エンジンオイルを交換する時に、何を基準にしてオイルを選んでいますか?エンジンオイルの表記を見てもイマイチよく分からないので、ショップのスタッフにお任せしているという人も多いのではないでしょうか。
もちろん、スタッフに頼めば適合しているオイルを選択してくれますが、必ずしも最適のエンジンオイルを選んでくれるという訳ではありません。
今回は、エンジンオイルの基礎的な情報から、自分で最適なエンジンオイルを選択する為に必要なエンジンオイルの違いについてなど、この記事を見ればすべての疑問が解決します。
エンジンオイルは種類選びが重要!
エンジンオイルは車種の違いだけでなく、環境や乗り方などによっても豊富な選択肢があります。より最適なエンジンオイルを選択する事で、エンジンオイルの負担を和らげ、エンジンの性能を最大限に発揮し、更には車の長持ちにも大きく関係してきます。
そんな重要なエンジンオイルだからこそ、この機会にこだわったエンジンオイル選びができるように知識を深めましょう!
エンジンオイルの役割
エンジンは様々な種類の金属で構成されており、金属同士が干渉したり摩擦による抵抗が生じます。エンジンオイルには、そういった金属同士の摩擦抵抗を軽減させるための潤滑油の役割を担っています。
また、潤滑油としての役割以外にも、温度上昇を抑えたり、不純物の除去、防錆作用などがあり、エンジンを円滑に稼働させる為には、これらの作用が必要不可欠となっています。
車種や目的で最適な種類が違う
エンジンオイルには、車種や目的によって最適な種類が異なるので、きちんと適合したものを選ばなければなりません。
エンジンオイルを選ぶ際は、オイル交換をする車の車種や搭載されているエンジンの種類、車の利用目的や環境などを考慮して選択します。
それでは、エンジンオイル にはどのような種類があるのか詳しく確認していきましょう。
エンジンオイルの種類
エンジンオイルを車種や目的に合わせて選択する際に、エンジンオイルがどのように分類されているかを把握しておかなければなりません。
エンジンオイルには粘度による分類、エンジンオイルのベースとなっているオイルによる分類、アメリカが定めたオイルの品質規格であるAPI企画による分類などがあります。
ガソリンエンジンオイル
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンは、燃料の違いだけではなくエンジンとしての燃焼方式も異なります。ガソリンエンジンは、シリンダー内部でピストンに圧縮された空気を点火プラグによって爆発させてエネルギーを発生させています。
ガソリンエンジンの構造は、次項で解説するディーゼルエンジンと比較すると圧縮比が少なかったり、不純物の発生が少ないという違いがあります。そのため、エンジンオイルに求められる性能も異なるので、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンには、それぞれのエンジンに適応しているエンジンオイルを使用しなくてはなりません。
また、ガソリンエンジンは昨今のエコカーや、ターボ車、旧車などでもエンジンオイルの種類が多彩であり、そのエンジンに適したエンジンオイルを選択しなければ故障の原因にも繋がるので注意が必要です。
ディーゼルエンジンオイル
圧縮された空気を点火プラグで爆発させるガソリンエンジンとは違い、ディーゼルエンジンは点火プラグを使用せずに爆発させます。空気は圧縮する事で温度が上昇する性質があり、ディーゼルエンジンはこの性質を利用して、圧縮を高める事によって爆発させてエネルギーにしています。
そのため、ガソリンエンジンよりも気密性が求められ、負荷に耐えうる必要があるので保護性能も求められます。また、ディーゼルエンジンは燃焼運動の過程で不純物の発生が多いので、エンジンオイルの浄化作用も要求されます。
ディーゼルエンジンの場合は、「ディーゼル車のエンジンオイル交換時期とおすすめの種類」こちらで詳しく解説されていますので確認しておきましょう。
輸入車のエンジンオイル
エンジンオイルの種類を選択する際に、新車時に使用されているオイルや、メーカーが指定しているエンジンオイルを基準にする必要がありますが、輸入車の場合は注意しなければならない点があります。
