正規ディーラーによる車検の見積書を見て「えっ?こんなに高いの?」辟易したという方は多いでしょう。逆にディーラー以外の車検の見積書を見た時に「えっ?こんなに安いの?」と驚く方も多いはずです。
両者には明確な違いがあり、”高いから良い、安いから悪い”というわけではありません。
今回は、ディーラー車検がどうして高くなってしまうのかについて解説し、民間車検の安さの秘密についても書いていきます。民間車検業者の選び方についても解説していきますので、車検の申し込みをする前に一読いただけたら幸いです。
1. フォルクスワーゲンディーラーの車検費用の相場はいくら?
1-1. 初回車検の費用相場
フォルクスワーゲンの初回(3年目)車検費用の相場は、平均すると約11~13万円ほどとなっており、外国車のディーラー車検の中では比較的安価な部類に入ります。
また、購入から3年間の保証も充実しており、12ヶ月点検や点検の際のパーツ交換費用、点検整備の際の工賃などが無料となる”プロフェッショナルケア”と”サービスプラス”が標準付帯され、定期交換品以外のパーツ費用、交換費用を補償する”ニューサービスプラス”をオプションとして付帯する事も可能です。
また、ドライビングサポートを含む”ウォルフィサポート”というプランもあります。
3年間は上記のような手厚いサポートがあるため、車検時にパーツ交換をする箇所が少なくなり、結果として車検費用が安くなるという事なんですね。
ちなみに上記のサービスは、追加オプションの”延長サービスプラス”として最大で5年目(通算5年間)まで延長可能ですので、2回目以降のディーラー車検の費用にも関わってきます。
ニューサービスプラス・延長サービスプラスは、車種によって32,000円~52,000円で加入可能で、ニューサービスプラスは購入時、延長サービスプラスは車検時の費用に加算されるわけですね。
ウォルフィサポートは、車種や延長する年数によって58,000円~280,000円とかなり幅がありますので、最大ですと車検費用が40万円を超えることも考えられます。
1-2. 2回目(5年目)以降の費用相場
2回目(5年目)以降の費用に関しては、交換するパーツの数によって費用が上下します。
延長サービスプラスに加入している場合は、定期的なメンテナンスによってパーツ交換が少ない事も考えられますし、加入していない場合は一気にパーツを交換する必要が出てしまう事もあります。
また、延長サービスプラスに関しては初回の車検時に申し込まず、2回目に申し込む事も可能なため、それによっても費用が変わりますし、ウォルフィサポートの加入状況に応じても変化します。
それらを含めた平均が、約16~20万円といったところでしょうか。
ウォルフィサポートの追加延長なども可能で、その費用によっては2回目以降も40万円を超えるという事も考えられます。
2. フォルクスワーゲンのディーラー車検は高い?!オートバックス(民間車検)と費用を比較
ディーラー車検の費用について解説してきましたが、実際に民間車検と比べた時にどのくらいの差があるのかを比較してみましょう。
数値の基準は、2回目(5年目)以降の車検費用を比較するものとし、ディーラー特有のサポートプランなどについては除いて算出します。
法定費用と点検費用、工賃と平均的なパーツ代の合計で、民間車検はオートバックスでの車検費用を目安に算出して、シリーズごとに記載します。
シリーズ | フォルクスワーゲンディーラー | オートバックス(民間車検) |
up! | 約120,000円 | 約80,000円 |
Golf | 約160,000円 | 約90,000円 |
Beetle | 約160,000円 | 約90,000円 |
Polo | 約160,000円 | 約90,000円 |
車両重量をベースに計算し、実際に車検を行った方の合計費用を平均すると上記のようになります。
ディーラー車検の相場として「外国車の車検は国産車の1.5倍」と一般的に言われますが、ディーラー車検と民間車検で1.5倍以上の差が生まれていますね。
ディーラーの場合は、この金額にサポートプランの延長費用などが上乗せされるわけですので、民間車検と比べて格段に費用が高くなってしまいます。
