車の塗装やコーティングを自分でやる場合、失敗せずきれいに仕上げるには下地処理が重要になります。

今回は、その下地処理について詳しい方法をご紹介します。

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1. 車の塗装をする前に

自分で塗装するのはリスクがあります。状況ややり方によってはうまくいかない場合もあります。それなりの技術はいりますし、作業時間や手間もかかります。自分でやるのは難しいと思ったら、プロの塗装業者に任せる方が無難です。それでもやってみたいという人、自分の車の塗装ぐらい自分でやりたいという人は挑戦してみてください。

車の塗装をするにあたっての手順は、洗車をして、下地処理をして、傷を埋め、塗装する、という順序になります。

2. 車の下地処理とはどういうことをするのか?

車の下地処理というのは、塗装する前に車のボディー表面の塗装面を磨いて鉄粉やキズ、水垢などを取り除き、なめらかな表面と輝きを取り戻す作業です。

業者に頼む場合、この下地処理をどこまでするのかに違いがあります。いい加減に済ますこともできますし、しっかりと施工するところもありますが、その後の塗装やコーティングに影響します。費用対効果もありますが、できるだけきれいにしてくれるところを選びましょう。

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3. なぜ車の塗装前に下地処理が必要か?

女性のお化粧がいい例です。どんなにいい化粧品を使ったとしても、まず一番元となるお肌が荒れていたりくすんでいたりしては、お化粧ノリも悪く、血色や色合いも映えません。お肌の調子を整えること、そして下地となる化粧をきちんとすることで、お肌を美しく見せ、化粧が生きてきます。

車に乗っていると、洗車をしていたとしても、少しずつ塗装表面の輝きが失われていきます。

ワックスや洗車を繰り返すことによってできる細かなスクラッチや、鉄粉による塗装面のザラザラ感や、砂や雨でできる水垢やキズなどで傷んだボディに、再び輝きと美しさを取り戻すためは下地処理が欠かせません。

丁寧に扱っているつもりでも、線路沿いや幹線道路、高架下、鉄工所や溶接工場からは鉄粉が飛んできます。建物の工事現場では、ホコリやペイントミストの粉が飛んできて付着します。これらはどうしても付着してしまいますから、洗車やお手入れを定期的にする必要があります。

しかし、お手入れでワックスを塗ったり、洗車をすることでもたくさんの擦り傷が付いてしまいます。またウォータースポットやイオンデポジットなども気をつけないとできてきます。

このようにどうしても鉄粉や擦り傷はついてしまいますから、きれいなように見えたとしても、塗装前には下地処理をして塗装面を整えておくことをお勧めします。

下地処理も塗装も自分でするよりもプロに任せる方が楽にきれいに仕上がりますが、料金はそれなりにかかります。できれば安く簡単に楽にしたいと思っている人は、簡易的に自分でも行うことはできます。

3-1. 新車でも下地処理が必要?

新車はボティがきれいな状態だから下地処理はいらないんじゃないの?と多くの人は思うでしょう。確かに中古車と比べれば、はるかにきれいな状態ですが、工場出荷時とはいえ、必ずしも完璧な状態だとは限りません。

ホコリや傷は少ないかもしれませんが、納車前の洗車や磨きで微かな傷ができることもあります。また、塗装自体がボケていることがあります。車種やメーカーによって違いますが、塗装面が少し濁ったように見えることがあります。

この塗装のくすみや色ボケを取り除くには下地処理が必要となります。下地処理をすることで、ボディを磨くことで起こる塗装への負担を減らします。そして塗装面のツヤを出し、平滑に整えることができます。

下地処理をすることで、光の反射が整えられて均一になり、くすみがなくなり、輝きを増したクリアーな塗装面となります。

また、車が工場出荷後からお客様のもとに届くまでに、いろんな人の手に渡り、その際、ダメージを受けることもあります。新車を購入されたとしても、塗装のボケと出荷後のダメージを解消することで、美しいボディを楽しめる満足できる車となるでしょう。

4. 車の塗装の下地処理の手順

下地処理では、本来の光沢を取り戻すために、表面上の汚れや傷をなくし、塗装面を平滑化します。ここでは、その手順を簡単に説明します。

  1. 洗車をして埃などを流しておきます。
  2. 鉄粉の付着を鉄粉除去剤で取り除き、それでも取れない鉄粉はトラップ粘土で除去します。
  3. マスキングテープで、ゴムやモール部分を保護します。
  4. 塗装面に耐水ペーバーをかけて表面をなめらかにします。耐水ペーバーは水につけたものを使います。手元にバケツと水を置いておくといいでしょう。手で握れるサイズの四角い木材などに耐水ペーパーを巻いて削るとやりやすいです。
    その他、コンパウンド、電動バフ、ポリッシャーなど必要に応じて使ってください。この時に傷がついてしまっては元も子もないので、注意しながら表面を整えていきます。
  5. 下地処理をしたいところ全体を削ったら水で流してから、水を吹き上げて、乾くのを待ちます。乾いてから見ると、削れている箇所とそうでない箇所の違いがわかります。やり残しているところを見つけたらまた削りましょう。
  6. 水分を完全に拭き取り、脱脂剤をクロスに染み込ませて拭きます。脱脂は60cm四方ぐらいを目安に乾かないうちに吹き上げていきます。
  7. プライマー、サーフェーサーを噴きます。

4-1. 塗装下地に使うプライマー、プラサフとバンパープライマーの違いは?

下地処理をするときに下塗り剤で、プライマー、プライマーサーフェーサー(通称:プラサフ)とバンパープライマーをありますが、これらの違いはなんでしょうか?

