車検が切れたままの車に乗ることは、法律上禁止されています。でも車検が切れたままでも運よく捕まらないこともあります。そうなると「捕まらなければ大丈夫?」という疑問も浮かんできます。
しかし、車検切れのままの車の場合、捕まれば厳しい罰則がついてきます。たとえ捕まらなかったとしても、車検切れの車を運転していれば重大な事故を引き起こす恐れがあります。
そこで今回は車検切れの車に関する様々な疑問について、様々な視点から分かりやすく解説していきます。
1. 車検切れで捕まる場合と捕まらない場合
「車検が切れたままの状態でも警察に捕まる場合と捕まらない場合がある」という話を耳にしたことがあると思いますが、それはかなり危険な勘違いです。
確かに飲酒や職務質問などのような検問に引っかかった場合は、フロントガラスに張られているステッカーの表示を見れば車検証を確認しなくてもすぐにバレてしまいます。
とはいえ、こういった検問に引っかかるということは、そう滅多にはありません。しかしこれからは、そう甘くもいかなくなります。
なぜなら車検が切れた車を取り締まるための新システムを導入することがすでに発表されているからです。
今後導入される新システムでは、あらかじめ路上にナンバーを確認する専用カメラを設置し、即座に読み取ったナンバーと過去のデータを照合します。その時点で車検が切れていることが分かれば、すぐにレッカー移動をされてしまいます。
そのためこれまでは検問などによる取り締まりによってしか見つけられなかった車検切れの車も、この新システムが導入されればすぐに捕まります。ですから「捕まらない方法」を探す方が無駄なのです。
2. 車検切れで捕まると罰金や罰則・点数はどうなる?
車検切れの車は、法律違反となるためどのような言い訳をしたとしても罰則・罰金などの対象となります。ちなみに車検証に関する違反にもいくつか種類があるので、それぞれのケースごとに罰則規定について説明します。
2-1. 無車検車運行
「無車検車運行」というのは、車検切れの車を公道で走らせたことによる違反の場合に使われます。そもそも車のユーザーは2年毎(新車の場合のみ初回車検は3年)に陸運支局などによる検査を受ける義務があります。
検査を受けすべての保安基準が満たされた上に必要な法定費用を支払うと、新たに車検証が発行されます。そのため車検証が切れているということは、日本の法律上「道路を運転してはいけない」となっています。
無車検車運行で捕まった場合、①30日間の免許停止処分 ②懲役6ヶ月または30万円以下の罰金 ③違反点数6点 となります。
2-2. 無保険車両運行
車の所有者は、必ず自賠責保険に加入しなければいけません。これは強制保険といわれている物で、車を所有する限りどんな理由があっても加入しなければならない保険となります。
そのため一般的には車検を受けるタイミングと併せて自賠責保険の加入手続きをします。保険の契約期間は1か月単位から受け付けていますが、車検の有効期限が2年間となっているため保険も24ヶ月契約とするのが基本です。
とはいえ何らかの事情で、「車検は切れていないけれど自賠責保険の契約が切れている」ということもあります。この場合も車検切れの車と同じく罰則・罰金などの対象となります。
無保険車両運行で捕まると、①1年以下の懲役または50万円以下の罰金 ②違反点数6点となります。
2-3. 無車検車運行+無保険車両運行
車検切れを起こしているということは、同時に契約をしている自賠責保険も切れていると考えるのが一般的です。そのため「無車検車運行+無保険車両運行」となると、驚くほど重い罰則・罰金などが科されます。
この場合は①90日間の免許停止処分 ②1年6ヶ月の懲役または80万円以下の罰金 ③違反点数12点 となります。ちなみに何度も繰り返すような悪質なドライバーの場合ほど刑は重くなる傾向にあります。
3. 車検切れ車両の補足・取り締まりが強化
冒頭でも少し紹介しましたが、今後は車検切れ車両の取り締まりが厳しくなっていきます。2017年に国土交通省によって発表された新システムは、すでにテスト段階が終了し2018年より本格的な導入で動いています。
ですから「今のところ捕まっていない」という人でも、いつどのタイミングで検挙されるかはわかりません。
