交通事故やあおり運転などの犯罪の証拠として採用される可能性が高いドライブレコーダーを購入する人が増えてきています。ただし、注意しなくてはならないのがドライブレコーダーの位置によって違法となる場合もあるということです。さらに、いざ走行してみると取り付け位置が悪く証拠映像が映っていない、もしくは残っていないということも考えられます。
特に、自分で取り付けをする場合には「そんなこと知らなかった…」とトラブルが起きた後に後悔しないように気をつけましょう。もしカー用品店などで取り付けてもらう場合でも、ボタン操作がしづらい、映像が見づらいなどの不都合が生じるないように確認することが大切です。
そこで今回は、ドライブレコーダーの最適な取り付け位置を詳しくご紹介していきますので、安全なカーライフのためにも必ずチェックしておきましょう。
ドライブレコーダーの取り付け位置は法律(保安基準)で定められている
ほとんどのドライブレコーダーは車のフロントガラスに取り付けられています。しかし、ドライブレコーダーに限らず、フロントガラスへの装備品などの取り付けにはルールが決められています。基本的に、フロントガラスには余計ないものをつけてはいけないということになっています。なぜなら、ドライバーの視界を遮ってしまったり、安全面に支障が出ないようにするためです。
ただし、以下のように例外的にフロントガラスへの取り付けが認められています。
前面ガラスの上縁であって作用中心線と平行な鉛直面上のガラス開口部の実長の20%以内の範囲に貼り付ける場合にはこの限りではない
引用:道路運送車両の保安基準の細目を定める告示<第3節>第195条(窓ガラス)イ
つまり、フロントガラスの上縁付近であればドライブレコーダーを取り付けることができるということです。
例えばスズキ「ソリオ」にドライブレコーダーを取り付ける場合、フロントガラスの縦の長さは70㎝になります。開口部の実長20%以内ということは上部から14㎝以内に取り付ければ良いということになります。
また、フロントガラスに貼られている検査標章(車検シール)にも重ならないよう注意してください。
フロントガラスの取り付け位置
では、より具体的なおすすめの取り付け位置をお伝えします。それは、助手席側のバックミラー後ろの位置です。ここに設置している車を見かけることが多いのは、法令に則っているからだと理解することができるのではないでしょうか。
ただし、ドライブレコーダーの種類によってはバックミラーが邪魔になり、緊急時に録画ボタンを操作することができない可能性もあるため、購入時にはボタンの位置を確認しておくと良いでしょう。
もう一つ注意すべき点は、ワイパーが雨を拭き取れる位置に設置することです。雨天時には雨滴が視界を遮るためにワイパーを作動させます。ワイパーでウィンドウを拭き取らない位置にドライブレコーダーを設置すると、録画される映像には雨滴が付いたままで正確な録画ができなくなる可能性があります。万が一の証拠として使えないようなことがないように注意しましょう。
注意点
メーカーや車種によって異なりますが、ルームミラーには夜間に後続車両のヘッドライトが眩しいことを防ぐための「防眩ミラー」や降雨時にワイパーを調整する「雨滴感知」、スバルの「アイサイト」にはステレオカメラなどのセンサーが取り付けられていることがあります。
ドライブレコーダーの取り付け位置によっては、これらのセンサーを遮ってしまう可能性があるため注意が必要です。自分の車のルームミラーをよく確認して、もしセンサーがついているようなら、センサーに重ならない位置で取り付けるようにしてください。
もしも取り付け位置に迷ったら、下の写真のように便利な取り付けマウントもありますので、こうしたものを利用して愛車に最適な場所に設置するようにしましょう。
そのほかにも、真夏の車内は70℃以上の高温になるとも言われています。こうした熱が原因でドライブレコーダーやSDカードに不具合が生じることがあり、万が一の時に映像が残っていない、記録できていないというトラブルの可能性があります。そのため、サンシェードなどで対策をする必要があるのですが、詳しくは「ドライブレコーダーを守る6つの熱対策」で紹介されていますので、こちらも合わせてチェックしておきましょう。
リアカメラの取り付け位置
