「外車の車検は高い」というイメージを持たれている方は多いのではないでしょうか。
そのイメージの大半は、正規ディーラーで行う”ディーラー車検”の費用の高さから来ていると思われます。
その対極に位置するのが、安さを売りにしている”民間車検”なのですが、こちらは安さをアピールする事で、「安いのは何かリスクがあるからだろう」と思っている人が多く存在します。
しかし、両方ともイメージの話であって、”なぜ高いのか”や”なぜ安いのか”については理解していない場合がほとんどです。
そこで今回は、ディーラー車検が高い理由、民間車検が安い理由について解説し、民間車検の賢い選び方などについても解説していきます。
1. メルセデスベンツのディーラー車検費用の相場はいくら?
1-1. 初回車検の費用相場
メルセデスベンツの初回ディーラー車検の費用ですが、”メルセデスケア”という保証プランンに加入しているか否かで金額に大きな差が出ます。
メルセデスケアに加入している場合は、約9万円ほどが相場となっており、加入していない場合は約13万円が相場となっています。
メルセデスケアに加入している場合は、パーツなどに不具合が生じている場合の交換費用や、オイル交換など、修理に関する費用が補償されますので、法定費用と基本的な整備費用のみとなるわけですね。
また、メルセデスケアの補償を延長する事も可能で、延長する場合は名称が変わり、”メンテナンスプラス”と”保証プラス”となります。
これらに加入しますと、パーツ交換やオイル交換、修理費などが補償されるだけではなく、運転中に故障してしまった場合や、事故を起こしてしまった場合の応急処置や牽引、自宅まで帰る交通手段のサポートなども受けられます。
こちらが、約2年間の加入で約25万円となりますので、メルセデスケア加入時に車検を行い、上記の補償の延長プランを加えた場合、法定費用と併せて35万円ほどの金額になります。
1-2. 2回目(5年目)以降の費用相場
メルセデスベンツに関して言えば、5年目以降の費用も”保証期間内に車検を受ける”事で、車検費用は安く済みます。
しかし、保証プランの延長で費用が上乗せされてしまう事、タイヤの交換費用は補償されるが、タイヤそのものは自費で購入しないといけないなど、補償されないパーツ費用は上乗せされてしまいます。
そのため、初回(3年目)の車検よりも交換しないといけないパーツが増えてしまうため、2回目(5年目)以降は少々高額になってしまいます。
相場としては、メンテナンスプラスや保証プラスの延長を含めると、約40万ほどになるケースが多いようです。
2. ベンツのディーラー車検は高い?!オートバックス(民間車検)と費用を比較
では、メルセデスベンツのディーラー車検と、民間車検ではどの程度の費用の差が出るのかについて比較してみましょう。
今回は、民間車検の代表としてオートバックスでの車検費用を目安にし、ディーラー車検は、保証プランの延長費用や補償分を適応しない金額で表記します。
また、車検費用に関しては、2回目(5年目)以降の数値を目安とします。
クラス | ベンツディーラー | オートバックス(民間車検) |
Aクラス | 約170,000円 | 約100,000円 |
Bクラス | 約170,000円 | 約100,000円 |
Cクラス | 約170,000円 | 約100,000円 |
Eクラス | 約190,000円 | 約110,000円 |
車両総重量を目安に、5年目以降で交換が必要なパーツ費用の平均をプラスして算出すると上記のような表になります。
パーツ代、交換工賃などによってかなり前後しますので、あくまで目安のような数値ではありますが、ディーラー車検と民間車検の費用は約1.5倍以上もの差がある事が分かりました。
1.5倍以上も違うとなると、費用の面では圧倒的に民間車検の方がメリットがあると言えるでしょう。
しかし、命を預ける自動車ですので、費用の安さだけで決めてしまうのは得策とは言えません。
自分自身できちんと納得できる車検業者での車検をオススメします。
3. ベンツの車検費用が2回目(5年目)以降に高くなる理由
メルセデスベンツの2回目(5年目)以降の車検はどうして高くなってしまうのか。
