車をカスタムするならヘッドライトも無視できませんよね。例えば、LED加工で流れるウィンカーにすれば、一瞬にして高級車のようになります。他にも、デイライトやアイラインを入れてみたり、ブラックアウト塗装によって愛車のひきしまった格好いい「目」が手に入ります。

そんな時に必ず必要になるのがヘッドライトの殻割りです。

おそらく、ドライヤーとダンボールで暖めてカバーを外す方法を見たり聞いたりしたことがあるのではないでしょうか。でも、初めての方は自分でもDIYできるのか、失敗する危険はないだろうかと不安があると思います。

実際に、ドライヤーとダンボールでは殻割りできなかったとか、カバーを割ってしまったなどの失敗もよくあります。その場合、ヘッドライトをまるごと交換するために10万円以上かかったということも珍しくありません。

その理由は、殻割り方法ばかりに目が向いてしまい、失敗を防ぐための詳しい情報を集めることを忘れてしまったからです。例えば暖めても殻割りできないタイプのヘッドライトがあったり、元に戻す方法まで確認できているでしょうか。

ここでは、このようなDIY前に知っておくべき7つのことをご紹介します。最後までご覧いただければ、失敗して10万円以上も損をするようなこともありませんので、満足なヘッドライトカスタムができるようになるでしょう。

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1. ヘッドライトの殻割りとは

殻割りとはレンズカバー、インナー、土台(ハウジング)の3層構造になっているヘッドライトの分解作業のことで、カスタムや補修の際に必要になります。

ただし、ヘッドライトは中が濡れてしまうと曇ったりショートしてしまう危険があるため、密閉された構造になっていますので、プラモデルのように簡単には分解できません。

そのため、殻割りする必要があるのです。一般的には、ドライヤーとダンボールを使ってヘッドライトを暖めることで、シーリング材(コーキング材)と言われる防水加工用の接着剤を剥がすようにして行います。

しかし、最近の車種に使われているヘッドライトの場合には、この方法では殻割りできないことがありますので注意が必要です。

また、カスタム等を行なった後には再び密閉した状態に戻さなくてはなりません。こちらを「殻閉じ」と言います。殻割り方法は確認していたけど、殻閉じが分からず失敗してしまう方も多いので、必ずセットで確認しておきましょう。

殻割りをする際には、このようにいくつかの注意点があります。事前に確認しておけば失敗を防ぐことができますので、今回の記事でしっかりとチェックしていきましょう。

2. ヘッドライトの殻割りが必要なカスタムの種類

ヘッドライトのカスタムをする場合には、主にインナー部分に加工することになります。

以下に殻割が必要なカスタムについてご紹介しますので、あなたが行いたいカスタムに当てはまるのか確認していきましょう。

2-1. LED加工

LEDライトやテープなどを利用してドレスアップするものです。最近の車に多いデイライトや流れるウインカー(シーケンシャルウインカー)などにカスタムしたり、装飾目的のライトを設置したりします。

ヘッドライトのインナー部分にLEDの基盤を設置したり、配線加工が必要になりますので殻割りが必要になります。

2-2. イカリング加工

BMWの特徴であったイカリングですが、最近は国産車にも装着されているものが登場しています。

これを後付けでカスタムする場合には、インナー部分へのイカリング設置と配線加工を行います。

2-3. 塗装、ブラックアウト

ヘッドライトのインナーを塗装してカスタムするものです。特に黒く塗り替えることをブラックアウトと呼んだりします。

ヘッドライトのインナーにはメッキ加工がされていますが、メッキの上に塗装をしてもすぐに剥がれてしまいますので、塗装前の下地処理が重要になります。

また、これと似たカスタムにヘッドライトのスモーク化がありますが、こちらはレンズカバーの外側に塗装したりフィルムを貼りますので、殻割りする必要はありません。

2-4. クリア化

ウインカーの部分にオレンジ色のプラスチックカバーがついていることがありますが、こうしたパーツを取り外してクリア化するものです。

ただし、ウインカーの色はオレンジ色と決められていますので、クリア化と同時にバルブをオレンジ球に交換する必要があります。

2-5. クリスタル加工

年代の古い車の場合には、レンズ内側に溝(レンズカット)が彫られています。これはライトの配光を調節するためのものですが、この溝を取り除いて透明なレンズに加工するものです。