輸入車も同じくメーカーによってエンジンオイルが指定されていますが、日本とは気候も利用環境も異なるので、必ずしもメーカーが指定しているオイルが適しているとは言えません。そのため、日本国内の輸入車販売業者や正規ディーラーに相談して、輸入車を日本で運行する上で最適なオイルを選択しましょう。
エンジンオイルの表記と見方
それではエンジンオイル の見分け方を詳しく確認していきましょう。
エンジンオイルには、数字やアルファベットなどで識別できる表記があります。表記されている内容は、粘度やグレードなどの規格があり、エンジンオイルを正しく選ぶ為にもこれらの表記の意味を理解しなければなりません。
エンジンオイルの粘度(硬さ)
エンジンオイルの粘度を示すのが、〇〇(数字)W-〇〇(数字)といった表記です。この数字とローマ字による表記は、米国の自動車技術者協会であるSAE(Society of Automotive Engineers)という機関が公表している工業規格です。
表記の見方は、最初の左側の数字とW(WinterのW)の部分が温度が低い場合の粘度、-(ハイフン)以降の数字は温度が高い場合の粘度を記しています。ただし、数字=温度ではなく、数字によって区分されている温度を確認しなければなりません。
低い温度側は5W、10Wで、高い温度側は30、40、50などという数字のエンジンオイルが一般的に使用されています。低温と高温のどちらにも対応している温度差の幅が広いものが優れていますが、技術的に難しく高価になってしまう傾向があります。
また、柔らかければ良いという訳でも、硬ければ良いという訳でもありません。メーカーが指定した数値と済んでいるエリア、利用環境などを考慮して検討します。
エンジンオイルの粘度について詳しく知りたい方は、「エンジンオイルの「粘度」とは?」こちらで詳しく解説されていますのでチェックしてみましょう。
ベースオイルの種類
粘度以外でエンジンオイルを選ぶ基準となるのが、ベースオイルです。
ベースオイルとは、ベース(基)となっているオイルの意味であり、原油からの精製方法によって、高価な順に化学合成油、部分合成油、鉱物油の3つの種類に分類されています。
様々な面での対応力からスポーツ走行まで優れているのは化学合成油ですが、値段が高価となってしまう為、一般的には部分合成油や鉱物油のベースオイルが一般的に使用されています。
ベースオイルの詳細は、「エンジンオイルの性能に差が出るベースオイルの種類とは?」こちらでも確認することができます。
エンジンオイルのグレード(規格)
エンジンオイルには品質の等級を示したグレードがあり、API規格(アメリカ石油協会)とILSAC規格(国際潤滑油標準化認証委員会)で定められています。
API規格では、ガソリンエンジンはSを頭文字としてアルファベット2文字で構成され、SA~SNまでアルファベット順に等級も上がります。
ディーゼルエンジンにおいては、Cを頭文字としてアルファベット2文字、もしくはアルファベット+ハイフンと数字という英数字でこちらもアルファベット順に等級が上がります。
詳細については、「エンジンオイルのグレードって? 高性能なオイルだとどう違う? 選び方のポイントは?」こちらで解説していますので確認しておきましょう。
愛車に最適なエンジンオイルの選び方
ここからは、愛車に最適なエンジンオイル を選ぶ方法を確認していきましょう。
メーカー指定のオイルを確認する
エンジンオイルを選ぶ際は、必ずメーカーが指定しているエンジンオイルの種類を確認しなくてはいけません。純正オイルでなくても問題はありませんが、粘度やグレードなどを確認してその範囲内でオイルを選択する必要性があります。
まず、実車に適応しているエンジンオイルを確認してから、その範囲内で次項に続くエンジンオイルの選び方を考慮して選びます。
走り方や好みで選ぶ
近所への移動手段として短い距離の移動のみに車を利用している場合と、日常的にスポーティな走行をする場合とでは、最適なエンジンオイルは異なります。
他にも、燃費を今よりも良くしたい場合や、エンジンの保護性能を重視したい場合など、目的に応じてお好みで選ぶという選択肢もあります。
粘度が低いエンジンオイルは粘りっ気が少ないので燃費の向上に向いており、粘度が高いエンジンオイルは粘りっ気が多いので高温時にエンジン内部の保護に向いています。
