車のヘッドライトはいつのまにか曇ったり黄ばんでしまいます。原因は、ヘッドライトに使われている素材の劣化です。いくら洗い流そうとしても綺麗にすることができません。どうすれば再びヘッドライトが新品のような透明感を取り戻せるのでしょうか?

ヘッドライト劣化の原因から対策、さらには対策後のメンテナンスまで詳しく解説していきます。

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1. 車のヘッドライト汚れの種類

まず車のヘッドライト汚れ(劣化)には、大きく2つの種類あります。

1-1. 黄ばみ

新車の時にはピカピカで透明だったヘッドライトが、いつのまにか黄色く薄汚れてしまうことがあります。この黄ばみは、カーシャンプーで洗車をしても落ちることはありません。

黄ばんだヘッドライトは遠目にも目立ち、対向車からでもはっきりとわかってしまうため、恥ずかしく感じている方も多いでしょう。

ヘッドライトは車のデザインに影響するパーツですので、黄ばんでいるだけで車の印象が大きく変わってしまいます。たとえ高級車であっても古ぼけてみえるため、どこか高級車ならではのオーラーが失われた印象をあたえがちです。

1-2. 曇り

黄ばみほど目立つことはありませんが、ヘッドライトをよく見ると曇っていることがあります。透明感がなく白濁することにより、視認性を下げてしまうこともあります。ひどい場合には、車検に通らないこともあるでしょう。この曇りも、黄ばみと同じく劣化が原因のため洗車では洗い落とせないものです。

2. 車のヘッドライト汚れの原因と洗車で落ちない理由

実は、この曇りや黄ばみは、ヘッドライトの劣化が原因になっています。もう少し詳しくお伝えすると、ヘッドライトに使われているポリカーボネイトの劣化です。

カーシャンプーで洗っても洗車機に通しても綺麗にならずに困っている方もいらっしゃいます。また、車の外観を大きく損なってしまうのはクルマ好きにとっては放置し難い現象です。

再びヘッドライトに輝きをもたらすには、磨きの作業で解決することができます。

2-1. ポリカーボネートとは

ヘッドライトに使われているポリカーボネイトとは、熱可塑性プラスチックの一種です。以前はガラス製のヘッドライトが主流でしたが、現在はポリカーボネイトが主流となっています。その理由としては、次のような特徴があるからです。

  • ガラスよりも耐衝撃性がある
  • ガラスよりも軽量
  • 加工がしやすい
  • 透明性がある
  • 燃えにくい

このような特徴から、ヘッドライトの素材として優れているのですがプラスチック樹脂のため劣化していきます

2-2. ポリカーボネイトが劣化する原因

ポリカーボネイトは、例えば、紫外線や高温多湿な環境によって、加水分解と言われる化学変化が起きて劣化してしまいます。また、オゾンの影響もあるとされています。

屋外で車を使用している限り、ヘッドライトの劣化を完全に防ぐことはできないことになります。さらに、アルカリや有機溶剤に弱く、溶けてしまう欠点もあります。例えば、アルコールやエタノール、アセトンなどです。

ガラス製のフロントガラスと同じようなケア方法では、かえってヘッドライトを劣化させてしまう可能性もあるため注意が必要です。ケミカル用品を利用するまえには用途や成分をしっかり確認しておきましょう。

2-3. ヘッドライトの劣化を守るハードコート

通常、車のヘッドライトには、ポリカーボネイトの欠点を補うために、特殊なハードコート塗装が施されています。

しかし、この塗装が時間とともに剥がれ落ちたり、効果を失ってしまうため、徐々にポリカーボネイト自体にダメージが蓄積され、曇りや黄ばみが生じてしまうのです。メーカーや車種によっても異なりますが、新車時からわずか3年ほどで黄ばんでしまうこともあります。

ヘッドライトを新車時のように綺麗にするためには、劣化したポリカーボネイトを取り除き、さらに劣化を予防する必要があるということになります。その方法について、さっそく次章より詳しく触れていきます。