ただし、クリスタル加工だけでは配光が崩れてしまいますので車検には通らなくなってしまいます。

2-6. ヘッドライト内側の水滴、曇り、黄ばみ除去

上記のようなカスタムとは異なりますが、ヘッドライトの内部に水滴が入って曇るようになったり、レンズカバーの内側に黄ばみが生じた場合の補修にも殻割りを行います。

水滴が入っている場合には防水加工に問題がありますので、原因を見つけて修復する必要があります。

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3. 殻割りができないヘッドライトがある?!

ヘッドライトの殻割りは、DIYカスタムが得意な方なら一度は経験のあるものでしょう。しかし、これからDIYに挑戦したり、車いじりがしたいという方にとっては自分にもできるのかと不安だと思います。

そこで、具体的な殻割り方法を調べますが、その前に確認するべきことがあります。それは、愛車のヘッドライトが殻割りできるタイプかどうかをチェックすることです。

よく紹介されているドライヤーとダンボールで暖めて殻割りできるのは、ブチルゴムというシーリング材(接着剤)が使われているタイプです。ヘッドライトのレンズカバーと土台(ハウジング)の隙間に黒やグレーのゴムのようなものが挟まれている場合にはこちらのタイプになります。

一方で、最近の車種にはシーリング材が使われず、溶着されているタイプが出てきています。レンズカバーと土台(ハウジング)に境目がなく、一体化しているものになりますので、接着剤を暖めて剥がす方法では殻割りできません。

まずは愛車を確認して、どちらのタイプなのかを調べましょう。

ブチルゴムで接着されているタイプであれば、DIYでも殻割りに挑戦できるでしょう。もし、溶着されているタイプであれば、DIYでの殻割りは難しくなります。

なぜなら、一体化されているヘッドライトを切断して分解することになりますので、切断道具や高度な技術が必要になるからです。特に初めてヘッドライトのカスタムをする方にとっては難易度が高く、失敗する可能性の方が高くなってしまうでしょう。

4. 【タイプ別】ヘッドライトの殻割りのやり方

ヘッドライトの種類に合わせて2種類の殻割り方法があることを理解していただけたと思いますが、もう少し詳しく確認していきましょう。

4-1. 「ブチルゴム接着」はドライヤーとダンボールで暖める

DIYでも殻割りできるのは、ブチルゴム接着がされているタイプのヘッドライトになります。

ブチルゴムとは特殊合成ゴムのことで、気体を通さない、水を通さない、耐候性や耐熱性に優れているなどの特徴があるため、ヘッドライトの接着剤として利用されています。

ブチルゴムは熱を加えることで柔らかくなり、ガムのような状態になるため、この特徴を利用すればDIYでの殻割りも可能です。

具体的にはヒートガンで直接暖めたり、密閉したダンボールの中でドライヤーを使って暖める方法になりますので、身近な道具で殻割りができます。

4-2. 「溶着」は超音波カッターで切断

もう一つのタイプは溶着されているものです。つまり、ライトカバーと土台(ハウジング)に境目がないものになります。

まさに卵の殻のようになっているため、超音波カッターを利用して切断していくことになります。

超音波カッターは業者で使われているようなものになると30万円にもなり、上級者がDIYで使用しているホビー用のものでも3〜4万円ほどの高価なものになります。

また、切断技術も必要ですので、使い方を間違えて失敗する危険も高く、ヘッドライト丸ごとを交換することになれば、十数万円の出費となってしまいます。

このように、溶着タイプのヘッドライトはDIYには向かないため、業者へ相談した方が良いと言えるでしょう。

5. 殻割りの戻し方(殻閉じ)で失敗が多い

DIYで行う殻割りの失敗で多いのは、殻割りすることばかりを考えていて、戻し方(殻閉じ)が分からずに困ることです。

正しく殻閉じをしないとヘッドライトの内部に水滴が入り込み、曇りやショートの可能性があるため重要な作業になりますので、必ず事前に確認しておきましょう。

ブチルゴム接着の場合には、ブチルゴムを再利用することができます。ただし、使用量が少なくなってしまうと隙間ができてしまうため、新しいブチルゴムで補充することが大切です。

