車のエンジンオイルは、車のもちと深く関係があるアイテムです。エンジンを効率よく動かすための潤滑油という役割があるため、エンジンオイルがなければいくら高性能なエンジンを載せていたとしても動かすことは出来ません。
そのためエンジンオイルは「車の血液」といわれるほど重要なものです。
しかし、エンジンオイルにはさまざまな種類があり、どれを選べば良いのか迷ってしまうという人も多いはずです。しかもエンジンの働きと深く関係するオイルなだけに、「新しければ何でもよい」というわけでもありません。
そこで今回は、数あるエンジンオイルの中からあなたの愛車に合ったものを選ぶことが出来るように、エンジンオイルの基礎知識からグレードの確認方法、さらに安いオイルと高性能オイルの違いなどを詳しく解説していきます。
エンジンオイルのグレード(規格)の表示方法
エンジンオイルを購入する時、よく「グレードを確認することが大切!」といわれます。でも車そのものにあまり詳しくないと、「エンジンオイルのグレードって値段の違いじゃないの?」と思うかもしれません。
もちろん高性能なエンジンオイルになればなるほど価格は高くなりますが、そのことと「エンジンオイルのグレード」は直接関係ありません。実はエンジンオイルのグレードというのは、「オイルの規格」のことを言います。
いくら性能の良いエンジンオイルを使ったとしても、車のエンジンに合ったオイルでなければ意味がありません。そのためどんなオイルが自分の車に合っているのかを判断するための表示が、エンジンオイルのグレード(規格)なのです。
エンジンオイルのグレード一覧
API規格 |
ILSAC規格 |
概要 |
SA |
無添加の鉱物油でゆるやかな使用条件でのみ対応 |
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SB |
最低限の添加剤を使用して、かじり防止・酸化安定性向上 |
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SC |
1964~1967年モデルのアメリカ車を対象としたオイル |
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SD |
1968~1971年モデルのアメリカ車を対象としたオイル |
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SE |
1971~1979年モデルのアメリカ車を対象としたオイル |
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SF |
1980年以降のアメリカ車、その他一部に対応 |
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SG |
1989年以降モデルに適応、エンジンの保護性能を向上 |
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SH |
GF-1 |
1993年以降モデルに適応 |
SJ |
GF-2 |
1996年以降モデルに適応 |
SL |
GF-3 |
2001年に制定。環境性能を向上 |
SM |
GF-4 |
2004年に制定。省燃費性能を向上 |
SN |
GF-5 |
2010年に制定。省燃費性能を向上、耐久性、触媒保護性強化 |
2020年中旬には新たにSPに相当するGF-6が制定されます。
エンジンオイルのグレードを確認する方法
エンジンオイルのグレードを確認するには、オイル缶にかかれている規格表示を確認するのが一番です。規格の表示には「API規格」「ILSAC規格」「JASO規格」があり、それぞれ表示の仕方が異なります。
API規格
エンジンオイルのグレードが「API規格」となっているオイルは、「API(米国石油協会)」「SAE(アメリカ自動車技術者協会)」「ASTM(アメリカ材料試験協会)」の3団体が定めた規格に適していることを表しています。
API規格の場合は、「S」または「C」で始まるアルファベットで表示されますが、これは車の種類によって使い分けられます。「S」と表示されたものはガソリン車のことであり、「C」と表示されたものはディーゼルエンジン車のことを表しています。
個人ユーザーの場合はほとんどはガソリン車ですから、表示を確認する時は「S」で始まるものを見ます。
「S」の後ろにつけられるアルファベットはA~Nまでありますが、アルファベットの順が後ろになるほど「オイルが高性能である」ことを意味します。
ILSAC(GF-5)規格
ILSAC規格は「ILSAC(日米自動車工業会)」が定めた規格のことをいいます。ILSAC規格は、通常のAPI規格に省エネ性能が加えられているのが最も特徴的です。
表示される場合は「GF」のあとに1~5までの数字がついています。GFの後につく数字が大きくなるほど最新の規格となるため、「GF-5」と表示されたものが現時点では最新のグレードとなります。
JASO規格
2005年に制定されたのがJASO規格です。これまで対応していなかったクリーンディーゼル車にも対応しているのが大きな特徴といえます。
環境にやさしく高温酸化防止性が強化されている点が評価された規格なので、燃費効率を考えてエンジンオイルを選びたい場合にはぜひ覚えておきたい表示です。
ちなみにJASO規格のオイルの場合は、「DL-1」と表示されます。
エンジンオイルのグレードの違いで効果も違う?
エンジンオイルのグレードの見方が分かったら、今度はそれぞれのグレードの違いによる効果についても気になるところですよね?