具体的に何が理由で高くなってしまうのかについて解説していきましょう。
3-1. 車検費用の内訳
法定費用
まず車検を行うにあたって、基本的な費用の1つが法定費用です。
車両重量によって決まる重量税、自賠責保険、印紙代などが挙げられます。
これらの費用は、国産車・外国車問わずに同じ費用となっていますので、法定費用に関しては「ベンツだから高い」という事はありません。
2t以下の車両で例を挙げますと、重量税は32,800円、自賠責保険は25,830円、印紙代や手数料を併せて1,800円となりますので、合計して60,430円です。
法定費用は車検を行う上で避けられない費用となりますので、”車検”という手続きをする上での基本料金と認識しておけば良いでしょう。
車検整備費用
法定費用に対して、こちらは実際に検査を行う為に掛かる費用です。
法定費用と同様に2t以下で例を挙げますと、法定2年点検、総合点検料金が合わせて45,000円ほど、車検代行手数料が10,500円となっており、法定費用を含めた基本的な車検料金だけで10万円を越えてしまいます。
パーツ交換等を含めても10万円前後の民間車検と比べてると、やはり高いと感じてしまいますよね。
3-2. 5年目、7年目を迎えるベンツは部品の交換時期
国産車とベンツなどの外国車を比べた時に、パーツの耐久性の面でかなりの差が開きます。
外国車は走行性能を重視して作られている事もあり、耐久性は少々劣ってしまうわけですね。
つまり、国産車と比べるとパーツの消耗が激しく、その分パーツ交換が多く必要になります。
ディーラー車検は、全て純正パーツとの交換になりますし、パーツそのものの価格も高いんですね。
そのため、部品交換が多くなる外国車の方が、車検費用が必然的に高くなってしまうというわけです。
3-3. ベンツは部品交換や修理費用、工賃が高い
メルセデスベンツは、修理費用やパーツ費用、工賃が補償されるメンテナンスプラスに加入していない場合、それぞれの費用が高額になってしまいます。
オイル交換を例に挙げると、オイル交換を行う工賃だけでも13,000円ほど掛かりますし、純正のエンジンオイルも10,000円以上と高額です。
オイルフィルターの交換なども含めますと総額で35,000円以上となりますので、一般的ガソリンスタンドなどで行うオイル交換の費用が10,000円前後と考えると、高さは実感できるkと思います。
また、パーツの全てが輸入品である事も費用が上がってしまう要素の1つですね。
3-4. 実はディーラー車検は外注マージンがかかる
ディーラー車検といっても、ディーラーの建物内に整備場が無いという場合もありますし、整備を行う人員がいない場合があります。
そういった場合に、提携している整備工場などで車検を行うわけですが、提携しているとはいえ外部の整備工場に対して賃金(マージン)を支払う必要が出てくるわけです。
そのマージンはどこから捻出されるかというと、ユーザーが支払う車検費用に含まれる形になるわけで、その結果として高額になってしまうという面もあるんですね。
「外部の整備工場に任せるのなら民間車検と変わらないのでは?」と考える方もいるかと思いますが、ディーラー提携の整備工場は、技術提携や専門的な機器などの提供がされているため、一般的な民間の整備工場と比べると高い水準を保っている事がメリットであると言えるでしょう。
4. メルセデスベンツのディーラー車検と民間車検の違い
4-1. 車検費用の違い
ディーラー車検と民間車検を比べた時に、一番分かりやすい違いは費用面だと言えます。
約1.5倍以上も違いがあり、法定費用は同額ですが、点検費用やパーツ自体の価格、パーツ交換費用は明確な差があります。
法定費用以外の部分の価格の目安として、民間車検の場合は2万〜6万程度、ディーラー車検の場合は10万円を越えてしまう場合が多い為、違いは如実であると言えるでしょう。
4-2. 車検内容(点検・整備内容)の違い
ディーラー車検の特徴的なシステムとして”予防整備”の存在が挙げられます。
これは、故障してしまう前にパーツを新しいものに交換し、安全に運転出来るようにするというもので、ディーラー車検の費用を上げる一番の要因とも言われています。