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3. 車のヘッドライトの曇りや黄ばみ汚れを落とす方法

ヘッドライトを新車時のような綺麗で透明感のある状態に修復するためにはどうすればよいのでしょうか?具体的な方法についてご紹介していきます。今回は、初級編、中級編、上級編と分けてお伝えします。

【初級編】黄ばみ除去クリーナーを利用する

車のメンテナンスに慣れていない方や、この後ご紹介する中級編、上級編をご覧になって不安になられた方は、こちらの初級編を実践してみましょう。

初級編だからと言って、ヘッドライトが綺麗にならないということではありませんので安心してください。ただし、黄ばみの除去力が弱かったり、時間の経過とともに再び黄ばんでしまうため、繰り返し作業する必要があることは理解しておきましょう。

それでは、具体的な方法についてご紹介します。まず、今回使用する道具は次の通りです。

  • ヘッドライト用黄ばみ除去クリーナー
  • クロスもしくはスポンジ

道具の準備ができたら、早速作業を始めていきましょう。

ステップ1:ヘッドライトを水洗いする

洗車で落とせる汚れを綺麗に取り除きます。この後、ヘッドライトを磨く作業があるのですが、ホコリや砂などの汚れが残っていると、傷を作る原因となるため必ず事前に洗い流すようにしましょう。

ステップ2:ヘッドライト用黄ばみ除去クリーナーで磨く

市販の黄ばみ除去クリーナーには様々なタイプがありますが、磨き剤とコーティング剤がセットになっているタイプが便利です

まずは、磨き剤を使ってヘッドライトを磨いて、曇りや黄ばみを取り除きます。その後、コーティング剤を塗って劣化を予防しますクリーナーによって使い方に多少の違いがありますので、事前に取扱説明書を確認するようにしましょう。

【中級編】耐水ペーパーとコンパウンドを利用する

中級編では、初級編よりも黄ばみ落としの効果や、黄ばみ予防効果が高くなります。

中級編で使用する道具は次の通りです。

  • 耐水ペーパー(#1000、#1500、#2000)
  • コンパウンド
  • 家庭用中性洗剤
  • コーティング剤
  • マスキングテープ(サンダーやポリッシャーを利用する場合は特に)

耐水ペーパーの番手は目安になりますので、車の黄ばみの状態に合わせて変更するといいでしょう。コンパウンドは仕上げ用の微粒子タイプを用意します。

また、サンダーやポリッシャーを使えば、より一層綺麗に仕上げることができます。ヘッドライトに必要な道具がセットになっているものもありますので、初めての方は参考にして下さい。

ただし、これらの道具を使った作業には技術力や慣れが必要になります。道具が揃ったら、早速作業を始めましょう。

ステップ1:マスキング

ヘッドライト以外を磨かないように、ヘッドライト周囲をマスキングテープで養生してください。もちろん、マスキング前にはヘッドライトを綺麗に洗っておきます。

ステップ2:耐水ペーパーで黄ばみ落とし

耐水ペーパーを使用して、劣化して黄ばんだヘッドライトの表面を磨き落としていきましょう。1000番手あたりから始めるといいでしょう。ヘッドライトの状態に合わせて番手は調節してください。その後、1500番、2000番と変えて、黄ばみが取れるまで磨き上げてください。

また、耐水ペーパーを利用する時には、水を流しなが作業することを忘れないようにしましょう。

ステップ3:コンパンウンドで鏡面仕上げ

耐水ペーパーで黄ばみが落ちたら、微粒子のコンパウンドを使って表面を仕上げていきましょう。ポリッシャーを使える方は、短時間で綺麗にすることができます。摩擦熱には気をつけて作業しましょう。

ステップ4:ヘッドライトの脱脂

黄ばみ落としが終わったら、次にコーティングを行いますが、その前に下地処理として脱脂をしっかり行います。コンパウンド に含まれる油分や磨きカスを綺麗に洗い流します。油分を落とすには中性洗剤で構いません。

