響しているかもしれません。
そのため、特別なテクニックがなければかっこよく運転できず、一部の上級者しか操れない車だと認識されているのでしょう。
しかし、実際には高度なテクニックは必要なく、ポルシェ初心者の方でも十分にその走りや魅力を体感することができます。現実的にみても、公道を走っているすべてのポルシェオーナーが高度なドライビングテクニックを持っている訳でもありません。
ただ、そうは言っても国産車とは比べ物にならない性能を持っていますし、静寂性や乗り心地を追求したラグジュアリーな高級車とも一線を画するものです。
これらと同じように運転すれば公道で暴走してしまうかもしれません。ポルシェに乗って公道走行するために特別なテクニックは不要です。ただし、安全に操るためには、正しいドライビングポジションやステアリング操作、アクセルワークなどは理解しておくといいでしょう。詳しくは、「ポルシェの運転は難しくない?!今すぐできる3つのコツ」で確認してください。
1-2. ポルシェ911系はRR駆動の癖に注意
ポルシェの運転に高度なテクニックは必要ないとお伝えしましたが、911系には注意が必要です。なぜなら、RR駆動が独特の癖を持っているからです。しかしながら、これを魅力に感じている数え切れないほどの911オーナーがいるのも事実です。また、ポルシェに乗るならやっぱり911がいいと検討されている方も多いでしょう。
では、911系の運転には特別なテクニックが必要になるのでしょうか?911系の運転が難しいと言われる理由を確認しながら、そのドライビングテクニックをみていきましょう。
2. ポルシェ911の歴史とRR駆動の運転テクニック
2-1. RR駆動とは?ポルシェの歴史を振り返る
ポルシェ911に採用されているRR駆動とは、リアエンジン・リアドライブの方式のことをいいます。つまり、後輪の車軸より後方にエンジンが搭載され、駆動輪が後輪となっている構造のことです。
現在、国産車のほとんどはFF駆動(フロントエンジン・フロントドライブ)ですので、真逆の構造になっていることがわかります。FF駆動の場合、車両前方のボンネットを開けるとエンジンが搭載されていますが、RR駆動の911の場合には後方のエンジンカバー(エンジンフード)を開けるとエンジンが現れるのです。
ポルシェの歴史は1948年のポルシェ356から始まります。小型スポーツカーとして製造・販売されていた356でしたが、その後継車として1963年に登場したのが911になります。それから50年以上に渡り、RR駆動とあのデザインはほとんど姿を変えずに現在に引き継がれているまさに名車と言える車です。
2-2. オーバーステアが課題だったポルシェ911
ポルシェ911は356の車室空間の狭さの解消とOHV の4気筒からSOHCの 6気筒水平対向エンジンに乗せ替えられました。また、ポルシェ356はオーバーステア傾向が強い車でしたが、初代911(901型)ではこの課題も克服されたように見えました。
しかし、2代目の930型へモデルチェンジする際のエンジン排気量のアップに伴い、再びオーバーステア傾向のウォークポイントが出現します。つまり、ポルシェ911はドライバーにとって運転の難しい車だったのです。
また、当時FF駆動が主流となっていたこともあり、駆動方式の変更を求めるユーザーからの声がありました。そこで、FR駆動のポルシェ924、944、968、928が開発されました。
ところが、思ったように販売台数が伸びることはありませんでした。それは、ポルシェと言えば911、RR駆動だというイメージがファンの間で強く根付いていたからです。
結局ポルシェ911は改良に改良を重ねます。フロントに重りを載せたり、ホイールベースの延長、トレッド幅の拡大、ターボエンジン、リアウイング、4WDなど50年以上に渡る進化を見せたのです。
2-3. ポルシェ911の運転に必要なテクニック
こうした歴史を経て、現在のポルシェ911がどのように進化したのでしょうか?基本的な構造はRR駆動のリアヘビーであることは変わりありません。アクセルを軽く踏み込めば、リアタイヤから一気に押し出されるような加速力はそのままです。
しかしながら、公道走行において強いオーバーステア傾向があったり、コントロールを失ってスピンしてしまうようなことはありません。