3. フォルクスワーゲンの車検費用が2回目(5年目)以降に高くなる理由
3-1. 車検費用の内訳
法定費用
法定費用については車両の重量に応じて計算されるもので、「外国車だから高い」というわけではありません。
2t以下の例を挙げますと、自賠責保険が25,830円、重量税が32,800円、印紙代や手数料を合わせて1,800円となり、合計で60,430円です。
法定費用はディーラー車検も民間車検も同額ですので、この点ではディーラー車検だから高くなるという事はありません。
車検整備費用
法定費用は手続き面の費用ですが、こちらは実際に点検を行うための費用です。
上と同様に2t以下の例を挙げますと、まずは基本となる24ヶ月点検技術料が約28,000円、総合検査料として10,800円、車検代行料が約13,000円となり、合計約52,000円前後となります。
車検代行料に関してはディーラー車検のみで掛かる費用ですので、民間車検の場合は少なくとも13,000円は安くなるという計算になりますね。
その他のメンテナンス費用
上記で挙げた費用の他に、パーツ交換、スチーム洗浄などのクリーニング作業、オイル交換などのメンテナンス費用が上乗せされます。
パーツに関しては、ブレーキパッドやブレーキフルードなど、ブレーキ周りのパーツ交換をするケースが多いようです。
これらのメンテナンス費用として、約50,000円が上乗せされ、全て合計すると160,000円前後になるという計算になります。
3-2. 5年目、7年目を迎えるフォルクスワーゲンは部品の交換時期
フォルクスワーゲンを含む外国車の特徴として、パーツの耐久性が国産車よりも低いことが挙げられます。
これは、外国車が走行性を重視して作られているため、個々のパーツの消費が激しくなってしまう事に由来しており、5年目や7年目になると必然的に交換箇所が増えてしまいます。
サポートプランによる点検交換をこまめに行う事で、パーツ交換に掛かる費用はある程度抑えられますが、ディーラー車検は全て純正パーツで交換を行うため、箇所が増える度に1万円単位のパーツ費用が上乗せされてしまうわけなんですね。
3-3. フォルクスワーゲンは部品交換や修理費用、工賃が高い
ディーラーによるパーツ交換や修理費用は、民間の整備工場などに比べてかなり高額です。
ニューサービスプラスの適用期間内なら補償対象となりますが、通算5年以上になると適用されてなくなってしまいます。
車の一部を擦ってしまい、その部分を再塗装してもらうためにディーラーに持ち込むと、約20万円の見積もりが出たという話もあるほどです。
3-4. 実はディーラー車検は外注マージンがかかる
”ディーラー車検”と言っても、ディーラーの建物の中で整備をするわけではなく、提携している整備工場に外注するケースがあり、そういった場合に外注マージンが発生します。
「整備工場に頼むなら民間車検と変わらないのでは?」という疑問を持たれそうですが、民間車検を行っている整備工場との違いは、”専門的な設備と技術提供の有無”にあります。
提携している整備工場の場合は、ディーラーから設備と技術を提供されているため、整備士の技術力も高い水準を満たしていますし、フォルクスワーゲン独自の車載コンピュータなどの点検も可能です。
車検作業を外注するにあたって、工場の人件費や設備の技術料などが発生してしまうため、車検費用にそれらの金額が上乗せされてしまうわけなんですね。
4. フォルクスワーゲンのディーラー車検と民間車検の違い
4-1. 車検費用の違い
民間車検とディーラー車検を比べた時に、如実に違う部分は車検費用と言って間違いないでしょう。
例えば24ヶ月点検技術料と検査料に関しては、ディーラー車検は約40,000円、オートバックスですと12,800円となっており、3倍以上の差があります。
ディーラー車検のみで発生する車検代行料などもありますし、工賃などにおいても民間車検の方が格段に安い事は明らかです。
4-2. 車検内容(点検・整備内容)の違い
フォルクスワーゲンのディーラー車検の場合、VASテスターというディーラー独自の機械を使用します。