ステップ5:ヘッドライトのコーティング

研磨して黄ばみを落としただけでは、またすぐに劣化が進みます。この劣化を防止するためにコーティングを施します。

新車時にはハードコートと呼ばれる特殊塗装がなされているのも同じ理由です。

※塗装とコーティングという言葉が紛らわしいですが、塗装とはボディーの塗装と同じように、塗料(色)を吹き付けるイメージです。コーティングとは、市販のボディーコーティング剤と同じで、液剤を塗り込むようなものとしてお伝えしていきます。

市販されているコーティング剤はいくつもありますが、ヘッドライト用もしくはヘッドライトにも対応しているものを選ぶようにしてください。アルカリ性のタイプや有機溶剤が含まれているものは、ポリカーボネイトにダメージを与えてしまうからです。

施工方法はどれも非常に簡単で、綺麗になったヘッドライトにクロスやスポンジで塗り込むだけです。

ただし、ハードコートと比べてコーティング剤の効果は短く、メーカーによる持続期間は半年から1年程度となっているものが多くなります。そのため、1年のうちに少なくとも1〜2回は黄ばみ除去とコーティング作業が必要になります。

ラストコーティングは、プラスチック樹脂、メッキ、モール、革にも施工できるガラスコーティング剤を完成させています。ヘッドライトにも安心して施工することが可能になりました。コーティングにも多くの種類が存在しています。異なる種類や効果については『車のコーティングの種類と効果の違いをわかりやすく解説』の記事で詳しくまとめています。

また、コーティング剤の中には業務用とされているものがあります。例えば、ワコーズ「ハードコート復元キット」などです。ヘッドライト用のガラス系コーティング剤もあります。

これらはインターネットで購入することができますが、使用環境によっては1〜2ヶ月しか効果が持続しない場合もあるため、より耐久性のあるものを考えている方は、次の上級編もご覧ください。

【上級編】持続期間の長いハードコートとウレタンクリア塗装

・DIYハードコート

研磨技術に加えて、塗装技術や道具(スプレーガンなど)をお持ちであれば、新車時のハードコートに近い施工をすることができます。

例えば、イサム塗料「レンズリフォーマー2」などを購入することで、DIYでのハードコートが可能です。

・ウレタンクリア塗装

ハードコートの他に、ウレタンクリア塗装を行う方法もあります。こちらの場合は、スプレー缶タイプのものがありますので、塗装のための道具がなくても施工できます。

ただし、塗装技術は必要になりますので、この後ご紹介する手順で作業を進めてください。

また、ウレタンクリア塗料にも種類がありますが、ヘッドライトにも塗装できる2液型を選ぶようにしてください。具体的には、次のようなものから選ぶといいでしょう。

  • SOFT99「ウレタンクリアー」
  • ホルツ「ウレタンコートクリア」
  • イサム塗料「エアーウレタンクリア」

 

4. ヘッドライトのウレタンクリア塗装の方法と失敗しないコツ

DIYでのハードコートには、塗装のための道具を準備しなくてはなりませんが、ウレタンクリア塗装なら、便利なスプレー缶タイプのものを利用することができます。

必要な道具は次の通りです。

  • マスキングテープ、マスキングシート
  • ウレタンクリア塗料(2液型)
  • 中性洗剤
  • 耐水ペーパー(#2000や#3000)
  • 微粒子コンパウンド
  • マスク、手袋

それでは上手に塗装するためのコツを踏まえて、具体的な方法をご紹介していきます。

ステップ1:ヘッドライトの黄ばみ除去

ここまでご紹介してきた方法で、まずはヘッドライトの黄ばみを除去してください。

ステップ2:マスキング

今回は塗装作業になるため、ヘッドライト周囲だけではなく、ボディー全体をマスキングしてください。少なくともボディの前半分は必要でしょう。

ステップ3:中性洗剤で脱脂

中性洗剤による脱脂で下地処理をします。コンパウンドの油分や磨きカスをしっかり落とします。またアルカリ成分など万が一ポリカーボネートを劣化させる成分が付着していたとしても、施工前にしっかり落とすことでリクスヘッジができます。