次に、リアカメラの取り付け位置についてご紹介します。前後撮影タイプでフロントカメラとリアカメラが独立している場合や、追加でリアカメラを設置する場合にチェックしておきましょう。
まず、リアカメラの取り付け位置に関しては、フロントウィンドウのように保安基準が定められていません。そのため、基本的にはどこに設置しても問題はありませんが、後方からの接触や衝突の状況を正確にとらえるために、死角の少ない中央部へ設置するのがいいでしょう。
ただし、次のような注意点もありますので確認しておきましょう。
注意点
リアワイパーのある車は、ワイパーの拭き取り範囲に設置する
雨天の走行中に雨粒などが付いていると映像が見にくくなるので、リアワイパーが届く範囲に取り付けるようにしましょう。
電熱線の上に両面テープを貼らないようにする
リアガラスには電熱線が貼られているものがありますが、その上にドライブレコーダー取り付け用の両面テープを貼らないようにしましょう。熱によってカメラが損傷する可能性があることや落下することが考えられます。また両面テープをはがす際に熱線を傷つけてしまう恐れもあるため注意が必要です。
リアガラスにフィルムが貼ってある場合
リアガラスにフィルムが貼ってある場合には、フィルムの色によっては正確な録画をすることが難しくなります。雨や夜間など、録画されたデータが見にくければ証拠として採用される可能性も低くなるかもしれません。カメラの部分だけフィルムを切り取ってから取り付ける方が良いでしょう。
ダッシュボード上に取り付ける位置
多くのメーカーはフロントガラスへの設置を推奨しています。その理由としては、より高い位置から撮影するほうが広角に撮影することができるからです。ただし、何らかの理由でフロントガラスへ設置できない場合もあると思います。そんな時はダッシュボード上への設置を考えてみましょう。下の写真のように、予めダッシュボードの上に設置することを考えて設計されているものもあります。
取り付ける際は、カメラの映像にボンネットが映り込まないように取り付けてください。ボンネットが映りこむような取り付け位置では下方の映像が取れていないことになり、事故を起こした時に状況を把握することができない可能性が高くなります。
注意点
また、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第21条<第3節>には運転席から見える運転者の視野について基準が設けられています。つまり、ドライブレコーダーをダッシュボードに設置したことで、ドライバーの視界を遮ってはならないということです。
具体的には、車両の前方2mの位置にある直径30㎝、高さ1mの柱が直接見えることを義務付けています。これを遮るように設置することは法律で禁じられていますので注意しなくてはなりません。
そのほかには、エアバッグの動作に影響を及ぼさないようにすることや、万が一外れた時にドライバーの足元に落下しないように設置することを念頭においてください。
ドライブレコーダーを取り付ける時は落下防止対策も大切
ドライブレコーダー本体を設置する際には、吸盤や両面テープが使われますが、落下しないように注意して取り付ける必要があります。
吸盤の場合は、吸盤自体に汚れや傷で変形したものがあったり、ガラス面に埃や汚れがあったりすると真空状態を保つことができません。吸着力を低下させないようにするには、吸盤もガラスも汚れを拭き取っておくことが大切です。
また、別売にはなりますがジェル状の吸盤シートやより強力な両面テープ、シリコンで圧着するものなどさまざまなタイプのものがあるので、試してみるのも良いかもしれません。
車検に落ちないようにドライブレコーダーの取り付け位置には注意しよう!
ドライブレコーダーの取り付け位置は、「道路運送車両の保安基準」の法律で決められているフロントガラスの上部20%以内に設置していれば車検に通ることはできます。おすすめの取り付け場所は、助手席側のバックミラー後ろの位置です。ただし、フロントガラスに貼られている検査標章(車検シール)に重ならないよう注意してください。
あおり運転による犯罪の影響で、近年増々ドライブレコーダーを取り付ける人が増えてきています。事故を起こした際の証拠や犯罪の証拠として適用される可能性も高く、何より抑止力効果も期待されています。
正しく利用して、安心・安全なカーライフを過ごしていきましょう。