当たり前ではありますがメルセデスベンツのディーラーはメルセデスベンツの事を熟知しています。
ベンツの点検に必要な精密機器なども揃っているため、コストは高くなってしまいますが、より質の高い点検が出来る事もディーラー車検が勝っている点と言えるでしょう。
逆に民間車検は、様々なメーカーの自動車を点検していることから、トータルとしての車への知識は高い場合が多いです。
そのため、ディーラーなら交換するところを修理で対応したり、汎用パーツなどの利用も可能ですので、コストを抑えて柔軟な点検が出来る点がメリットと言えます。
4-3. 信頼性の違い
「餅は餅屋」という言葉もあるように、メルセデスベンツに関する専門的な知識はディーラーの方が勝っていると言えますし、その点の信頼性は非常に高いでしょう。
しかし、自分の車をいつも診てもらっている民間車検業者がある場合や、知人や友人などに信頼できる整備士がいるという場合には、民間車検に高い信頼性が持てるというケースもあります。
5. ベンツの車検を民間車検で受けるメリット・デメリット
5-1. メリット
費用が安く抑えられる
費用に関しては何度も説明していますが、民間車検の方が断然安いのは間違いありません。
”車検”というと真っ先に「お金が掛かる」というイメージを持つ方が多いと思いますし、費用を安く抑えられる事は、最も大きなメリットであると言って過言は無いでしょう。
そして、最近ではディーラーにも劣らないレベルの設備を持っている民間車検業者もありますので、「安いからダメ」とは一概に言えません。
ディーラー車検に比べて業者選びの選択肢もかなり幅広いので、自分に合った業者を複数の中から選べることもメリットでしょう。
”全て交換”ではなく修理も可能
ディーラー車検の費用が上がってしまう理由でも挙げましたが、ディーラー車検は不具合のあるパーツは全て交換での対応となってしまいます。
しかし、民間の整備工場などの場合は、交換せずに修理での対応を行ってもらえる事もあります。
溶接や代用品などを使用して修理を行うため、交換に比べて費用を安く抑える事が出来るわけです。
もちろん何でも修理出来るというわけではありませんので、車検を出す際にきちんと相談する事が大切です。
純正パーツ以外での対応も可能
ディーラー車検の場合は、交換するパーツは全て純正パーツとなります。
しかし、民間車検の場合は純正パーツだけではなく、汎用パーツの使用も可能ですので、パーツに掛かる費用を抑える事が出来ます。
「汎用パーツに交換すると性能が落ちる」という事は考えづらいですし、対応出来る部分は汎用パーツを使ってもらった方がコストを大幅に抑える事が出来ます。
5-2. デメリット
設備や整備士の技術力にムラがある
民間車検業者は、ディーラーのように一定の水準を設け、ベンツの点検に特化した設備を持っているわけではありません。
さらに、整備士自体の質にもムラがあるため、良い業者をきちんと見極める事が大切になります。
ディーラー車検の場合は基本的に手放しで大丈夫ですが、民間車検は業者の選定が最も重要です。
補償サービスの恩恵が受けられない
メルセデスベンツが行っているメンテナンスプラスや保証プラスは、基本的にディーラー車検で適用されるサービスで、パーツ交換時のパーツ代や工賃が補償されるものです。
普段の運転時のロードサービス、オイル交換のサービスなども含まれており、民間車検では補償が受けられないため、この点はデメリットであると言えるでしょう。
専門的な機器や設備が整っていない場合がある
民間車検業者の場合、メルセデスベンツ以外の自動車にも広く対応しないといけないため、特定のメーカーに特化した設備が整えられていない事も多くあります。
特にコンピューター関係は如実に差が生まれており、民間車検場の場合はメーカー特有の制御システムやセンサーなどを診断する機器が備えられていない場合がほとんどです。
ディーラー車検の場合は、提携先への技術提供や機器の提供がされているため、その点では一歩劣ってしまう部分ではあります。
6. ベンツのディーラー車検費用が高い!困った時の民間車検の選び方
6-1. 民間車検の種類
オートバックスなどのカー用品店
