トヨタが最近発売したオイルは世界初の低粘度オイルです。オイルの低粘度化が進む中、スポーツオイルもまた低粘度化へと変わってきました。トヨタが挑み続ける車作りの原点には、歴史の重さと同じだけ常に最先端の技術力があります。

技術力の高いトヨタだからこそできたオイル開発とはどのようなものなのでしょうか。安定の純正オイルの裏側をご紹介していきます。

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トヨタのエンジンオイルとは?

1926年に愛知県刈谷市で創業された豊田自動織機の中に、自動車部として開設されたことに端を発したトヨタ自動車は、1933年に誕生しました。

1955年に誕生したクラウンは、海外部品に頼ることなく誕生した初の国産自動車というプライドと歴史の重みが感じられる一台です。全ての開発はクラウンから始まるといわれているように、さまざまな日本初、そして世界初の技術が搭載されてきました。

そんな歴史の重みを現在に進化させつつ、トヨタは最先端の開発にも取り組んでいます。

1997年に発売された世界初のハイブリッドカー プリウスは、ガソリンと電気モーターを搭載した低燃費性能の高さに現在でもその人気は健在です。2014年にはFCHVであるミライが販売されています。燃料電池技術とハイブリッド技術を駆使し、水素を燃料としました。排出されるのは水だけなので地球環境を守ることができます。

このような新たなる車への取り組みは、まさに時代を先駆ける自動車メーカーということができるでしょう。車の燃料がガソリンから燃料電池へと変わっていく中で、オイルもまた変化を遂げる重要な時期へと差し掛かってきました。

従来よりも低粘度化されたオイルの開発はまさにトヨタから始まっています。以前にはなかった0W-16というSAE粘度を最初に採用したのはトヨタのアクアでした。

トヨタのエンジンオイルの特徴と性能

2020年2月10日にトヨタから発売されたのは、新型ヤリス ハイブリッドから採用される「トヨタ純正オイルGLV-1 10W-8」です。現在のSAE粘度分類「0W-8」に適合するもっとも低粘度のオイルですが、今回世界初の低粘度品質規格「JASO GLV-1」の認定を世界で初めて取得したオイルでもあります。

ハイブリッドは、エンジンの始動を繰り返すことでエンジンにかかる負担が大きくなるため、粘度を下げることで高温になることを防ぐことが可能になります。また燃費性能の向上にもつながり、従来よりも燃費性能を約0.7%向上させることに成功しました。

現在市販している「トヨタ純正モーターオイルSN 0W-16」よりも約25%の低粘度化を図っています。低摩擦被膜を形成する添加剤は粘度特性に優れたものを開発し、高性能な合成油を使用することで添加剤に効果を引き出し、さらなる低摩擦を実現しました。これまでに培った添加剤の技術によって、エンジン内のスラッジを抑え、ロングライフ化を図っています。今後はヤリスだけでなく、対象となる車種を拡大していく予定です。

2018年9月にはサーキットでのハイパフォーマンスを重視した「Circuit (0W-20)ストリート走行を重視したレスポンス良く走りを楽しむことを目的とした「Touring (0W-30)」をトヨタ純正GRモーターオイルとして発売しています。

この製品は、TOYOT GAZOO Racingがドイツニュルブルクリンク24時間耐久レースへの参戦を重ねる中で、レースをベースとした市販車への高レスポンススポーツオイルとしてフィードバックしました。

名前の通り「Circuit (0W-20)」は、サーキット走行でのタイムアップはもちろんのこと、街乗りやワインディングでの違いを体感できるでしょう。また「Touring (0W-30)」では、ストリート走行を重視したハイレスポンスでありながら、しっとりとした回転フィーリングを両立しました。

高性能なベースオイルに高分子添加剤のポリマー、モリブデン化合物を含んだ摩擦低減剤を加えることで、レスポンスのみならず耐久性にも優れたオイルとなっています。

今まで販売していた「トヨタ純正モーターオイル(SN 0W-20)」と比較すると、86 GT SPORTによる前回加速データで、「Circuit (0W-20)」よりも加速タイムが0.24sec向上しました。また「Touring (0W-30)」のエンジン回転が滑らかになり、室内ノイズが約3dB低減したことが確認されています。