現在のところ約20万台は車検切れ車両が存在するといわれていますが、それらの車両はいつ重大な事故を起こすかはわかりません。
また「車検切れの車=自賠責保険未加入」というわけですから、事故に巻き込まれた被害者の補償も危ぶまれます。
こうした実態を考えれば、今後さらに取り締まりが強化されることが予想されます。だからこそ「車検切れでも捕まらない」と豪語していた人も、これからはそうもいかなくなるでしょう。
4. 車検切れの車を運転する危険性
車検切れの車を運転する危険性は、2つあります。一つは「整備不良による重大な事故」による危険です。車の車検は、「安全に走行するための保安基準を満たしているか」をチェックするものです。
ところがそのチェックを受けずに走行を続けているのですから、いつどのようなタイミングで事故が起きてしまうかわかりません。
もう一つの危険性としては、「事故の被害者が泣き寝入りをする」という危険性です。車検を通す際に必ず契約をする自賠責保険は、事故に遭った被害者の補償をするための保険です。
つまり車検切れを起こした車のドライバーのための補償ではないのです。ところが加害者が自賠責保険に加入していないとなれば、被害者はケガや車の修理などに関する補償を受けられず泣き寝入りせざるを得ません。
もちろんこの場合も損害賠償請求を起こして加害者に請求するという方法もありますが、2年毎に義務付けられている車検すら受けていない加害者が多額の慰謝料の支払いに応じることはほとんどありません。
つまり結果として「泣き寝入り状態」になってしまうのです。
4-1. 車検切れの車で事故を起こす可能性
陸運支局などの検査は、国が定める保安基準に合格しているかを確認する検査です。日本の保安基準は非常に細かく設定されており、それぞれの項目に合格しなければいけません。
たった一つの不合格でも「再整備・再検査」の必要があるため、車検業者が定める合格ラインも国の保安基準よりも高めに設定されているのが実状です。
つまり車の車検は「普通に運転できるから大丈夫」ではなく「保安基準をクリアしている事」が条件にあるのです。ですからこの検査を受けていないということは、「いつ何かが起こってもおかしくない状態」といえます。
例えば安全な場所に停車した状態で車の異常が見つかれば、少なくとも第三者を巻き込むような重大な事故となる恐れはないでしょう。でも走行中に車の異常が見つかったとしたらどうでしょうか?
この場合は車検切れの車を運転していたドライバーだけでなく、多くの第三者を巻き込む重大な事故に発展しかねません。
このことからもわかるように車検切れの車は「違法だから乗ってはいけない」というだけでなく、「いつ何が起きてもおかしくない危険な状態だから乗ってはいけない」ということでもあるのです。
4-2. 刑事処罰の可能性
車検切れの車のドライバーの場合、「警察に見つかったらどうしよう?」と不安に思う気持ちは必ずどこかにあるはずです。でも事故はいつ起きるか予測できません。
もしも「無車検車運行+無保険車両運行」のあなたが人身事故を引き起こしてしまったら、重い刑事処罰となる可能性があります。
不注意による人身事故の場合
【被害者を負傷させてしまった】…過失運転致傷罪
【被害者を死亡させてしまった】…過失運転致死罪
危険運転・準危険運転による人身事故の場合
【被害者を負傷させてしまった】…危険運転致傷罪
【被害者を死亡させてしまった】…危険運転致死罪
交通事故の刑事処罰は厳罰化の傾向に!
交通事故による危険な事件・事故が多発していることを踏まえ、最近は交通事故の刑事処罰が厳罰化の傾向にあります。
つまり単なる事故だけでも厳しい処罰の対象となる上に、あなたが「無車検車運行+無保険車両運行」であるとしたら…想像がつきますよね?
5. 車検切れで捕まる前に車検期間の確認を!
車検切れで警察に捕まれば、違反点数は6点の即免停処分です。もちろん生活する上でも非常に困ることになるでしょうし、たとえ捕まらなかったとしてもいつ重大な事故を起こすかわからないのが車検切れの車です。
捕まれば厳しい罰則・罰金などが待っていますし、安全な運転のためにも決して見逃されません。ですから車検切れになって不安な毎日を過ごすことのないように、普段から車検の有効期限には十分に気をつけるようにしてくださいね。