どんなに整備が整っている車でも、車検が切れた状態では乗ることはできません。でも車検をしたくても土日しか休みが取れない人や、通勤・通学で平日は車が必要という人も多いはずです。
期限が切れる前に車検を通しておきたいけれどどうしても土日しか車を整備工場に預けることが出来ない人は、きっと「本当に土日で出来る?」という不安をもっているはずです。
しかも「もしもできなかったら困る!」と焦るあまりに「土日で出来る」と約束してくれた業者の言いなりになってしまい、結果的に相場よりも高い料金を請求されてしまうこともあります。
そこで今回は、車検を確実に土日で終わらせる方法とそのポイント、さらに土日では車検が受けられない場合などを詳しく説明していきます。
1. 車検を土日で終わらせる方法
土日はただでさえ車関連の業者が込み合います。「車検のために有給休暇をとって混雑を避ける」という裏技もありますが、さすがに車検を通すためだけに仕事を休むのは…ですよね?
でも確実に土日で車検を終わらせる方法が2つあります。1つは「ディーラー車検」、もう1つが「指定整備工場を持つ民間車検」です。この2つにはそれぞれ違いがありますので、まずはその違いから説明していきましょう。
1-1. ディーラー車検
ディーラー車検には、こんなメリットとデメリットがあります。
ディーラー車検のメリット
ディーラー車検のメリットは、やはり安心感でしょう。車検に出される車はすべて自社製品ですから、あなたの車のすべてを隅々まで知り尽くしているメカニックが対応してくれます。このことをわかりやすく言い換えると、「ディーラーのメカニック=車のお医者さん」となります。
風邪をひいた時のことを思い出してください。「ちょっと熱っぽいかな?」と感じた時点で病院に行けば、薬を飲むだけですぐに回復します。でもそれほど深く考えず「我慢しておけばそのうちに治る」と思って放っておいたら、重症化してしまい結局会社や学校を休まなければいけなくなってしまいます。
車も身体のメンテナンスと同じです。早めに不具合を見つけて整備・修理をすることで、車の性能を保ったまま乗り続けることが出来ます。つまり正しい整備・点検をしてもらうことは、車を長く乗ることにつながっているのです。これが出来るのが、ディーラー車検の最大のメリットといえます。
ディーラー車検のメリットその②
ディーラーでは、車検を通してあなたの車の状態を常にチェックしています。ですから「どのような整備をどのタイミングで行ったのか」ということまですべて把握しています。そのため車の買い替えなどで下取りしてもらう場合は、査定額が高くなることの方が多いです。
どんなに手入れをしても、車にも寿命があります。ですからあなたの車もいつかは乗り換えのタイミングがやってきます。その時に「正しく車を査定してもらうことが出来る」という安心感は、ディーラー車検を利用するメリットといえるでしょう。
ディーラー車検のデメリット
ディーラー車検のデメリットは、「民間車検と比べて費用が高い」という点でしょう。これは「ディーラーだから高い」というわけではなく、「ディーラーだからこそ万全の状態で整備したい」という強い使命感から来るものだと考えた方が良いでしょう。
安さを求めて民間車検場を利用しても、車検後にすぐ車のトラブルが起きるということはよくあります。でもディーラー車検の場合は、細かな部分もすべて点検しますから、このようなトラブルに巻き込まれる心配はありません。それはディーラーの誇りをかけて最高の状態で整備点検をするからです。
もちろんそうなれば作業工程も増えますから、整備費用も高くなります。「安さを求めたい」という人にとってはこの点がディーラー車検のデメリットなのですが、「安全を求めたい」と人にとっては最高のメリットでもあります。
1-2. 指定整備工場を持つ民間車検
指定整備工場というのは、「車検を行うことが出来る工場」のことを言います。指定整備工場と間違えやすいのが「認定整備工場(認証工場)」です。
指定整備工場は国から「陸運局の代わりに車検をしてもいいですよ」と認めてもらっている工場のことを言います。ですから、ディーラー車検と同じように安心して土日に車検をお願いすることが出来ます。
ところが認定整備工場は、陸運局の代わりに車検をすることはできません。もちろん車検を通すために必要な整備や修理などはできますが、終わった後は自分で陸運局に車を持ち込んで車検を通さなければいけません。ですから民間車検を利用するにしても、確実に土日で車検を通すためには「認定整備工場を持っている民間車検」を利用しなければいけません。
では指定整備工場を持つ民間車検のメリット・デメリットを簡単に説明しましょう。
指定整備工場を持つ民間車検のメリットその①
指定整備工場を持つ民間車検のメリットといえば、やはり「費用の安さ」でしょう。ネットなどの口コミを見ても「ディーラー車検は高い」というコメントが目立ちます。これに対して民間車検の口コミは「思った以上に安かった」というコメントが多いです。
車検はただ検査をするだけではありません。陸運局の検査基準を通すために、細かな部分まで点検・整備をしなければいけません。さらに場合によっては修理をしなければ車検が通らないこともあります。
ディーラーでは「車の安全=ディーラーの信頼度」ですから、車検時の整備や修理も万全でなければいけません。しかもその時に使う部品は純正品ですので、値段も高くなります。
これに対して様々な車種の車検に対応している民間車検場では、いろいろな部分でかなり融通が利きます。
たとえば「今回は予算が厳しいから最低限の整備をしてほしい」といえばその通りにしてくれますし、修理に必要な部品も代用できるものがあれば純正品以外でも対応してくれます。このような例から考えてみても、ディーラー車検より民間車検の方が安いということが分かります。
指定整備工場を持つ民間車検のメリットその②
