車の売却後に起こるトラブルには、
- 再査定(二重査定)による減額トラブル
- キャンセルに関するトラブル
- 入金に関するトラブル
- 名義変更などの手続きに関するトラブル
こうした内容の相談が多く寄せられています。
また、こうしたトラブルによって高額なキャンセル料を請求されたなどの被害も起きています。
車の買取はディーラー下取りよりも高く売却することができて便利ですが、トラブルが起きた場合の解決には売買契約に伴う法的な専門知識が必要になってくるため素人判断ではリスクがあります。
そこで今回は、こうした車売却後に起きるトラブルの解決策を詳しくご紹介していきます。無料で利用できるものですので早速確認していきましょう。
①車の売却契約後の再査定(二重査定)で減額されるトラブルの解決策
車買取でよく聞くトラブルの1つに、車の売却後(契約後)に「再査定をした結果、減額します。」と言われるケースがあります。
例えば、
- 新たに故障箇所が見つかった
- 修復歴があった、メーターが改ざんされていた
- 再査定の結果、事故車扱いになった
など、買取契約時の査定では見つからなかったような減点箇所が見つかったり、中古車を購入した時には説明がなかった修復歴などがあると言うのです。当然、車を売る側としては契約時の買取額に納得したから売却したはずですので納得がいきません。
解約を伝えると高額なキャンセル料を請求される
買取額を減額されるのであれば他の買取業者に売る、もしくは車を売らずに乗り続けようと考えるでしょう。当然、減額を求めてきた業者との契約はキャンセルしたいはずです。
ところが、そのことを伝えると高額なキャンセル料を請求されてしまうケースがあります。
買取契約時の査定ミスを売主のせいにする
もちろんキャンセル料の請求にも納得できないはずです。買取査定の時に見落としていた減点箇所が後になってわかったと言われても、それは査定ミス(買取業者側のミス)だと思うでしょう。
しかし、ここで悪質な業者は「売主には瑕疵担保責任があるから減額に応じてもらわないと困ります。」と詰め寄ってきます。
瑕疵担保責任とは、「隠れた瑕疵(欠陥)があった場合、売主が責任をとる」というものです。(民法第570条)こうした難しい法律を並べて、査定ミスを売主の責任にしようとするケースがあります。
トラブル解決策
では、こうしたトラブルはどのように解決すればいいのでしょうか?
実はこのような買取契約後の減額は認められない(瑕疵担保責任を求めることはできない)ケースが多く、売主は契約時の買取額を請求することができます。なぜなら、買取査定時に減点箇所を見つけられなかった買取業者のミスだと判断されるからです。
自動車公正取引協議会によると、
販売店は車のプロですから、通常の注意を払えば修復歴を発見することが出来た(重大な過失があった)と判断されますので、相談者に瑕疵担保責任を求めることはできません。
引用:自動車公正取引協議会
このような解決策が伝えられています。
もちろん、査定時に事故歴や修復歴を偽った場合は売主の責任が問われますので、正しい情報を伝えていることが前提になります。
一方で、査定時に十分な検査をしていたが発見できなかったもの、つまり査定ミスではないと考えられるような場合には、瑕疵担保責任に基づいて減額に応じる必要のあるケースも考えられます。
例えば、車の買取トラブルを防ぐための活動をしている一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)のガイドラインによると、
契約車両につき、中古自動車取引業界における一般的かつ標準的な車両検査(修 復歴の基準については一般財団法人日本自動車査定協会が定める基準、走行距離 に関する瑕疵においては一般社団法人日本オートオークション協議会への照会を 実施)において判明しない瑕疵があることが判明したとき
このような場合には、
買主は売主に協議を求めるも のとし、両者で十分な協議を行ってもなお合意に至らなかった場合又は協議が不能なと きは、買主は売主に催告し(第 5 号及び第 6 号の場合、催告は不要)本契約を解除する ことができる。
このように買取査定時には判断できなかった減点が見つかった場合でも、後から減額請求の話し合いになるケースがあるということです。
つまり、
- 減額に応じなくても良いケース
- 減額に応じることになるケース
どちらも考えられるということになります。
このように、契約後の再査定による減額トラブルへの対応は素人判断では難しいので、以下のような専門家に無料相談することをおすすめします。
国民生活センター(消費者ホットライン):TEL(局番なし)188
自動車公正取引協議会(消費者相談室):TEL03-5511-2115
一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC):TEL0120-93-4595
②車売却後のキャンセルに関するトラブルの解決策
車の売却契約をした後にキャンセルが必要になることがあります。例えば、
- 買取額を見直したら満足できなかった
- 他の業者の方が査定額が高かった
- 営業マンの勢いに押されてしまったが良く考えたら不安になった
- 諸事情で車が手放せなくなった
このように、さまざまな理由があると思います。
こうした場合、買取業者にキャンセルを申し出ますが、場合によっては高額なキャンセル料を請求されてしまうケースがあります。
基本的に契約後であれば契約内容に従うことになりますので、売り手からの一方的なキャンセルはできません。しかし、近年みられる買取業者とのトラブルを防ぐために、売却後(契約後)でも無料でキャンセルできるようにしている業者もみられます。
詳しくは、「車買取の契約後でもキャンセル可能!手続き方法とキャンセル料を解説!」こちらでお伝えしていますので確認してください。
③車の売却後に入金されないトラブルの解決策
車の売却代金の入金までの流れは、
- 買取契約
- 車の引き渡し
- 売却代金の振込
このように進みます。代金の振込時期は業者によって異なりますが、平均すると車の引き渡しから3日〜1週間が多くなっています。つまり、車を手放してからの入金になるということです。
ここで発生するのが期日を過ぎても入金されないというトラブルです。
このような場合、まずは買取業者に確認を取りましょう。何らかの手違いで入金が遅れていた、銀行の口座番号が間違っていたなど原因がわかればすぐに対処してもらえるはずです。
