最近、ヘッドライトが黄ばんだり、白く濁っている車をよく見かけます。ヘッドライトが曇ってしまうと、ライト点灯時にクリアな光が出なくなり、視界不要となり危険です。

黄ばんだり、白く濁ったヘッドライトの車は、見栄えが悪くなるうえ、安全面でも問題があります。研磨剤を使って、ヘッドライトの表面を磨くと、曇りを落とすことができます。

この記事では、ヘッドライトの曇りを取り除く方法をまとめました。全文を読むことで、ヘッドライトが曇る理由から曇りを取り除く方法までがわかるようになるでしょう。また、ヘッドライトを曇らせない保護フィルムも紹介しています。

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1. ヘッドライトが曇る原因

昔の車のヘッドライトはガラス製でした。現在、ヘッドライトは、軽くて加工がしやすく、強度も強いうえ、安全性の高い樹脂のポリカーボネート製に取って代わりました。

これは、車を製造する際のコスト削減対策、車の燃費向上のための軽量化対策、事故時にガラスが飛び散るのを軽減し、安全性を確保するための対策によるものです。

ポリカーボネートは、ガラスに比べ、いいことずくめのように見えますが、欠点もあります。それは、紫外線により劣化するということです。このため、紫外線から守るUVカットコーティングが施されています。

UVカットコーティングは当然劣化します。走行中に雨やチリなどの衝突にさらされているため、数年もすると、UVカットコーティングがはがれていきます。

そして、紫外線によりポリカーボネートが劣化し始め、黄ばんできます。黄ばみを放置しておくと、紫外線によりヘッドライトの表面に細かなひび割れが生じ、白く濁ってくるのです。

ポリカーボネートの劣化は、外側から始まります。つまり、外側の曇りは、磨くことにより取り除くことが可能なのです。

2. ヘッドライトの曇り取り作業に必要な道具と準備作業

2-1. 用意する道具

①耐水ペーパー(紙やすり)

#800(「メッシュ800」と呼びます。)、#1000、#1500の3種類を用意します。耐水ペーパーは、数字が小さいと目が粗く、数字が大きいと目が細かくなります。

耐水ペーパーの裏側にメッシュの大きさが記載されています。購入する際、ペーパーの裏を見て、メッシュの数字を確認してください。

②コンパウンド(研磨剤)

チューブ状のコンパウンドを用意します。細目、中細、極細の3種類がセットになっているものを使用します。

③スポンジ(コンパウンド用)

コンパウンドで磨くときに使用するスポンジを用意します。

スポンジは、台座となるベースの付いているものを選びます。ベースの存在により、スポンジ全面に均一に力を分散させることができます。

ベースがなく全体がスポンジのものでは、ヘッドライトと触れ合うスポンジ面に均一に力をかけるのが難しく、磨く際に力のかかり具合の差でムラができてしまいます。

④クリーナーとコーティング剤

研磨剤入りのクリーナーとクリーナー用クロス、ヘッドライト表面のコート剤とコートの塗るスポンジが入っているものを用意します。ガラス皮膜のコート剤を使用します。

⑤マスキングテープ

磨いている最中にボディをうっかり傷つけることがないようにするため用意します。

⑥拭き取り用のクロス(マイクロファイバークロス)

作業途中で水洗いした水分を拭き取るのに使用するクロスを用意します。吸水性に優れ、汚れをかき出すこともできるマイクロファイバークロスの使用をお勧めします。

コンパウンドの拭き取りにも使用します。

⑦ぞうきん

水に浸けて、ヘッドライトを洗うときに使用します。

⑧水の入ったバケツ

ぞうきんを浸けて、ヘッドライトを洗うときに使用します。

2-2. 作業前の注意点

天気予報を確認し、2日間、雨が降らない日に作業をします。これは、ヘッドライト用のコート剤が乾くのに、2日程度かかるためです。

2-3. 準備作業

① 水の入ったバケツにぞうきんを浸けて濡らします。濡らしたぞうきんでヘッドライトの表面の汚れを落とします。

② 拭き取り用クロスでヘッドライト表面に付いた水分を拭き取ります。ヘッドライト周辺のボディに付いた水分も一緒に拭き取ります。

③ ヘッドライト周囲のボディにマスキングテープを貼り付けます。これは、作業中にボディを傷つけないようにするためのものです。ヘッドライトのカーブにも、キレイに合わせて貼り付けます。