VASテスターは民間車検業者には無い設備で、電気系統やコンピュータを介して故障や不具合がある部分を洗い出し、故障した際のデータなどを本社で共有できるという画期的なシステムです。
過去のデータも共有していますので、故障に対して即時に対応出来るというわけなんですね。
また、ディーラーの場合は故障を未然に防ぐ”予防整備”を行う事も特徴的です。
予防整備は、パーツの状態をチェックし、故障が予期される部分は全て交換するというもので、主にこれによって費用が高額になってしまいます。
民間車検の場合は、パーツに不具合が起こった場合でも修理で対応してくれる場合もあり、その分費用は抑える事が可能です。
4-3. 信頼性の違い
フォルクスワーゲンの自動車に関する知識や技術に関しては、民間車検業者よりディーラーの方が高いと言えますし、その点での信頼性はディーラー車検の方が勝ります。
しかし、シンプルに”車検”としての信頼性を考えると、普段から付き合いのある業者だったり、過去に車検をお願いしたことがある業者、友人や家族関係の業者など、”自分にとって信頼を置ける業者”というのもポイントになるかと思います。
5. フォルクスワーゲンの車検を民間車検で受けるメリット・デメリット
5-1. メリット
車検費用の安さ
ディーラー車検と費用の比較をした時に、ディーラー車検の半額程度にまで抑えられる民間車検業者も多くありますので、費用の面は大きなメリットであると言えるでしょう。
フォルクスワーゲンなどの外国車は、車検以外の維持費も国産車より掛かってしまう場合が多いため、車検費用が安く抑えられるというのは嬉しいですよね。
故障パーツへの柔軟な対応
ディーラー車検は、パーツの故障が発見される場合、もしくは故障が予見される場合に純正パーツとの交換が基本となっています。
そのため、パーツ自体に掛かる費用も高いですし、車検時には故障していない部分のパーツ代も払わないといけません。
民間車検の場合は、故障パーツに対して修理での対応が出来るケースも多く、さらにパーツは純正ではなく汎用パーツでの対応も可能です。
さらに、汎用パーツを割引価格で提供してくれる車検業者もありますので、それらを含めて車検費用を大幅に抑える事が可能なんですね。
選択肢が広く、自分に合った業者の選択が可能
ディーラー車検の場合は、購入したディーラーや提携ディーラーのみで車検を受ける形となりますが、民間車検の場合はカー用品店やガソリンスタンドなどでも可能ですし、車検を専門に扱っている業者などもあります。
そういった中から自分の予算やスケジュールに合わせ、車検業者を選ぶ事が出来る事も民間車検のメリットであると言えるでしょう。
民間の整備工場では、代車を必要としない”1日車検”というプランもありますので、即日で終わらせたい方は検討してみるのも良いかと思います。
5-2. デメリット
業者の見極めに手間が必要
メリットの方では選択肢の広さを挙げましたが、選択肢が広い分、良質な車検業者を見極めるために少々手間が掛かってしまいます。
ディーラーのように「買ったお店に持ち込むだけ」というわけにはいきませんので、料金はもちろんのこと、整備士や設備の質などについても考慮する必要があります。
現代ではインターネット上に、実際に車検を行ったブログや、業者への口コミなども多く存在していますので、そういった情報も参考にしながら車検業者を決めると、ホームページや広告だけを見て検討するよりは幾分かスムーズになるかと思います。
専門的な機器が備わっていない
民間車検業者の場合、ディーラーからの技術提供や設備の提供がありません。
そのため、フォルクスワーゲン特有の車載コンピュータなどの修理や点検が不可能な場合が殆どとなります。
また、車検を行う整備士はフォルクスワーゲンの整備に特化しているというわけではありませんので、コンピュータ関係などの最新技術に関する知識自体が無いというケースも考えられます。
アフターサービスが全くない場合も
民間車検業者で車検費用を下げている業者は、アフターサービスを全くせず、点検・整備のみという場合もあります。
ディーラーほどの手厚いサービスは無いにしても、ある程度のアフターサービスが揃っている業者を選んだ方が、車検後の不安も少なくなるかと思います。
