タイヤの汚れ落としといえば、タイヤワックスを吹き付けておしまいとなりがちです。たしかに、タイヤワックスはスプレーするだけで汚れを浮き上がらせ、キレイにしてくれる優れものですが、タイヤを劣化させている可能性もあります。また、実はカーシャンプーなどもタイヤにダメージを与えていることもあるのです。そのため、意外かもしれませんが、おすすめのタイヤ汚れの落とし方は、水だけで洗う方法です。
そこで今回は、タイヤを劣化させない正しい汚れの落とし方についてご紹介します。ぜひチェックしていただき、早速洗車に取り掛かりましょう!
おすすめのタイヤ汚れの落とし方
ゴム製品であるタイヤの特徴として熱、光、オゾン、油、薬品などのストレスによって経年劣化することが知られています。そのため、洗剤や化学製品でタイヤを洗うのは、薬品によるゴムの劣化を進める可能性があります。つまり、タイヤのクリーニングは、できるだけ水だけで洗うのが最適ということになります。もし、水洗いだけで綺麗にならない場合には、中性洗剤を薄めた物を使うようにしましょう。
また、タイヤまわりを綺麗にするポイントはタイヤハウス(タイヤと車体の隙間部分のこと)にあります。タイヤだけではなくタイヤハウスの汚れも落とすことで、車全体が締まって見えるので綺麗に仕上げることができます。また、タイヤハウスから掃除をすることで、タイヤ本体も綺麗にしやすくなります。
このポイントを押さえて、タイヤにダメージを与えない汚れの落とし方を確認していきましょう。
①タイヤハウスの汚れを落とす方法
足回りを洗う順番はタイヤハウス→ホイール→タイヤとなります。順番を逆にするとタイヤハウスに残っている砂や泥のせいで、せっかく綺麗にしたホイールやタイヤを汚してしまうからです。
そこで、まずはホースや高圧洗浄器の水圧を利用して、タイヤハウス内の泥や砂などの汚れを洗い流します。同時にホイールにも水をかけて完全に熱を冷ましておきましょう。
タイヤハウスはボディのような塗装面ではないため、汚れを落としやすいブラシを使って奥まで洗い流します。柄の長いものを用意しておくと作業がやりやすくなるのでおすすめです。また、タイヤハウスには頑固な汚れが付いていることが多いので、そうした場合には中性洗剤を薄めたものを使用しながらブラシで汚れを落としましょう。
②ホイール汚れを落とす方法
タイヤハウスの汚れを洗い流したら、次はホイールを洗車します。ここでも中性洗剤を薄めたものをスポンジに付けて洗います。洗剤をホイールに直接かけると飛び散ってシミになる可能性があるため、必ず薄めたものを使うようにしましょう。
また、水で洗い流す前に洗剤が乾燥するとシミの原因になってしまうため、乾かないように注意しながらホイール全体をスポンジで洗っていきます。
ホイール全体を洗ったら、しっかり水で流します。洗剤分が残っているとシミや水垢の原因になるので注意してください。
③タイヤ汚れの落とし方
ここまできたら、いよいよタイヤの汚れ落としを始めます。
まずホースや高圧洗浄器の水圧を利用して、タイヤに付いた泥や砂を洗い流します。その後、十分に水で濡らした洗車ブラシで全体をざっと洗います。シャワーでタイヤに水をかけながら、ブラシで泥やホコリなどの汚れを洗い流すようにしましょう。タイヤを傷つけないようにタイヤ用ブラシを使うのもおすすめです。
タイヤのサイドウォール部(側面)は、タイヤのサイズやロゴなどが刻まれているため、ブラシの毛先で輪郭をなぞるようにこすり汚れをかきだします。タイヤのトレッド部(路面に設置する部分)は、溝に沿ってブラシでこすっていきます。ハンドルを切っておくと洗車しやすくなります。
全体にブラシをかけたら浮いた汚れをしっかり洗い流します。最後に、乾いた布でタイヤの表面を拭き上げていきます。布をこまめに折り返して、できるだけ乾燥した面で水分を拭き取るようにしましょう。
タイヤ汚れを綺麗に落とす3つのコツ
タイヤワックスを使用して劣化を防止する
タイヤには、ひび割れを防ぐための老化防止剤が入っています。車を走らせることでタイヤが少し歪むと、老化防止剤がタイヤの表面ににじみでてきます。タイヤが白っぽくなるのはこれが原因です。
老化防止剤がタイヤの表面にでてくることで、紫外線などによる劣化を防ぐ仕組みになっているのですが、この白くなったタイヤを洗剤やケミカルで綺麗にすると老化防止剤を洗い流してしまい、ひび割れの原因になる可能性があります。