今回のオイル開発のためにトヨタは、約200時間に及ぶ高回転連続高負荷運転によるエンジンの耐久試験を行いました。車両の開発のみならず、オイル開発にもトヨタならではのこだわりが感じられるようです。

トヨタのエンジンオイルの評判

トヨタのエンジンオイルを使用している人の評判をまとめてみました。

トヨタ純正GRモーターオイルの評判

  • 2速で加速した時点で違いがわかります。吹け上りが良くなりました。いつも走る道でシフトアップのタイミングが早くなっています。素人でも確実に体感できました。
  • CircuitはTouring以上の鋭い加速を楽しめる。ワインディングなどでは特にレスポンスの良さがわかる。
  • 86の2リッターNAにはお勧めです。体感できるパーツは運転していてとても楽しいですよ。
  • 高性能だが、価格も高価。

トヨタ7純正キャッスルエンジンオイルの評判

  • 走りに特別な変化は見られないが、7,000㎞で交換してもまだまだきれいなオイルだった。
  • アクアには5W-30, 0W-20, 0W-16の3つのオイルが指定されていますが、後者になるほど燃費性能に差が出ます。
  • 安定の純正オイルは入手しやすく、値段も手ごろなところがいい。
  • 交換後の始動性やエンジンの回り方がスムーズ。こんなに違うものかと少し感動。
  • シンセティックの純正オイルでエンジン音が静かになったような気がする。
  • 鉱物油のときよりもさらにシャープにレッドゾーンへ突入していきます。でもエンジンが回ってる感じでトルク感は薄い。

このような声が聞かれました。純正だから安心して使用することができるという人が多くいる一方で、体感して気に入っている人もいるようです。

トヨタと他社のエンジンオイルの違い

トヨタの強みとしては社内にオイル開発の部署があり、ニュルブルクリンク24時間耐久レースで得たデータを基にノウハウを活かしたオイル作りができる環境にあることです。「もっといいクルマをつくるため」60年以上変わらないトヨタの思いがそこにあります。

スポーツカーから離れ、しばらく燃料電池のエコカーにシフトしていたトヨタが、GAZOO Racingブランドのスポーツ仕様車を11台投入したのは記憶に新しいところです。しかし、サーキット走行を視野に入れた車をつくりながら、その走行に合ったオイルを純正で提供できていませんでした。

トヨタは2007年からニュルブルクリンク24時間耐久レースへ参戦を続けてきています。世界最高峰の草レースといわれているニュルブルクリンクの過酷なサーキットを、24時間走行し続けることは極めて難しいことです。

しかし、そこで起こる様々な困難が人を鍛え、車を鍛えるとトヨタは考えています。

サーキットを走行するドライバーが、より快適で楽に走ることができるかが最も重要です。レース参戦で勝利にこだわるならばレーシングカーで戦うものでしょう。しかしトヨタが市販車で参戦するということは、ダイレクトに車作りに繋がっていきます。

2014年にクラス優勝を飾った86は、いかに速く、安心して走ることができる車であるかを証明することができました。速くて運転が楽であれば快適だということが解り、レースを通して車を鍛えることができたといえるでしょう。

さまざまな技術やノウハウを市販車両に引き継ぎ、レーシングカーのDNAが脈々と宿っています。TOYOTA GAZOO Racingはレースをしているのではなく、車作りへの挑戦を行う場所であるといえるのです。

車作りに真摯に取り組むことが、さまざまな性能を生み出し、更なる挑戦を可能にしているのです。もちろんオイル一つにも手を抜かない、それが世界に通用するTOYOTAの原点なのかもしれません。

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トヨタから販売されているオイルを詳しくご紹介していきます。