それでも入金されないような悪質なケースに遭遇してしまったら、すぐに専門家へ相談するようにしましょう。
例えば、一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)の加盟店であれば、
売主は、買主が第 1 項の支払期限までに支払代金を支払わない場合、本契約を解除す ることができる。この場合、買主は契約車両について契約車両の引渡し時の原状に復する義務を負う。
このようなガイドラインがあるので対応もスムーズに進むはずです。
一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC):TEL0120-93-4595
国民生活センター(消費者ホットライン):TEL(局番なし)188
自動車公正取引協議会(消費者相談室):TEL03-5511-2115
④車の売却後に名義変更などの手続きが進まないトラブルの解決策
車を売却する際には、買取業者に名義変更などの手続きも代行してもらうことがほとんどです。私たち売主からすれば、面倒な手続きをしなくても済むため便利なサービスでしょう。
しかし、この名義変更等の手続きが遅れてしまうケースがあります。すると、
- 売却したはずの車に掛かる自動車税の納付書が届く
- 売却された車が起こした事故や交通違反の通知が届く
このような可能性があります。売却したはずの車ですので、このような通知が届けば驚き慌てて不安になってしまいます。
でも安心してください。大手買取業者も加盟している一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)のガイドラインによれば、
契約車両の名義変更については、買主が一切の責任を負うものとし、売主は、買主又 は買主の指定する行政書士等の代理人に対し、契約車両の移転登録手続等に要する書類 の作成・交付の代理権又は代行権限を予め付与する
このように書かれています。
契約書を見ると代行手続きに伴う責任は買取業者にあると書かれているはずですので、すぐに業者へ連絡し対応するように伝えましょう。
また、道路運送車両法第二章第十三条によると、
新規登録を受けた自動車(以下「登録自動車」という。)について所有者の変更があつたときは、新所有者は、その事由があつた日から十五日以内に、国土交通大臣の行う移転登録の申請をしなければならない。
このように定められていますので、早急に名義変更の手続きを行うように要求しましょう。
それでも手続きが進まないような場合は以下で相談できますので活用してください。
一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC):TEL0120-93-4595
国民生活センター(消費者ホットライン):TEL(局番なし)188
自動車公正取引協議会(消費者相談室):TEL03-5511-2115
車売却後のトラブル相談先
車の売却に関するトラブルは、法律に詳しくないと正しい対処が難しいものです。もしも悪質な業者の場合、あなた(売主)が損をしてしまうかもしれません。そのため、専門家に相談することをおすすめします。
車を売るにはディーラー下取りよりも買取の方が高く売れるという認識が広まり、多くの方が買取業者を利用するようになりました。しかし、それに伴いトラブルも増えているため、こうした状況を改善し気持ち良く売買できるような取り組みが進んでいます。
次のような団体では、こうしたトラブルの解決や公正な売買のための活動を行なっています。万が一、トラブルにあった場合には無料で相談することができますので活用してください。
一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)
こちらは車の買取に関するガイドラインを作成し業界の健全化を進める団体になります。今回ご紹介したような減額や入金、名義変更手続きの遅れなど、車の買取トラブル全般に対応しています。
また、JPUCには大手業者を含む多くの業者が加盟しているため、該当する業者の場合にはこちらへ相談するといいでしょう。
- 相談先(電話番号):0120-93-4595
- 相談可能時間:平日9:00〜17:00
- 公式ホームページ:http://www.jpuc.or.jp/
一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)加盟業者(一部抜粋)
アップル |
ガリバー |
カーセブン |
カーチス |
ビッグモーター |
ユーポス |
自動車公正取引協議会
こちらは車の売買に必要な価格表示や品質をチェックしている機関になります。自動車公正競争規約といわれる消費者庁公正取引委員会認定のルールを運用しており、今回ご紹介した再査定による減額トラブルに対する対策なども紹介されています。
無料相談も行なっているので活用してみましょう。
- 相談先(電話番号):03-5511-2115
- 相談可能時間:平日10:00〜12:00 13:00〜17:00
- 公式ホームページ:http://www.aftc.or.jp/index.html
国民生活センター(消費者ホットライン)
国民生活センターにも車の売却、買取に関する多くのトラブル(中古車トラブル)が寄せられ、2015年〜2017年では毎年7千件以上にもなっています。
こちらでは土日祝日の休日相談もありますので、JPUCや公正取引協議会が休みの場合には活用してみてください。
- 相談先(電話番号):(局番なし)188
- 相談可能時間:10:00〜18:00(土日祝日含む)
- 公式ホームページ:http://www.kokusen.go.jp/index.html
車の売却後に起こる4つトラブルと解決策まとめ
いかがだったでしょうか。車の売却後にあるトラブルとしては、
- 再査定(二重査定)による減額トラブル
- キャンセルに関するトラブル
- 入金に関するトラブル
- 名義変更などの手続きに関するトラブル
これらが多く起きています。
それぞれ解決策が異なっていますが、素人では判断が難しいこともあります。万が一、こうしたトラブルにあった場合には専門家へ相談するようにしましょう。
トラブルを大きくしないため、そして素早く解決するためにも今回の記事を参考にしてください。