もう1つは、「どんな車種でも対応してくれる」という点です。民間車検では、ディーラー車検とは違い様々な車種の車検を行います。民間車検場に持ち込まれる車の中には、もちろん新車同然の車もありますがすでに販売が終了している古い型式の車もあります。
ですからどのようなタイプの車であっても点検整備が出来る知識と技術を持っているメカニックがいるのが、民間車検の最大の強みです。
指定整備工場を持つ民間車検のデメリット
指定整備工場を持つ民間車検のデメリットは、「業者によって費用がかなり違う」ということでしょう。陸運局の検査の基準は、思っている以上に厳しいです。でも車にそれほど詳しくない人では、何が必要で何が不要なのかを判断することはかなり難しいです。
とはいえ民間車検業者だって商売ですから、「出来るだけ整備作業の項目を増やして請求額を上げたい」というのが本音です。ですから車検を通すだけなら特に必要がない作業も、「この部分がかなり劣化していますから、一緒に取り換えておきましょうか?」なんて甘いセリフを言ってオプションを取ろうとします。
この時、あなたの気持ちの中では2つのことが思い浮かぶはずです。1つは「本当に必要なのかな?」という疑問ですが、もう1つは「これをやらないと土日に終わらないんじゃないかな?」という不安です。
あなたにとって今回の車検の一番のテーマは「土日で車検を終わらせること」ですから、その不安を消すためにも言われた通りにお願いしてしまうはずです。これが民間車検のデメリットです。
きちんと点検整備を行ってくれる業者でなければ、あなたの希望通りに土日で車検が終わったとしても高額な費用を請求されるかもしれません。また作業項目が増えれば作業時間も増えますから、最悪の場合「土日に車検が終わらない」という可能性もあります。
業者選びに手間がかかるのが民間車検のデメリットではありますが、最大のメリットである「安さ」を追究するなら必ずやっておかなければいけない作業です。
2. 土日に車検が受けられない、終わらない場合
土日に車検が出来るとは言いましたが、場合によっては「車検が受けられない」「車検が終わらない」ということもあります。
2-1. ユーザー車検
ユーザー車検とは、分かりやすく言えば「自分で車を整備・点検し、陸運局に行って車検を通す」ことを言います。整備・点検などは土日に行えばよいのですが、ユーザー車検では「自分で陸運局に車を持ち込まなければいけない」という作業があります。
残念ながら陸運局や軽自動車検査協会は、平日の昼間でしか検査を受け付けていません。ですからユーザー車検を土日で終わらせるということは、物理的に無理なのです。
2-2. 認証整備工場を持つ民間車検
指定整備工場との比較でも説明しましたが、認証整備工場は「車検を通すために必要な整備・点検・修理を行う工場」のことを言います。残念ながら認証整備工場では車検を通すことはできませんので、工場での整備が終わった後はあなたが自分で陸運局に車を持ち込み、車検を通す必要があります。
ですから認証整備工場を持つ民間車検場では、「土日に車検を通すことはできない」と考えておいた方が良いでしょう。
2-3. カー用品店やガソリンスタンドの車検
カー用品店やガソリンスタンドでの車検は、「値段が安い」「どんな車種でも対応してくれる」「いろいろなキャンペーンを行っている」などユーザーにとっては嬉しいメリットがたくさんあります。
ただしメリットが多いということは、その分利用者も多いということです。特に車関連の業者は土日に利用者が集中するため、待ち時間が長かったり希望日に車検が受けられないということもよくあります。
極論を言ってしまえば、「カー用品店やガソリンスタンドでは予約しないと車検は出来ない」と考えるべきなのです。もしもその業者が地元でも人気が高い店ならば「予約が1か月先まで埋まっている」ということも覚悟しておいた方がいいでしょう。
3. 有効期間の1ヶ月前から車検が受けられる
車検の期限が切れた車は、公道を走ることはできません。でも土日しか車を車検に出すことが出来ないという人は、「期限内に間に合わなかったらどうしよう?」と思うはずです。でも車の車検は、有効期限ギリギリにならないと受けられないというわけではありません。
3-1. 車検が受けられる期間
車検は「有効期間が切れる1か月前」から受けることが出来ます。しかも有効期限よりも早く車検を受けたとしても、新しい車検証の期限が短くなるということではありません。
たとえば4月1日に有効期限が切れる車を3月1日に車検を受けたとしましょう。すると次の車検は、2年後の4月1日となります。つまり1か月前に車検を受けたとしても、決してあなたが損をするわけではないのです。
3-2. 車検は見積もりをとって予約する
有効期限の1カ月前から車検が受けられるのですから、じっくりと業者を選ぶ余裕が出来ます。「あと○日で車検が切れてしまう!」と思っている時は、「とにかく早く期限内に車検が通れば良い」と思いますよね?これは車検業者にとって「都合の良いお客」でしかありません。
賢く費用を節約しながら希望通りのスケジュールで車検を受けるのであれば、1か月前までには業者を選びあなたが希望する日程で予約をすることです。車検にかかる費用は業者によっても違います。
賢く業者選びをするためにも、最初から1社に決めるのではなく複数の業者に見積もりを出してもらい比較した上で決めるのがおすすめです。
4. まとめ
通勤・通学などで車を利用している人であれば、どう頑張っても土日にしか車検は受けられません。でも車検が切れた車を公道で走らせると「無車検車運行」で捕まってしまいます。違反点が6点もつくうえに、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金となります。
車検は期限が切れる1か月前から受けることが出来ますから、ぜひ時間に余裕をもって車検のスケジュールを組むようにしましょう。