地域の環境を考慮して選ぶ
日本で一般的に使用されているエンジンオイルとして、10W-〇〇といった種類のオイルがあります。この10Wは-20℃であっても粘度を保持する事ができるという意味です。
寒冷地に住んでいたりレジャーなどで寒冷地に赴く場合は、気候に応じてエンジンオイルを選ぶといった選択もあります。
エンジンオイルメーカー一覧
ENEOS |
Mobil |
Castrol |
WAKO’S |
SUNOCO |
Shell |
Gulf |
TAKUMI |
BP |
castle |
TRUST |
NUTEC |
MOTUL |
Pennzoil |
HKS |
エンジンオイル選びの注意点
車の適応範囲内で選ぶ
これまでエンジンオイルの粘度や等級について解説してきましたが、先述したように自動車メーカーが指定している粘度、グレードのエンジンオイルを基準にしなくてはいけません。
一般的な知識として解説してきましたが、たとえばハイスペックなエンジンには高温に耐える事ができる粘度が高いオイルが必ずしも正解という訳でもありません。また、粘度を下げれば燃費が良くなる傾向があるとは言え、エンジン内部のクリアランスが保持できなくなって問題が発生する可能性もあります。
あくまでも、その車に適応しているエンジンオイルの範囲内で選ぶ必要があります。
エンジンオイルの種類を変える場合
エンジンオイルを交換する時に、まず古いエンジンオイルを抜き取ります。しかし、完全に取り除く事は難しく、多少は交換前のオイルが残ってしまいます。交換前のエンジンオイルが少し残った状態で新しいエンジンオイルを注ぐので、種類の違うエンジンオイルを選択した場合に、多少は混ざってしまいます。
このような場合に、何か問題や不具合が起きないのか不安になってしまう人もいるかと思います。しかし、問題はありません。全く問題が無い訳ではありませんが、メーカーもそれは想定内の事なので、重大な問題を起こす事はありません。
エンジンオイルの種類と効果の違い
エンジンオイルについてこれまで解説してまいりましたが、最後に分かりやすくエンジンオイルの種類とその効果について解説します。
ただしその種類と効果は、添加剤によっても変わるので、あくまでも基本的な知識として踏まえておいて下さい。
粘度による違い
粘度が低い程柔らかい(サラサラ)エンジンオイルになるので、エンジン内の運動への抵抗が少なくなるので、軽くてスムーズに動くという事になります。そのため、燃費が良くなったりエンジンがスムーズに稼働できるといった効果が得られます。
逆に粘度が高い程硬い(ネバネバ)エンジンオイルになるので、エンジンが高温になっても粘度を保ってくれるので、保護性能が高くなったり静寂性が向上したりといった効果が得られます。
ベースオイルによる違い
ベースオイルを変更したからといって、体感できる程の違いを感じる事ができない場合も少なくありません。ただし、ベースオイルの中でも最も安価な鉱物油を一定期間使用し続けた場合と、部分合成油や合成油を使用し続けた場合では違いが生じます。
エンジンオイルにとって添加剤は色々な面で大きな性能の違いを生みます。代表的なものを挙げると、鉱物油は部分合成油や合成油などと比べると、潤滑油としての性能をキープする事ができる期間が短くなっています。
性能が低下すると、燃費の悪化やエンジン本来の性能が低下してしまいます。更にはエンジンの寿命までも短くしてしまいます。
エンジンオイルメーカーによる違い
エンジンオイルに含まれている添加剤によって、エンジンオイルの性能や耐久性が向上しますが、どのような添加剤が含まれているかの詳細は明記されていません。
また、添加剤はエンジンオイルのメーカーによっても違いがあるので、エンジンオイルの種類としてメーカーによる違いというのも、大きな違いが生まれる要因となります。
まとめ
エンジンオイルについて解説してきましたが、結果として何のエンジンオイルが良いかというのは、その車の種類、乗り方、環境などをすべて考慮して導かなくてはなりません。
奥が深いエンジンオイルですが、メーカーや種類を変える事による微妙な違いを感じてみたりと、カーライフをもうワンランク上の楽しみ方ができるので、この機会にエンジンオイル選びをこだわってみてはいかがでしょうか。