純正オイルの良さは、安全性能にあるのかもしれません。そのクルマのエンジンを知り尽くしたオイルにはさまざまなメリットがあります。ホンダ(HONDA)もまた、他にはないオイルをつくり上げているメーカーのひとつといえます。
エンジンにこだわったオイルとは、一体どんな良さがあるのでしょうか?そんなホンダ(HONDA)の世界をお伝えしていきましょう。
ホンダのエンジンオイルとは?
ホンダは1946年の創業以来、不動の人気を博している二輪とともに、四輪、航空機をはじめとするさまざまな分野への進出を果たしています。また二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」などの研究開発に成功し、誰もが知るところとなりました。
モータースポーツへの参戦も盛んで、その歴史は1961年の二輪レース「マン島TTレース」にまでさかのぼります。数々のレースに参加を続け、現在では二輪、四輪においても輝かしい成績を収めてきました。2019年の参戦は以下の通りです。
- ロードレース世界選手権…3年連続9回目の3冠達成
- スーパーバイク世界選手権…17位・19位
- AMAスーパークロス…4位・7位・10位
- モトクロス世界選手権…1位
- トライアル世界選手権…13年連続1位
- FIM世界耐久選手権…6位(鈴鹿8時間耐久レース4位)
- 全日本ロードレース…2位
- 全日本モトクロス選手権…1位
- 全日本トライアル選手権…7連覇
- アジアロードレース選手権…3位
- イデミツ・アジア・タレントカップ…2位
- CEVプソルインターナショナル選手権…3位
- フォーミュラ・ワン世界選手権…Red Bull Racing 3勝・Scuderia Toro Rosso2勝
- インディカー・レース…2年連続マニファクチャラーズタイトル獲得
- FIAワールド・ツーリングカー・カップ…2位・7位・20位・24位
- SUPER GT…GT300チャンピオン GT500:6位
- 全日本スーパーフォーミュラ選手権…2位
ホンダ技研工業の創設者である本田宗一郎氏は、1936年「第1回自動車競走大会(多摩川スピードウェイ)」に自ら出場するという経験を持っています。レース活動は自社製品の品質向上につながるとの持論があり、「レースはホンダ(HONDA)のDNA」と表現されることも少なくありません。
1962年に作られた鈴鹿サーキットは日本で最初の国際レーシングコースとなりました。手掛けたのはホンダ(HONDA)です。その後1964年には日本初のF1マシンRA271がデビューし、翌年には初優勝を果たしました。またツインリンクもてぎは1997年にオーバルコースとロードコースの2つを併設した日本初のコースとして誕生させています。
2つの国際サーキットの運営を通して、現在もレースからさまざまなフィードバックが行われており、もちろんエンジンオイルにおいても膨大なデータが蓄積されているのではないでしょうか。
ホンダのエンジンオイルの特徴と性能
二輪からレーシングカーまで実に多くのエンジンを手掛け、エンジン屋の異名を持つホンダ(HONDA)だからこそできること、それは限界まで追求する開発力と自由さにあります。
通常のオイル開発は、既存のオイルにどのような成分を追加して、どのようなものをつくりたいのかをオイルメーカーと共同で行うものです。しかしホンダ(HONDA)はエンジンに対してどのようなオイルをつくるべきなのかを考えるところから始まります。エコカー用のハイグレードなエンジンオイルの開発にも、粘度規格に捕らわれることなくギリギリまで追求する姿勢がみられました。そんな自由な研究スタイルは、ホンダ(HONDA)ならではの特色といえそうです。
その結果、自力でオイルの処方をつくるという方法にたどり着きました。さまざまなオイル素材を混ぜ合わせて測定し、どんな素材を何パーセント混ぜればエンジン性能に一番良いかを導き出します。
自分たちの手でさまざまな測定を行うことが、ホンダ(HONDA)のエンジン性能を引き出すカギを見つけることに繋がり、また困難さを理解することで、オイルメーカーへの依頼をスムーズにすることができます。そして出来上がったのは規格を超えた超低粘度によって、低温から高温まで全温度域において低粘度という、燃費性能を限界まで高めることができるオイルでした。
そのほかにも、数多いオイルを取り揃えており、車種や年代に合わせて選ぶことができます。
ホンダのエンジンオイルの評判
ホンダユーザーたちの声を聴いてみましょう。
- 柔らかすぎず、硬すぎないのが純正オイルの良さではないでしょうか。
- 性能の良さを感じることはできないけれど、純正推奨品は安心です。
- 他社オイルから純正に戻したところ、驚くほどパワーが出ました。純正が絶対良いとは言いませんが、中途半端な価格のオイルを使用するよりは純正のほうが安心できます。