ただ、FRやFF駆動の挙動とは異なり、アクセルオンでアンダーステア傾向、アクセルオフでオーバーステア傾向であることはRR駆動ならではの特徴でもあり、これがポルシェファンにとっての魅力であることは間違いないでしょう。
つまり、ポルシェ911であってもその挙動を理解していれば、決して高度な運転テクニックは必要としないのです。
では、サーキットでスポーツドライビングを考えている方にとってはどうでしょうか?この場合には、やはりポルシェのポテンシャルを引き出すためのテクニックが必要になります。
公道走行では感じることができないポルシェの性能と限界を知り、それを意のままに操るテクニックを身につけることでしか味わえない世界があります。
3. ポルシェをサーキットで運転するために必要なテクニック
では、ポルシェの限界を引き出すためには、具体的にどのようなテクニックが必要になるのでしょうか?それは、
- 緊急回避
- 急制動(ABSブレーキ)
- スラローム走行
- ウェット定常円旋回
- コーナリングブレーキ
- コーナリングテクニック
- サーキット走行ライン取り
こうしたテクニックから身につけることが重要です。
まずは、フルブレーキによる最大Gやブレーキ性能の高さを体感したり、ABSが作動した状態でのブレーキとステアリング操作による緊急回避、スラローム走行や定常円旋回が行えるようなアクセル、ステアリングワークによる車両姿勢のコントロールなどの基本テクニックから身に付けましょう。
そして、RR駆動の特徴を理解したコーナリングテクニックやラインの見極めなど、実践的なレースドライビングテクニックへとステップアップしていきましょう。
4. ポルシェの運転テクニックを磨く!おすすめドライビングスクール
高度な運転テクニックを身につけるには、やはりプロから教わるべきです。なぜなら、テクニックの精度はもちろんのこと、車両にとってもドライバーにとっても安全な環境でトレーニングすることができるからです。そこで利用したいのがポルシェオーナーを対象としたドライビングスクールです。
4-1. ポルシェスポーツドライビングスクール(ポルシェトラックエクスペリエンス)
ポルシェスポーツドライビングスクール(現在は名称を改め、ポルシェトラックエクスペリエンス(PTE)となっています。)は、ポルシェ公認のスクールとなっており、ポルシェオーナーだけが参加できます。その内容は、Warm Up、Precision、Master、Fast Trackといった初級者から上級者まで参加できる4つのプログラムが用意されています。
また、インストラクターには有名なGTドライバーなどが迎えられ、富士スピードウェイなどのコースを利用した本格的なドライビングスクールとなります。
もちろん、運転テクニックに自信がない方でも、ポルシェの構造や特徴の講座があったり、正しいドライビングポジションなどの基本的なテクニックから学ぶことができますので安心してください。インストラクターからのレクチャーも無線等を利用して、タイムリーに直接指導を受けることまでできますので、一人一人のレベルに合わせて参加することができます。
各プログラム内容や参加条件・費用については、こちらからご確認いただけます。また、少し古い動画になりますが以下のようなプロモーション動画やスクール風景の動画も参考にしてください。
・ポルシェスポーツドライビングスクール(ポルシェトラックエクスペリエンス)のプロモーション動画
・ポルシェスポーツドライビングスクール(ボルシェトラックエクスペリエンス)のスクール風景
5. ポルシェの運転に必要なテクニックまとめ
いかがだったでしょうか。運転が難しいと言われるポルシェですが、誰もが格好よく乗りこなしたいと思いますし、実際にその走りを見れば自分もあんなテクニックを身に付けたいと思うでしょう。
そのためには、高度な運転テクニックが必要になると思われているかもしれません。しかし、公道を颯爽と走るだけであれば特別なテクニックは不要です。
例えば、RR駆動の特徴を理解したり、基本的なドライビングポジションやアクセルワークができれば誰でもポルシェを運転することができます。
そのためには、今回の記事を参考にしていただいたり、ドライビングスクールに参加して見るのもいいでしょう。もちろん、サーキット走行のためのより高度なテクニックを習得したい方にもおすすめです。
ぜひポルシェを思いのままに操れる運転テクニックを身に付けて、ポルシェライフを楽しんでください。