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3. 耐水ペーパーによるヘッドライト磨き

#800による磨き

① マスキングテープを張り終えたら、濡らしたぞうきんでヘッドライト表面を濡らします。

② #800の耐水ペーパーを掌サイズにカットします。カットした耐水ペーパーを水に浸けます。

③ 濡らした#800の耐水ペーパーでヘッドライト表面を磨きます。磨くと黄色い泡が出てきます。この泡が白くなるまで、ヘッドライトを磨きます。

④ ヘッドライト表面が乾いてきたら、濡れたぞうきんでヘッドライト表面を改めて濡らします。濡らした後、再び、#800の耐水ペーパーでヘッドライト表面を磨きます。

⑤ ヘッドライト表面の泡が白くなったら、濡れたぞうきんでヘッドライト表面の汚れを落とします。

#1000による磨き

① #1000の耐水ペーパーでヘッドライト表面を磨きます。これは#800の耐水ペーパーでできたヘッドライト表面の傷を消すための作業です。

② ある程度、表面を磨いたら、濡れたそうきんでヘッドライト表面の汚れを落とします。

#1500による磨き

① #1500の耐水ペーパーでヘッドライト表面を磨きます。これは#1000の耐水ペーパーでできたヘッドライト表面の傷を消すための作業です。

② #1000のときと同様、ある程度、表面を磨いたら、濡れたぞうきんでヘッドライト表面の汚れを落とします。

③ 拭き取り用のクロスでヘッドライト表面に付いた水分を拭き取ります。

4. コンパウンドによる磨き

コンパウンドの準備

① チューブ状のコンパウンドでヘッドライト表面を磨くため、チューブのキャップを外します。キャップをひっくり返し、キャップ中央の突起でチューブの先端に穴をあけます。

② 突起をチューブの先端に押し付け、チューブの先端に穴をあけたら、コンパウンド用のスポンジに適量を付けます。

③ 最初はスポンジが吸い込む分がありますので、少し多めにコンパウンドを付けます。スポンジ表面にコンパウンドを馴染ませていきます。スポンジを2個用意して、こすり合わせると馴染ませやすくなります。

コンパウンドによる磨き

細目のコンパウンドによる磨き

① コンパウンドを付けたスポンジを使って、ヘッドライト全体にコンパウンドを付けます。スポンジ全面にコンパウンドが付いたといっても、まだ馴染んだ状態とはいえないので、最初は軽く叩くようにコンパウンドを塗ります。

② コンパウンドをヘッドライト全体に付けたら、スポンジでヘッドライトを磨いていきます。スポンジは強く押さえず、軽い力で磨いていきます。

③ 全体をまんべんなく磨いたら、拭き取り用のクロスで、ヘッドライトの表面に付いたコンパウンドを拭き取ります。

中細のコンパウンドによる磨き

① コンパウンドをヘッドライト全体に付けます。細目のときと同様に、軽く叩くようにコンパウンドを塗ります。

② コンパウンドがヘッドライト全体に付いたところで、スポンジには力をかけず、軽く磨いていきます。

③ 全体をまんべんなく磨いたら、拭き取り用のクロスで、ヘッドライトの表面に付いたコンパウンドを拭き取ります。

極細のコンパウンドによる磨き

① コンパウンドを付けたスポンジを使って、ヘッドライト全体にコンパウンドを付けます。細目や中細と同様、軽く叩くようにコンパウンドを塗ります。

② 磨き作業と拭き取り作業は、細目や中細と同様です。コンパウンドによる磨きのポイントは、スポンジがつぶれて横にふくらむほど力をかけてはいけないということです。

6. クリーナーとコート剤の塗布

クリーナーの塗布

① 研磨剤入りのクリーナーをクリーナークロスに付け、ヘッドライト表面をさらに細かく磨きます。

② クリーナーをクロスに適量取り出します。クリーナーをヘッドライト全体に軽く付けます。ヘットライト全体にクリーナーが付いたら、クロスでヘッドライトの表面を磨きます。

コート剤の塗布

① ヘッドライト全体を磨いたら、コート剤でヘッドライトをコーティングします。この作業を行わないと、せっかくキレイにしたヘッドライトが紫外線によりすぐに曇ってしまいます。ガラス皮膜のコーティングにより、ヘッドライトを紫外線から保護します。

② スポンジにコート剤を数滴たらします。スポンジに付いているコート剤をヘッドライト全体に塗り付けます。

③ コート剤をヘッドライト全体に塗ったら、スポンジをひっくり返し、コート剤の付いていない面で、コート剤の塗りムラを補正していきます。

④ コート剤を塗り終わったら、マスキングテープをはがします。コート剤が完全に乾くのに、気象条件により24時間から48時間かかります。完全に乾いたところで、ヘッドライトの曇り取り作業は終了です。

7. ヘッドライトの保護フィルム

ヘッドライトを新品に交換すると10万円以上かかるといわれています。このため、黄ばんだり、白く濁ったヘッドライトの表面を磨いて、曇り部分を取り除き、コート剤を塗ることで保護してきました。

しかし、コート剤は、新品のヘッドライトに施されたUVカットコーティング剤ほど耐久性はありません。半年から1年後には、コート剤がはがれ、ヘッドライトは曇ってきます。

これを解決するものとして、ヘッドライト専用の保護フィルムを貼るという方法があります。このフィルムは、無色で透明なうえ、黄ばむことのないポリウレタン製です。

この保護フィルムは専門店で施工してもらう必要があります。料金はかかりますが、UVカット率が94%のため、紫外線に弱いポリカーボネート製のヘッドライトの劣化を大幅に抑制することができます。

8. まとめ

ヘッドライトは、夜間の安全運転を確保する重要な部品のひとつです。曇った状態とクリアな透明な状態とでは、夜間のライト点灯時の視界が大きく違ってきます。

ヘッドライトの黄ばみや白く濁った曇りは、ぜび落としましょう。見栄えだけでなく、ライトの光量も増すので、ヘッドライトの曇り取りは安全性向上にもなります。

金銭的に余裕のある方は、ヘッドライト専用の保護フィルムを貼り、劣化を抑制することも検討してください。

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