トヨタ純正GRモーターオイルCircuit 0W-20

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性能

GRの名のもとにスポーツ走行で安心して使用できる低粘度のオイルの開発に挑みました。

86ワンメイクレース、全日本ラリー、ジムカーナに参戦する選手の協力を得てタイム計測とデータ収集を徹底的に行い、ハードな走行にも純正オイルとしてエンジンにダメージが及ばないかを検証しています。

走行会やレースにおいても、最近ではエコカーが使用されエンジン内部のフリクションを徹底的に下げることでパワーを出すオイルが使用され始めました。GRモーターオイル Circuitでは、それに準じて0W-20のSAE粘度とし、摩擦低減技術を投入しています。

ワインディングからサーキットまでカバーするNAエンジンオイルに仕上がりました。

トヨタ純正GRモーターオイルTouring 0W-30

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性能

GRモーターオイルCircuitをよりストリート走行向けに軸足を置いたものです。0W-30でありながらハイレスポンスも両立しています。「Circuit」と同様に最新ポリマー技術で超高粘度指数化に成功することで低温から高温までハイレスポンスを実現しました。

つまりオイルの低温になるほど硬くなり、高温になるほど粘度低下が起こるという性質を、GRモーターオイルはオイルの温度が変化しても粘度が変わりにくくなるという性能に変えているということができるでしょう。

常温でも流動性が高く、高温時でも油膜を維持することを可能にしています。レスポンスと滑らかな回転フィールを両立したものがTouringなのです。

トヨタ純正GRモーターオイルTouring 5W-40

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性能

GRモーターオイルのコンセプトである「低フリクション、スーパーハイレスポンス」はそのままに、より幅広い車種や用途に適合する5W-40が新たに加わりました。SAE粘度5W-40の市販オイルの中でも、トップレベルの粘度指数289を達成しています。

低温から高温までアクセルの踏み込みに連動した吹け上りを体感できると共に、エンジンの保護性能も行う優れものです。高性能全合成油であるシンセティックにエステルを加え、保護性能の向上と更なるロングライフを実現しています。

トヨタ・キャッスルエンジンオイルSN/CF 10W-30

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性能

国際オイル規格のAPI SNと、日米自動車工業会が共同で独自に作ったオイル規格であるILSACの最高規格をあらわす「GF-5」を取得したオイルです。ガソリン車にもディーゼル車にも使用することができます。マルチバルブDOHCなど、高性能エンジンへ使用することができます。

高温時にもオイル循環性能を発揮することができ、高速運転時には安定した走りをみせる鉱物油ベースのオイルです。

トヨタ純正キャッスルエンジンオイル 0W-16

性能

合成油を100%使用したベースオイルを使用し、約50%の低粘度化を図ったり、摩擦低減効果のある添加剤を使用したりして、摩擦係数を3分の1に低減させています。常温流動性能が向上したことでエンジンパーツの動きがスムーズになり、ストップ&ゴーを繰り返すハイブリッド車、アイドリングストップ車に最適です。

トヨタ純正キャッスルエンジンオイル 0W-20

性能

合成油に変更になったことで2014年以降のガソリンターボエンジンにも対応しています。低粘度オイルの弱点でもある金属の摩耗についてはトヨタ独自の耐摩耗添加剤の配合で、優れた耐摩耗性を維持することを可能にしました。

走りも燃費性能も手に入れることができるオイルとなっています。

トヨタ純正キャッスルエンジンオイル 5W-20

価格

性能

5W-20の粘度グレードが要求されるエンジンに最適なオイルです。省燃費性能はオイル交換直後だけではなく、持続性に優れているためロングライフを実現しました。品質の高い鉱物油をベースオイルとし、高い保護性能を発揮します。

まとめ

世界的自動車メーカーであるトヨタの車作りはニュルブルクリンク24時間耐久レースに参戦することから開発が進められています。自動車業界が新たなる局面を迎えている今、長い歴史の中で培われたノウハウを基に、オイルもまた更なる真価が求められているといえるでしょう。

GAZOO Racingで低粘度のハイレスポンススポーツオイルの開発が進められる中、今後どのように進化を遂げていくのか、期待が高まります。

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