どれにも「プライマー」という言葉が入っています。これは一番最初に塗る下塗り剤という意味です。両方とも下地処理に使う下地処理剤です。必ず使わなくてはならないものではないですが、それぞれ利点がありますので、それに合わせて使われます。

プライマーは最初に塗る下塗り剤で、塗装する下地と上塗とを密着させ、はがれにくくするものです。下地素材中心の下塗り剤です。

サーフェーサーは中塗り塗料のことで、塗装面の細かな傷を埋めてなめらかにし、塗装面の色調を整え、上塗りの発色をよくします。上塗りの仕上がりに重点が置かれています。

プライマーを下塗りして付着度を増し、サーフェーサーを中塗りするとより確かな下地処理となります。

プライマーサーフェーサーはプラサフと呼ばれ、プライマーとサーフェーサー両方の働きを持っています。超微粒子で細かい傷を埋めて、塗料のノリが良くなる下地処理剤です。これが登場したことにより、サーフェーサーはプラサフに含まれるようになりました。

ただし、プラサフは、鉄以外の素材のプラスチックやアルミ、ステンレスなどにはプライマーとしての効果を果たしません。鉄以外の素材への塗装は、その素材専用のプライマーを使用するようにしましょう。

一方、バンパープライマーは、密着剤とか、シーラーと呼ばれます。バンパーは弾力があるのですが、その性質のため、塗料が割れたり、はがれやすくなります。

その防止のために、塗料が密着しにくい樹脂材質などに塗料を密着させるための下地処理剤としてあります。素材と塗料をつなぐ接着剤と思えばいいでしょう。

つまり塗料を密着させ落ち着かせるのがバンパープライマーで、表面の細かな傷を埋めてなめらかにするのがプライマーサーフェサーです。

プラサフには防錆効果もあるそうですので、金属の部位の塗装の時には使うと良いでしょう。

5. 車の塗装の構造はどのようになっているのか?

自動車メーカーがボディーを塗装する場合、基本として、前処理として下地処理がなされます。その後、プライマーの下塗り、そしてサーフェーサーで表面をなめらかに整えます。その後トップコートといわれるもので上塗りをします。

下塗り、中塗り、上塗りという3段階が基本ですが、上塗りの後、数回のクリア塗装がされたり、中塗りや上塗りを複数回行うこともあります。

何層にもなったとしても塗装膜は0.1mm以下となります。通常、コピー用紙1枚の厚さぐらいの塗装と思えばいいでしょう。そのような薄い塗装ですから、下地処理の大切さを感じますね。

6. 塗装とコーティングは同じなのか?違うのか?

下地処理をした後の塗装? コーティング?

塗装とコーティングは同じ意味でしょうか、それとも違うのでしょうか?塗装は物の表面に塗料を塗り、皮膜を作り、保護します。コーティングは、物の表面に薄い膜を作り、塗装表面を保護します。日本語で言えば、塗膜です。なんか同じに思えますね。

もともとワックスを塗ったり塗装をするのもコーティングであるともいえるでしょうが、

一つ、大きな違いがあります。

塗装は、まずプライマーを下塗りして素材に密着させて剥がれにくくする働きがあります。色のあるものを塗れば、素材感は変わってきます。塗装面を保護する目的もありますが、定期的に塗布するというより塗装が劣化してきたら塗ります。

コーティングは素材感はそのまま生かしたまま、皮膜を作り、保護します。素材に合わせたコーティング剤があり、定期的に塗布することでホディの保護をします。

7. ガラスコーティングの前に下地処理を

もしガラスコーティングを施そうと思っているなら、水垢やキズ、鉄粉などが小さな場合はまだしも、目立つ場合はそのまま反映されてしまいます。下地処理をするかどうかは意見が分かれますが、最高の仕上がりを見せたいのであれば、やはりガラスコーティング前に下地処理を施しておくべきでしょう。

確かにコーティング施工をすれば、光沢は増し、多少の傷はごまかせますが、コーティングをする前に、塗装面の汚れやシミ、傷などをきれいに下地処理をしてなめらかで美しい面にしておけば、コーティングをすることで、その美しさがますます引き立ち、長持ちします。

下地がきれいになってこそコーティングも生きてきます。下地処理が中途半端なままコーティングをしたとしても望む結果が得られるとは限りません。

コーティング施工を実施している施工店によっても、かける手間がそれぞれ違います。

いい加減な下地処理でのコーティング施工の場合もあれば、ある程度は磨いてくれるところ、しっかりとした下地処理と磨きを行なってコーティングを施工してくれるところ、どれも「ガラスコーティングをします」と言っているでしょうが、中身はだいぶん違います。

もし業者に頼むのであれば、どのぐらいまでやってくれるのかを先に聞いておきましょう。

8. まとめ

車の塗装をしようと思うなら、小さな箇所であれば、スプレー等で補正できますが、全塗装しようと思うと、それなりの場所も必要ですし、器具もある方が便利です。スプレー塗装はムラになりやすいので、広範囲にするのは向いていません。

気軽にDIYで、というよりもっと手間のかかる作業となりますが、極力費用を抑えたい方や、趣味も兼ねて自分でしてみたい方もいらっしゃるでしょう。するならば、塗装ブースのあるレンタガレージを借りるといいでしょう。人によってはスプレーでチャレンジする人もいるようですが。

しかし美しく仕上げたいとか、自分でするのは不安がある、手間を取りたくないというのであれば、業者に頼む方が無難です。お金はかかりますが、なれない自分がするよりはきれいに仕上げてくれます。

あなたのニーズに合った方法を選びましょう。

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