民間車検のアフターサービスに関しては、ディーラーよりも格段に安い場合が殆どですので、必要だと思うものは付けておいた方が良いでしょう。
6. フォルクスワーゲンディーラーの車検費用が高い!困った時の民間車検の選び方
6-1. 民間車検の種類
オートバックスなどのカー用品店
オートバックスなどの大手カー用品店は、ホームページなどにも車検プランなどを明記しているため、料金の分かりやすさや依頼のしやすさがポイントです。
大手チェーン店であるほど従業員や整備士の質も一定以上の水準を保ってますので、費用を抑えつつ安心して任せられます。
ガソリンスタンド
こちらもカー用品店同様に、大手ガソリンスタンドは車検の料金やプランなどを明示しているため、利用のしやすさがメリットです。
普段から利用しているガソリンスタンドの場合、コミュニケーションの取りやすさから、”車検の申し込みをしやすい”というのもポイントと言えるでしょう。
”車検”という言葉を見るだけで気が重くなるという方もいると思いますし、民間車検業者を選ぶ上で”頼みやすさ”は充分なアドバンテージであることは間違いありません。
普段から修理やオイル交換などを扱っているため、整備士の技術力も一定以上の水準はあると言えます。
民間整備工場
民間整備工場には2種類あり、1日車検が可能な”指定整備工場”と、そうではない”認定整備工場”です。
車検以外でも普段から自動車の整備を扱っている工場ですので、修理や整備に関する知識は豊富であると言えます。
ある程度の故障なら修理で対応し、工賃自体もリーズナブルですので、車検費用が大幅に安くなる事も見込めるわけですね。
しかし、チェーン店などのように一定水準が保たれているわけではありませんので、工場によって整備士や設備の質のバラつきがあります。
そのため、民間整備工場を利用する場合は、工場の見極めが非常に重要です。
フランチャイズ店
元々ある民間整備工場などをフランチャイズ化し、車検を専門に扱う業者の事を指します。
料金設定が非常に安く、最低限の整備や点検のみで車検を通す事も可能ですが、車検後のアフターサポートなどを含めてもリーズナブルに収まります。
マニュアルが完備されている事も多く、料金設定や期日などが明確で、作業後に料金が上がったり、期日が遅れるという事がほぼ無い点もポイントです。
6-1. 民間車検を選ぶ時の3つのポイント
①”安さ”と”アフターサービス”
民間車検を選ぶ理由として”安さ”は外せない点ですので、料金設定や割引プランなどはきちんとチェックしましょう。
また、万が一トラブルが起こってしまった場合に、アフターサービスが無い業者ですと余計に費用が掛かってしまうだけですので、アフターサービスの内容などもチェックポイントと言えるでしょう。
②フォルクスワーゲンを普段から取り扱っているか否か
民間車検業者は、外国車や国産車問わず全ての車種を扱うため、業者によって特定の車種の整備経験にバラつきがあります。
業者の中には「フォルクスワーゲンの車検ならココ!」のように、フォルクスワーゲンの車検経験が豊富な事を前面に出している場合があり、そういった業者に任せる事でリスクを小さくする事が可能です。
③見積もりは複数
民間車検を行うにあたって、1つの業者だけに決めてしまうのは得策ではありません。
最低でも3社には見積もりを依頼するようにし、その中で内容や価格を比較し、最も納得できる業者に車検を依頼する事が大切です。
7. フォルクスワーゲンの車検費用を抑えるなら民間車検業者の選び方がポイント!
一部では「安かろう悪かろう」というイメージを持たれがちな民間車検ですが、きちんと選ぶ事で、リーズナブルかつ納得の出来る車検を行う事が充分に可能です。
業者を見極める手間は必要になりますが、それで車検費用が半額近く安くなるとしたら、メリットの方が多いとも言えますよね。
ディーラーにお任せのディーラー車検はもちろん良いですが、決して民間車検が悪いという訳ではないという事を、この記事を読んで分かってもらえたら嬉しいですね。
良い民間車検業者と出会うと、以後のカーライフも充実したものになりますし、メリット・デメリットを踏まえ、しっかり吟味して選んでもらえたらと思います。