ステップ4:ウレタン塗料を混ぜる

今回は、ヘッドライトにも使える2液型のウレタン塗料を用意します。このタイプは、使用する前に2液を混ぜる必要があります。スプレー缶を振ったり、ピンを押すだけですので特に難しくはありません。2液を混ぜた後は保存することができませんので注意しましょう。

また、缶が冷えていると上手に塗装することができません。暖かく湿度の低い日に施工するようにしましょう。

※ウレタン塗装を使う際には、マスクと手袋を着用してください。また、ゴーグルもつければより安全です。

ステップ5:ウレタン塗料をスプレーする

ウレタン塗料を上手に塗るためには、次の手順で進めていただくといいでしょう。

  1. 薄塗り(均一に塗ろうとせず、さっと吹き付けます)
  2. 乾燥
  3. ヘッドライト全体がクリア塗料で覆われるまで①と②を繰り返す
  4. 厚塗り
  5. 乾燥
  6. ④と⑤を2、3回繰り返す
  7. 硬化させる

※乾燥や硬化時間は使用する製品の取扱説明を確認してください。

作業を進めていると、白く濁ってくることがありますが、乾燥すると透明になりますので安心してください。

ステップ6:耐水ペーパーとコンパウンドで仕上げる

上記の塗り方だと、均一にならずブツブツになっていると思います。そこで、十分に乾燥いた後に耐水ペーパーで磨いてから、コンパウンドで仕上げるようにしてください。

これで、黄ばみの予防までできます。

5. 車のヘッドライト汚れ落としを業者に依頼した場合の費用

ここまで、ヘッドライトの曇りや黄ばみを落とす方法を詳しくご紹介してきましたが、自分で作業するのは不安だという方もいらっしゃるでしょう。

また、中級編や上級編でお伝えした方法は、技術力が必要になります。慣れない作業ですと失敗する危険もあるので注意して取り組んでください。

もし不安な場合には、業者に以来することもできますので、その際にかかる費用もご紹介します。

5-1. オートバックスの場合

  • ヘッドライトポリッシュ:左右で税込3,240円〜
  • ヘッドライトコーティング:左右で税込5,400円〜

5-2. カーディーラーの場合

カーディーラーの場合には、各メーカーや店舗で価格が異なりますが、目安としては左右のコーティングも含めて、3,000円から1万円となります。

5-3. 洗車、コーティング専門業者の場合

洗車やコーティング業者に依頼した場合には、その費用は様々に設定されていますが、1万円前後を目安としていただけるといいでしょう。

上記二つと比べると費用はかかりますが、おすすめなのはコーティング専門業者に依頼することです。ここまでお伝えしてきたように、黄ばみ除去後のコーティング、もしくは塗装によって耐久性が左右されるからです。

また、ディーラーやカー用品店に依頼するのであれば、まずは一度、今回ご紹介した初級編を試してからでも遅くはありません。自分で施工しても綺麗にならない場合には、専門業者へ依頼するのがいいでしょう。

コーティング剤選びについては『失敗しない!ヘッドライトに最適なコーティングを見極める5ポイント』の記事で詳しくまとめています。あわせてご覧ください。

6. 自分に適したヘッドライトのメンテナンスを!

車のヘッドライトが曇ったり黄ばんだりするのは、ヘッドライトに使われているポリカーボネイトが劣化することが原因です。

そのため、雲もりや黄ばみを除去するためには、劣化したライトの表面を削り落とす必要があります。さらに、黄ばみを予防するためにも、コーティング剤を塗ったり、ハードコートやウレタンクリア塗装が大切になります。

今回はその具体的な方法について、初級編、中級編、上級編の3つに分けてご紹介してきました。ぜひあなたに合った方法で、実際に作業を進めてみましょう。

もし、自分で行うことに不安を感じているようでしたら、業者に依頼して綺麗にすることも可能です。

ヘッドライトが曇ったり黄ばんでいると、せっかくの愛車が古臭く見えるだけではなく、光量が不足して車検にも通らないこともありますので、早めに対処するようにしましょう。

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