そこで登場するのが、タイヤの黒いツヤを取り戻すためのタイヤワックスです。ただし、タイヤワックスの中にも老化防止剤を落としてしまうものがあるため注意が必要です。おすすめは水性タイプのものです。下の写真のような水性タイプは持続性が低いものの、砂やほこりが付きにくくなります。界面活性剤によってツヤを出しています。薬剤によるゴムへの影響はまったくないわけではありませんが、ダメージは少ないといわれています。
他には油性タイプやエアゾールタイプがあります。
まず、油性タイプは石油を使用していますので、ツヤ出し効果が高く耐久性も高いのが特徴です。しかし、石油によりゴムが劣化してしまい、頻繁に使用するとケミカルラックと呼ばれるひび割れが発生します。
エアゾールタイプは、タイヤの洗浄とツヤ出しが同時に行えるものです。タイヤ一周にスプレーするだけですのでとても簡単に使えます。しかし、こちらもゴムを劣化させやすいので、どうしても忙しくて時間がないという場合以外はおすすめできません。
このように、タイヤが白っぽくなるのは長持ちさせるためという理由があるのですが、タイヤの汚れをおとすだけではなく、黒くツヤのある状態にしたいという場合には、水性タイプのタイヤワックスを使用することをお勧めします。
詳しくは、「水性タイヤワックスおすすめ11選!」こちらで解説されていますので確認しておきましょう。
油性タイヤワックス落とし
タイヤワックスを塗ったのに、すぐにタイヤが茶色くなることがあります。これは、油性タイヤワックスに含まれている油がタール状になってタイヤにこびりついている可能性があります。こうした場合、中性のタイヤクリーナーで油性ワイヤワックスを落としましょう。
ボディやホイールにかからないようにタイヤクリーナーをかけます。油分が分解するまで1~2分放置します。クリーナーをしみ込ませたブラシでタイヤをこすります。力任せにごしごしとこするのではなく、ブラシの毛先で汚れをかきだすイメージで優しくこすります。
タイヤ全体をブラシをかけたらクリーナーが乾かないうちに水で洗い流します。クリーナーを完全に洗い流したら、乾いた布でタイヤの表面を拭き取ります。洗い残し、洗い流すことができなかったクリーナーがないことを確認しながら拭き上げましょう。
タイヤを劣化させない方法で洗車をする
最後にもう一度お伝えしますが、タイヤはゴム製品であるため洗車方法を間違えてしまうとタイヤの劣化に繋がります。カーシャンプーやケミカルを使うことで洗浄効果は期待できますが、ゴム製品であるタイヤを劣化させてしまう可能性があるので注意が必要です。
タイヤが劣化してしまうと次のようなタイヤの安全性能を損ねてしまいます。そうならないためにも、洗剤やケミカルの使用は最小限にしていきましょう。
荷重支持機能
車体の重さ、ドライバーと同乗者の重さ、積み荷の重さなどを、すべてタイヤが支えています。コンパクトカーでも車体重量は約1トンです。このように重たいものを支える強度がタイヤには備わっています。
駆動・制動機能
車が走るには、エンジンからの駆動力を路面に伝える必要があります。また、車が止まるには、ブレーキの制動力を路面に伝える必要があります。タイヤは、駆動力と制動力を路面との摩擦によって実現しています。
進路保持機能
車はハンドルの動きに応じて、直進することもあれば、方向を転換することもあります。タイヤは、ドライバーの思い通りに走るのを可能にしています。
緩衝機能
タイヤは、路面の凹凸による衝撃を吸収し、緩和します。タイヤに入っている空気やゴムの弾性によって、衝撃をやわらげることができるのです。
まとめ
タイヤにゴムが使われているのは、ゴムの優れた性質がタイヤの働きに欠かせないためです。しかし、ゴムは劣化しやすいためは老化防止剤が入っています。この老化防止剤は、少しずつ表面に出てきてひび割れを防いでいます。老化防止剤はタイヤを白っぽくしますが、紫外線からタイヤを守っているのです。
しかし、カーシャンプーやケミカル、タイヤワックスの中には、この老化防止剤まで落としてしまうものがあるので注意しましょう。タイヤ汚れを落とす場合には、まずは今回お伝えした水洗い、もしくは中性洗剤を薄めたものを使うようにしましょう。