車検が切れてしまった理由は、様々なことが考えられます。もちろんあなたが意図的にそれを知っていて乗り続けている場合は、明らかな違反ですから罰則や罰金の対象となります。
でも知らないうちに車検が切れているということだってありますよね? この場合も、意図的に車検切れの車を乗っている場合と同じ扱いになるのでしょうか?
さらに気になるのは、車検が切れている車で事故に遭った場合や車検切れの車を何とかしようとした場合の方法などですよね。
そこで今回は、車検が切れた車を運転した場合や事故に遭った時、さらに車検切れの車を何とかしようとした場合の方法などをわかりやすく解説していきます。
1. 車検切れの車を運転することはできる?
車検とは、国が定める保安基準を満たしているか検査することです。そのため車の所有者であれば2年毎(新車で購入した場合のみ初回車検は3年後)に受ける必要があります。
その検査をクリアすると発行されるのが、車検証(自動車検査証明書)です。これはあくまでも国が定めたことですので、車検の有効期限が切れた車を運転することは出来ません。
もちろんそのことがバレてしまえば、罰則・罰金の対象となります。
2. 車検切れの車を運転した場合の罰則・罰金
車検が切れた車を運転した場合は、「無車検運行」として「道路運送車両法違反」となります。
この場合の罰則は、①30日間の免許停止処分 ②6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金 が科されます。さらに違反点数も、前歴がない場合であれば6点が加算されます。
前歴がない場合は「免停処分と20~30万円の罰金、および違反点6点」が妥当な処分ですが、何度も繰り返すような悪質な違反の場合は「懲役刑及び違反点数の重課」となることもあります。
車検が切れているということは自賠責保険も切れていると考えた方がいい
車の所有者は車検の有効期限が切れていないだけでなく、自賠責保険に加入・契約期間を過ぎていないことも重要なポイントになります。
車の保険には自賠責保険と任意保険の2種類がありますが、法律上義務付けられているのは「自賠責保険」の方です。そのため自賠責保険は「強制保険」とも言われます。
もちろん強制保険ですから、車に乗るためには必ず加入しなければいけません。そのため自賠責保険が切れた車に乗っているだけでも、「自動車損害賠償保障法違反」となり罰則の対象となります。
自賠責保険が切れた車の場合は、①1年以下の懲役または50万円以下の罰金 ②違反点数6点 が加算されます。
車検切れ&自賠責保険切れの場合
自賠責保険は基本的に車検を受ける際に24ヶ月契約をします。つまり車検が切れているということは、自賠責保険も切れているといえます。こうなるとさらに重い罰則・罰金はもちろんですが、違反点数も追加で付きます。
この場合の罰則規定は ①90日間の免許停止処分 ②1年6ヶ月の懲役または80万円以下の罰金 ③違反点数12点 となります。
うっかり忘れていたでは済まされない重大な罰則となりますので、くれぐれも運転しないようにしましょう。
3. 車検が切れていることを知らずに運転した場合
車検切れが見つかって捕まった場合、検察による量刑の判断によって罰則が決められます。もちろん検察での聴取では、「なぜ車検切れで運転してしまったのか」という理由は聞かれます。
でもこれは「あくまでも形式上のこと」と考えておくべきです。
つまり法律では「被疑者の理由を聞かずに処分をしてはいけない」というルールがあるために行うものであって、いかなる理由があっても車検切れで運転することは重大な法律違反となります。
ですから処分の内容も、基本的には何も変わりません。
4. 車検切れの車を運転して事故にあった場合
車の事故はいつ起こるかわかりません。あなた自身が事故を起こす加害者となるかもしれませんし、逆に貰い事故に遭ってあなたが被害者となることもあるでしょう。ところが車検切れの車の場合には、ここでも問題が発生します。
4-1. 交通事故を起こした場合
交通事故を起こしたということはあなたが「加害者」となるわけなので、これは非常に困ったことになります。
そもそも自賠責保険というのは、事故を起こした場合に被害者への賠償を目的とした保険なので「車の所有者に加入する義務」がわけです。
もしも加害者が任意保険に加入していなかった場合、被害者が泣き寝入りしてしまうことになります。これを防ぐために強制的に加入させているのが自賠責保険なので、加入していないと国が加害者の代わりに被害者の補償を行います。
さらに被害者が病院で治療を行った場合は、国保や労災などの社会保険を使って治療にあたります。そうなればこうした各種保険の管轄機関からも被害者の治療にかかった費用の請求を受けることになります。
ちなみにこれらの請求に対してあなたが支払いに応じなかった場合は、裁判所に損害補償請求訴訟を起こされます。
もちろん裁判の判決の結果次第となりますが、判決によってはあなたの所有する財産や給与の差し押さえによって回収されます。
4-2. もらい事故にあった場合
自賠責保険に加入していない相手からもらい事故に遭った場合、あなた自身が任意保険に加入していれば問題ありません。
人身傷害補償保険から治療にかかる治療費を支払ってもらうことが出来る上に、保険料が上がる心配もありません。
また治療にかかった費用は契約をしている保険会社が加害者に対して請求を行うので、治療費の回収の心配もありません。
ただし自賠責保険はあくまでも被害者の最低限の保証を目的としているので、車の修理などの保証はできません。この場合はあなたが加入している任意保険の対物保証を使うか、被害者に対して損害賠償請求を起こすしかありません。
ただし被害者に損害賠償請求をしたとしても、支払いに応じる可能性はかなり低いためあなた自身の任意保険の対物保証を使うことになるでしょう。
5. 車検切れの車を移動させる方法
車検が切れてしまった車は、公道を走らせることは出来ません。もしも車検切れの車を移動させる必要がある場合でも、違反とならないようにきちんと対処することが必要です。
5-1. 車検切れの車を売る場合
車検切れの車を売却する際に最も手間がかからない方法は、「買取業者を利用する」ということです。車買取業者であれば、車検切れの車でも無料で引き取りに来てくれます。
これならわざわざ車検を通す手間もいりませんし、車を動かすための手間もかかりません。
5-2. 車検切れの車を車検に出す場合
車検切れの車を車検に出す場合には、「車検業者に依頼する」と「自分で車検を通す」で方法が異なります。
車検業者に依頼する場合は、車を売る時と同じように業者が引き取りに来てくれます。ただしこの時に無料で引き取る業者と別途移動費を請求される場合があるので、事前に費用の確認はしておきましょう。
自分で車検を通す場合であれば、「仮ナンバーを取得する」で公道を走ることが出来ます。仮ナンバー申請をしてナンバーが交付されれば、5日間であれば車検切れの車でも公道を走ることが出来ます。
6. 車検切れの車を運転してはダメ!
車検切れの車を運転することは、法律上の違反です。見つかれば必ず厳しい罰則・罰金が科せられますし、違反点数も付きます。
さらに車検が切れていることは、自賠責保険も切れているといえます。この場合はさらに重い罰則が科せられます。
車検の期限内にきちんと通すことが大前提ですが、もしも切れてしまった場合は「公道は走らない」ということを守りましょう。
それがあなたを守ることでもあり、車のユーザーとしての最低限のルールです。