よくホームセンターなどで購入できるシリコンシーラントによる殻閉じが紹介されていますが、車用に作られたものではなく、水漏れなどのトラブルの原因になっています。必ず車用のシーリング材を利用してください。

6. DIYで失敗しない!ヘッドライトの殻割りの注意点

ヘッドライトのカスタムに必須の殻割りですが、万が一失敗してヘッドライトを丸ごと交換することになれば10万円以上の費用が必要になってしまいます。

DIYに挑戦する場合には次のことにも注意しましょう。

6-1. バンパーの取り外しも必要

ヘッドライトの殻割りをするためには、車からヘッドライトを取り外して作業することになります。

車種によっても異なりますが、バンパーも取り外さなければならないため、その技術も必要になります。愛車のヘッドライトの取り外し方についても事前に確認するようにしましょう。

6-2. 慣れない作業でヘッドライトが割れる

ブチルゴム接着のヘッドライトは暖めれば殻割りできるとお伝えしましたが、簡単にポロっと分解できるわけではありません。ヘッドライトの気密性を保つために強固に接着されていますので当然とも言えるでしょう。

さらに、ヘッドライトのカバーはポリカーボネイトと言われるプラスチックの一種ですので、慣れない作業で強引に殻割りすれば、割れたりヒビが入ってしまいます。

ヘッドライトの殻割りは、事前に詳しい方法を確認して慎重に行う必要があります。

6-3. 防水対策不足でやり直し

ここまでにもお伝えしましたが、殻割りだけではなく、殻閉じも重要になります。正しく行わないと水漏れや曇りが生じてしまいますのでやり直すことになってしまうでしょう。

何度も繰り返せば失敗して割れる危険もありますし、手間も時間もかかってしまいますので、殻閉じの方法についても忘れずにチェックするようにしましょう。

6-4. 車検に通らない

殻割りに失敗してカバーが割れてしまった場合や、水滴や曇りによってライトの明るさや配光が狂っている場合には車検に通らなくなります。

また、保安基準を満たさない違法カスタムも車検に落ちますし、ディーラーやカー用品店などではピットインも断わられる可能性があります。

ファッション性も重要ですが、安全性も確認した上でカスタムするようにしましょう。

7. 失敗が怖いなら業者に相談!気になる工賃は?

DIYは自己責任になりますので、万が一失敗しても誰にも文句は言えません。ヘッドライトの殻割りの場合には、その後のカスタムもありますので、いくつもの作業をこなす必要があります。

もし、失敗したくないという方は業者に相談することも検討してみるといいでしょう。業者で殻割りを行う場合の工賃は1万5千円からを目安にしてください。

ただし、多くの業者は殻割りと殻閉じをセットにしています。その理由は、ヘッドライトのカスタムを前提としているからです。もし、殻割りだけを依頼するのであれば事前の確認が必要になります。

ちなみにカスタム費用も業者によって異なり、例えばリーズナブルなところでもイカリング1ヶ所につき5千円、流れるウインカー(シーケンシャルウインカー)だと片側で3万円といったところがあります。

ヘッドライトのカスタムは高額になりますが、愛車の見た目を左右する重要な部分ですので、殻割りと一緒に相談されてみてはいかがでしょうか。

まとめ

ヘッドライトの殻割りとは、ライトカバーを土台(ハウジング)から取り外す作業のことで、ヘッドライトのカスタムには必須となります。

ただし、いくつかの注意点があります。特にDIYで殻割りしようと考えている場合には、まずはヘッドライトのタイプを見分ける必要があります。

ブチルゴム接着タイプであれば、ドライヤーとダンボールで温めて殻割りすることができるため、DIYの対象となるでしょう。

一方で、溶着タイプは超音波カッターと高度な技術が必要になりますので、DIYには向いていないと言えます。

あなたの愛車はどちらのタイプでしょうか。まずはそこから確認してみましょう。

また、しっかりと防水対策をした殻閉じが必要だったり、車検に通る保安基準を満たしたカスタムをしなくてはなりません。殻割りやカスタムに失敗して後悔しないためにも、今回の記事を元に慎重な作業を心がけましょう。

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