世界最大規模の国際家具見本市『ミラノサローネ』では毎年、ヨーロッパの家具メーカーやデザイナーがハイセンスなデザイン家具を展示し、トレンドを発信し続けています。

この展示会には世界の業界人が毎年約30万人集まり、インテリアデザイン業界がもっとも賑わう1週間となります。

この世界的な家具見本市、ミラノサローネでも特に注目されるのが『フォルミイタリア』です。日本ではほとんど知られていませんが、トップブランドとして業界では一目置かれる存在です。

GUCCI(グッチ)やスーパーカーブランドとの出会いなど、歴史に触れながらフォルミタリアの特徴についてお届けします。

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1. Formitalia(フォルミタリア)のはじまり

FORMITALIAの歴史は1960年代、現在の会長DAVID(ダヴィデ)の父であるGRAZIANO(グラジアーノ)によって家具工房が開かれました。

当時は、現在のように家具全てを製作していたわけではなく、高級オーダー家具のソファやアームチェアのベースのみを注文で製作していました。

90年代になりようやっと彼らの工房の腕が認められるようになりました。オーダーの増加にともない、カバーリングや、フォルム製作に長け た職人を加え、独自のデザインを実現させるプロトタイプ工房を新たに設けました。

それと同時に、様々なオーダーに応えるために、木材倉庫、大規模なレザー倉庫、それらを駆使し短納期でオーダーを実現させるシステム化された工房を設立します。

2. GUCCI(グッチ)との出会いで飛躍した家具デザイン

需要に応えられる設備やシステムを導入した家具づくりへの取り組みが、 GUCCIファミリーのデザイナーであった PAOLO GUCCI(パオロ・グッチ)の目に留まり、異例であったアパレルブランドと家具のコラボレーションが実現しました。

PAOLO GUCCI(パオロ・グッチ)はグッチ一族でも異端とされてきましたが、デザイナーとして抜群のセンスの持ち主でした。1969年にグッチがはじめてプレタポルテをリリースした作品を手がけたのもパオロでした。グッチにとってもファッション業界にとっても大きな影響を与えた人物とも言えます。

そのPAOLO(パオロ)が手がける家具の世界観やデザイン性、そしてFORMITALIA(フォルミタリア)の高い技術力と高い品質により、フォルミタリアのデザイン家具が世界中に広がっていくこととなります。

さらに新しい発想を得るために、ロシア、アメリ カをはじめ世界各地に拠点を置き現在のグローバル化を果たしました。

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3. 高級イタリア家具『FORMITALIA(フォルミタリア)』の特徴

フォルミタリアの家具製作の特徴の一つに挙げられるのが、『新素材』の採用の早さです。製作現場では彼らはどのように新素材を採用するのでしょうか?

3-1. 新素材を駆使したデザイン家具製作

まず『デザイン性』の観点から、次に『機能』の観点から家具への起用が検討されます。その上で、効果的だと判断されたら、すぐにプロトタイプの製作に取り掛かります。

そのため、FORMITALIA(フォルミタリア)の家具にはガラス、アルミをはじめ、カーボンファイバーなど新素材が多く使用され、様々なデザイン表現に対応できるよ うになっています。近年では、BLUETOOTH や、小型 LED など新技術も積極的に製品開発に取り入れています。

3-2. 高級車ブランドとのコラボレーション作品も多数

「新素材の採用」「プロトタイプ製作技術」「品質の高さ」など FORMITALIA(フォルミタリア)のモノづくりの姿勢や、新製品開発への哲学や意欲はさらに洗練されていきます。

ファッションやモード界から得たインスピレーションは、やがてオートモーティブ界とのコラボレーションへと発展します。

彼らのフィロソフィーから生まれる家具は、高級車ブランドのASTON MARTIN(アストンマーチン)、TONINO LAMBORGHINI(ランボルギーニ)の両社の目に留ます。

3-2-1. アストンマーチン家具

画像元:Formitalia

高級車ブランドのデザインに傾けられる情熱やこだわりは世界を変えるほどの影響力があります。例えば映画007では、ボンドカーとしてなくてはならない存在です。

今でこそボンドカーとして憧れの対象になり、アストンマーチンの広告効果も計り知れませんが映画化される当時はブランド維持の観点から映画への採用を断り続けた経緯もあるほどです。

その厳しいブランディング規定をクリアできる家具メーカーとして、FORMITALIA(フォルミタリア)は抜擢されました。

3-2-2.ランボルギーニ家具

画像元:Formitalia

ランボルギーのコンセプトを忠実に表現できるのがFORMITALIA(フォルミタリア)だったのは必然だったのかもしれません。新しい素材に対する好奇心と家具との親和性を持たせるデザイン力や審美眼がフォルミタリアには蓄積されているからです。

Tonino Lamborghini (トニーノ・ランボルギー)は、ランボルギー創設者フェルッチオ・ランボルギーニの長男で、家具をはじめ時計や装飾品、自転車などランボルギーニの商品をプロデュースしています。

家具部門のTonino Lamborghini Casa における家具デザインはフォルミタリアが手がけ、如実にランボルギーニの世界観を表現しています。

フォルミタリアの家具は車両デザインの特長をとらえ、そのアイデンティティを崩すことなく家具のデザインに織り込み、素材もそのブランドの名前を表す素材を独自の発想で採用できる稀有な世界的家具工房のひとつです。

ものづくりに妥協を許さないブランドのみに許されたコラボレーションは、ブランド名を見ずとも見る人を虜にできるデザイン性と機能性を持ち合わせています。


記事監修:森下 洋(もりした よう1979 年 / 日本・大阪出身

近畿大学を卒業後、単身イタリアへ。その年からイタリア名門デザイン会社「GIUGIARO DESIGN」で働く。現地のデザイナーと交流を深める中デザインワークも認められ、様々な商品、建築デザインに携わる。帰国後は、イタリアと連絡を取りながらプロジェクトを進める。また、ダイハツ工業のデザインセクションに加わり、カーデザインに携わる。その間、プライベートで国内外の各方面の方々と知り合い、語り合う中、自分の中の「デザイン」をカタチにするため2007年独立。以降、イタリア人デザイナーや職人らと交流しながら活動する。

2013年、GIUGIARO DESIGN 在籍時の仲間に誘われ、「BERTONE DESIGN」のスタートアップに参画。2016年より、「FORMITALIA LUXURY GROUP」の日本担当となり、本国と連携したデザインワーク、 ディレクターワークを行っている。

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