カー用品店が行っている車検サービスは、料金やプランなどが明確に表示されていますので、費用のリーズナブルさに加えて分かりやすさでもメリットがあります。
また、ディーラーほどではありませんが、パーツなどの知識も一定水準以上を満たしている場合が多いため、トータルで利用しやすい事がポイントです。
大手チェーンであるほど技術にも一定基準を設けてますので、整備に関する技術力にも信頼は置けるでしょう。
ガソリンスタンド
こちらもカー用品店と同様に、大手のチェーン店ですと車検の料金プランが分かりやすいですし、ガソリンスタンドは普段から利用する事もあって、従業員とのコミュケーションが取りやすい事もメリットですね。
民間車検の場合は”頼みやすさ”も選ぶ基準になるかと思いますので、その点ではカー用品店と併せてオススメできる業者であると言えます。
整備の知識に関しても一定水準以上のものは持っていますし、何より普段通っている場所でリーズナブルに車検が済ませられたら気持ち的にも楽ですよね。
民間整備工場
民間整備工場には”認定整備工場”と”指定整備工場”の2種類があり、代車などの必要がない1日車検が可能なのは指定整備工場となります。
普段から幅広い車種の整備を行っているので、整備の技術や知識も豊富な事が多く、交換が不要なものに関しては修理で済ませてくれる場合もあるため、費用が大幅に安く済む可能性がある事がポイントです。
整備工場は場所によって設備や整備士の質にムラがあるため、車検に掛かる費用や期間もまちまちですので、きちんと見極めて依頼する事が大切ですね。
フランチャイズ店
民間の整備工場をフランチャイズ化し、車検を専門に行うのがフランチャイズ店です。
インターネットやCMなどで”車検の○○”や”○○車検”という広告を出している店舗がこの業態にあたります。
車検に特化しているため、料金体系やプランなども分かりやすく、ホームページなどで情報を把握しやすい事もポイントです。
元々ある整備工場をフランチャイズ化している事もありますので、技術面や知識面の水準も比較的高いと言えるでしょう。
6-1. 民間車検を選ぶ時の3つのポイント
①リーズナブルさとアフターサービス
車検を申し込む上で、気になるポイントは”安さ”だと思いますので、料金が分かりやすく提示されている民間車検業者を選ぶようにする事が大切です。
そして、車検後に万が一の事があった場合のアフターサービスがしっかりしている業者を選ぶようにしましょう。
お金の面はトラブルにも繋がりやすいですので、「思ってたよりも高くなってしまった」という事が無いように、業者を見極める事がポイントです。
②メルセデスベンツの取り扱い実績
民間車検業者は基本的に様々なメーカーの車種を扱いますが、インターネットなどで調べてみると、メルセデスベンツを多く扱っている業者も存在する事が分かります。
やはり多くの実績がある業者の方が安心出来ますし、設備なども他より整っています。
「ベンツならウチに任せて!」というような触れ書きの業者もありますので、そういった業者を選ぶ事で、車検もスムーズに行えますし、車検後の故障リスクなども抑える事が出来ます。
③1つの業者に決めず、複数の見積もりを出す
ディーラー車検と比べて、民間車検業者の選択肢は非常に幅が広いです。
そのため、気になった1つの業者だけの見積もりで決めず、複数の業者に見積もりを出してもらう事が、費用を抑える上で非常に重要です。
「見積もりを出してもらったから受けないといけない」という事は決してありませんので、きちんと見比べて、最も納得できる業者を選ぶ事が賢い選び方であると言えるでしょう。
7. メルセデスベンツの車検費用を抑えるなら民間車検業者の選び方がポイント!
これまで書いてきたように、民間車検とディーラー車検と比べると、民間車検の方が格段に選択肢が広くなります。
つまり、費用が抑えられて、尚且つ技術面でも優れている業者と巡り会える可能性もあるという事なんですね。
もちろん見極めるための労力は必要となりますが、労力とコストを天秤に掛けた時に確実にメリットはあると言えるでしょう。
大切な愛車の車検ですので、愛車にもお財布にも優しいプランを立てるために参考にしていただけたら幸いですね。