- エンジンの吹けはよいのですが、2カ月ほど(2,000㎞)で粘度低下がみられた。
- 性能は平凡な感じです。特にエンジンの吹けが良くなったとかパワーアップしたとかはありません。
マニュアルに記載されている通りのグレードを選ぶことで、最低限のクオリティは補償されているといえそうです。「純正だから安心だ」という声も多く聞かれました。また価格と性能のバランスが良いのも純正ならではのメリットです。
ホンダと他社のエンジンオイルの違い
市販されている様々なオイルは、多くのメーカーや車種に適合するようにつくられています。しかしホンダ(HONDA)はオイルもエンジン部品の一つのパーツと考えました。
オイルは様々な車に対応できる汎用品と捉えられがちです。しかしエンジン屋であるホンダ(HONDA)が作れば、エンジンとオイルを同時に開発することができ、エンジン性能を引き出せるオイルをつくることが可能になります。これは他社には真似することができない、自動車メーカーだからできることでしょう。
エンジンオイルの粘度を下げるということはエンジンの抵抗が減るため燃費が向上しますが、粘度を下げすぎるとオイルの性能が劣化する原因となるでしょう。そのため耐久性の限度を知らなければ、省燃費性能と性能劣化のバランスを理解することができません。
そこでホンダ(HONDA)はエンジン性能の限界を知るために、エンジンをいくつも壊して研究を重ねました。エンジンを壊してまでオイルの開発に臨むのは数多い自動車メーカーの中でもホンダ(HONDA)だけではないでしょうか。
ホンダのエンジンオイルの種類と性能一覧
ホンダ(HONDA)純正オイルにはどのような種類がラインアップされているのでしょうか。ひとつずつ見ていきましょう。なお正確な価格についてはHONDA販売店に問い合わせてください。
ウルトラNEXT
性能
エンジンの耐久性に加え省燃費性能を高次元で両立することに成功しました。次世代エンジンのためのオイルといえるのは、低温から高温まで全温度域で低難度化している点にあります。
SEA規格に適合していないためAPIやILSACの認証はありませんが、エンジンと同時開発し、さまざまな性能試験を繰り返しているため高い品質を保つことができます。
ウルトラNEXTは、推奨車両以外には使用できませんので注意が必要です。
ウルトラGreen
性能
HONDAのハイブリッドや低燃費ガソリンエンジンオイルに最適なオイルです。省燃費性を追求しているため、最も低粘度とされている規格を下回っています。そのためSEA規格に適合せず、APIやILSACマークを取得していません。
ウルトラNEXTと同様に詳細な性能試験を繰り返し行っており、機能面で問題なく使用できるオイルです。ウルトラGreen 推奨車両以外には使用しないでください。
ウルトラLEO
性能
粘度規格はSEA 0W-20でAPI規格のSNグレードを取得しています。SNグレードは2010年に新設されたもので、最上位を意味します。試験評価項目には省燃費性能を重視する項目が含まれるようになりました。
またILSAC規格では最新のGF-5グレードを獲得しています。こちらも日米の自動車工業会を意味する「ILSAC」がAPI規格に省燃費性能を加えたグレードを追加したものです。
ウルトラLTD
性能
マルチタイプのエンジンオイルで幅広い車種の粘度特性に対応します。低温域から高温域まで安心して使用することができるでしょう。
粘度規格はSEA5W-30でAPI規格のSNグレード、ILSAC規格のGF-5グレードを取得しています。
ウルトラGOLD
性能
高出力エンジンに向けた100%化学合成油です。始動直後の低温域からスポーツ走行時の過酷な高温時までエンジンを確実に保護します。低温流動性、高温安定性に優れたパワーを発揮してくれるでしょう。
粘度規格はSEA10W-30でAPI規格SNグレードはもちろんのこと、ILSAC規格GF-5グレードも取得済みです。
ウルトラMILD
性能
従来から使用されているスタンダードオイルです。粘度規格10W-30でピストンとシリンダーの隙間が多く、比較的年式の古いエンジンには性能を発揮します。次回交換までフィーリングが長続きしないということもなく、安心して走行を楽しむことができそうです。
まとめ
エンジンと同時に開発されているホンダ(HONDA)のオリジナルオイルは、エンジン屋といわれているこだわりです。エンジンを壊しながらオイルの限界を確認する方法は、誰もが真似のできることでないでしょう。
省燃費性の進化に伴いエンジンオイルも研究を重ね、ホンダ(HONDA)の高性能エンジンを限界まで引き上げることのできるオイルが誕生しました。その一方で車種や年式に合わせた従来からのオイルまでラインアップはさまざまです。
エンジンを知り尽くしたオイルの価値を存分に感じてみてはいかがでしょうか。