そこで今度は、エンジンオイルの効果を紹介しつつ、高性能グレードオイルと安いエンジンオイルの違いについて解説してみましょう。
エンジンオイルの効果
エンジンオイルは、ひとの体に例えるなら「血液」にあたります。これに対して車のエンジンは「心臓」にあたります。人間の体も血液サラサラの状態なら心臓も元気に動きますよね。
でも中性脂肪がたまってドロドロの状態の血液だと、いくら頑張っても心臓は元気に動いてくれません。これは車のエンジンとエンジンオイルの関係でも同じことが言えます。
そのためエンジンオイルのパッケージには、「このオイルを使うことによってこんな効果が出ますよ!」ということがたくさん書かれています。でもいくら性能が良いオイルであっても、あなたの車と相性が良くなければ意味がありません。そのためオイルの知識がない場合は「メーカーが指定したオイルが一番相性が良い」となります。
車の性能を知り尽くしたメーカーが指定したオイルは、エンジンの効果を最大限に発揮させるために最も適したオイルといえます。そのためあなたの車に合ったエンジンオイルの効果が最もよくわかるといえます。
高性能グレードと安いエンジンオイルの違い
基本的には純正品のエンジンオイルを使うのが一番良いのですが、さらに高性能な機能を発揮してほしいと思った時には「高性能グレード」のエンジンオイルを選びます。
高性能グレードのオイルにもさまざまなタイプのものがあり、「省燃費性が上がる」「エンジンへの抵抗が抑えられる」「耐久性がアップする」などの効果があります。
ですから今の愛車に対してワンランク上の快適性を求めたい場合に使うと、その効果をより強く実感します。
これに対して安いエンジンオイルは、劣化のスピードが速いなどのデメリットが見られます。エンジンオイルは車の血液と同じですから、使い続ければ劣化していきます。
エンジンオイルの交換は「オイルの汚れが目立ったタイミングで行う」が一般的ですが、安いオイルを使うと汚れがひどくなるスピードが速くなります。
汚れがひどくなるということは「オイルが劣化している」ということですから、エンジンにかかる負担もその分大きくなります。
とはいえ、オイル交換は車を乗り続ける上で大事なメンテナンスの一つですから、きちんと交換しなければ車にとって重要なエンジンが故障してしまう原因となります。
つまり高性能グレードのオイルと安いオイルの違いは、エンジンの持ちにも深く関係してくるのです。
愛車に最適なエンジンオイルグレードの選び方
愛車のためには最適なエンジンオイルを選ぶことが大事だということはわかったと思いますが、いざ自分でオイルを選ぶとなるとあまりの種類の多さに困ってしまうはずです。
そんな時には、次の3つのポイントから選び出すのがおすすめです。
エンジンオイルの粘度
エンジンオイルの粘度は、数字で表示されます。基本的には数字とアルファベットの組み合わせによって表示されるのですが、先頭にかかれる数字が小さいほど、オイルが柔らかいことを意味します。
特にここで注目しなければいけないのが「低温時での柔らかさ」です。
低温時のオイルが柔らかいということは、「冬の寒さに強い」「燃費が良い」などが挙げられます。そのためファミリーカーに向いていることが分かります。
逆にオイルが硬いということは「暑さに強い」「高速性能に適している」ということなので、モータースポーツ系の車に向いています。
ベースオイルの種類
エンジンオイルの主成分となるオイルのことを「ベースオイル」といいます。ベースオイルは「100%化学合成油」「部分合成油」「鉱物油」の3つに分かれています。
それぞれに特徴があるために、ベースオイルの種類によってオイルを選ぶこともできます。
週末やレジャーなどで車を使う程度の場合は、一般的によく使われていて値段も手ごろな「鉱物油」がおすすめです。これに対して普段から通勤・通学などで頻繁に車を利用している人は「部分合成油」の方がおすすめです。
もしもあなたがカーレースやスピードを重視したいのであれば、劣化しにくくオイルの鮮度が長く続く「100%化学合成油」を選ぶ方が断然おすすめです。
エンジンオイルのグレード
エンジンオイル選びでは、オイルのグレードで判断するというのも一つの方法です。規格の表示方法はそれぞれの規格によって異なりますが、「グレードが高くなるほど高性能になる」という点は共通しています。
まとめ
エンジンオイルは、愛車のメンテナンスには欠かせないアイテムです。定期的な交換が必要になりますが、やはり高性能なオイルを使えばその分効果を実感しやすくなります。
ただし「値段が高ければ良い」というわけでないのがエンジンオイルです。ぜひ今回の記事を参考に、あなたの愛車に合ったエンジンオイルを選ぶようにしてくださいね。