ホイールが古くなった。または走行距離が伸びて、ホイールのリムにクラックが入っていないか心配になった。

こんな心配事をお持ちのあなたは、かなりの車好きか足回り上級者であると考えられます。

しかし、「そもそもクラックって一体何?」という方が多いと思います。

そこでこの記事では、クラックとはいったい何なのかの説明とクラックを防ぐ賢い方法、そしてクラックの修理法やその値段について、お話しさせていただきます。

ぜひ参考にしていただき、あなたのカーライフ(特に足回り系)を充実したものにして下さい。

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1. ホイールのクラックとは

ホイールは長く使っていたり、運転が荒かったりすると、確実に「クラック」と言われるひびが入ります。アルミホイール修理でダントツに多いのが、クラック(ひび割れ)の修理です。

自動車を大切にしている人がホイールのクラックを見ると、結構なショックを受けてしまいがちです。

しかし、縁石に乗り上げたり、荒々しい運転をしたわけでもないのに、普通に走ってもホイールにクラック(ひび)は入ります。私達のような、自動車関係のお仕事をしていると、日常茶飯事と言って良いでしょう。

特に、18インチ以上のホイールで、ある程度の扁平率を超えると、約50%の割合で、ホイールの4本中1本はクラックが入っている、そう断言してもよいほど、最も多い頻度の修理となります。

ランドクルーザーのようなSUVや、GT-Rのような大口径のホイールを持ち、なおかつ重くスピードの速いクルマは、ホイールに掛かる負担も大きいですので要注意です。

2. ホイールのクラックを修理する工程

ここからは、ホイールのクラックを修理する作業の工程について、その詳細をお話しします。一般的に言うと、ホイールのクラックは、

  1. クラックの隙間を溶接で埋める
  2. はみ出した箇所を研磨して仕上げる

という2ステップの工程を経由して行われます。

それほど熟練の技が必要でもないのですが、溶接や研磨には、専門の工具や設備が必要になりますので、一般の方にはクラック修理はちょっと難しいのではと思います。

親切な業者になると、クラック修理のついでにホイールバランスの補正まで行ってくれます。ここまでやると“完璧な作業”と言って良いでしょう。

しかし・・・事はそう簡単には運んでくれません。

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3. クラック修理、最大の問題点とは?

クラック修理の箇所はホイールの裏側、しかもリムの内側が中心となります。これは極めて目に見え付きにくい箇所です。

一般の方は見ようとしても、愛車をジャッキアップして、クルマの下に懐中電灯を持って入らなければ見えないという超分かりにくい箇所です。

実は、この見えにくいことと、一般人がクラック修理の内情をよく知らないことにつけ込んで、手浮き作業を行う業者がいます。手抜き工事を行うリフォーム業界と同じです。

具体的に申しますと、このような悪徳業者は、クラックの箇所に溶接をてんこ盛りしたら、研磨も行わずにそのままホイールを取り付けます。

これでは、ホイールバランスもメチャクチャになり、足回りにも負担が掛かりますし、クラックが再発する可能性も高くなります。

3-1. クラックがひどくなるケースとは

クラックも一筋だけヒビが入ってくれればよいのですが、ひどい時にはクラックが枝分かれするケースがあります。

こうなると、溶接だけで補強することはできません。気泡が発生し、クラック修理をしても、強度を維持することができなくなります。

解決策は、クラックが枝分かれしている幅でホイールを切り取り、抜き取った部分を溶接で少しずつ形を成形していくという複雑な工程が必要になります。もちろん、最後には研磨で仕上げますので、全く見分けが付かなくなります。

4. ホイールのクラック修理、そのお値段の相場とは?

残念ながら、このクラック修理は、一般の方がDIYでできる作業ではありません。専門家や業者に任せる必要があります。

そのお値段の相場は、1本約15,000円です!結構なお金が掛かります。しっかり合い見積もりを取って値引き交渉を行い、研磨で仕上げてホイールバランス(アライメント)を補正するところまで約束した上で、修理作業をお願いする必要があります。

5. こんな業者にクラック修理を依頼してはいけない!

前の項目でもお話ししましたが、手抜き作業を平気で行うホイール業者には、絶対に作業を依頼してはいけません。

私のガレージにも「昔、ホイールの修理でひどい目に遭わされたのでここに来た」という方が結構見えています。

しかし、手抜きをする業者をどうやって見分けるか、その方法が分からないというのが、悩ましいところです。

まずは、ショップの人としっかりと話し合ことが肝要となります。乱暴な話し方や、上から目線でお客に対応するようなショップには絶対に頼まない方がよいです。

研磨まで済んだホイールの写真を見せ、「このようにクラックの修理を行って欲しいのですが、研磨とホイールバランスまでやってもらえますか?また、お見積もりを出してもらえますか?」と聞くと良いでしょう。

また、作業が全て終わった後には、ホイールを実際に見せてもらえるという所まで交渉できるとさらに良いです。遠慮など必要ありません。修理した現物を実際に見て、何が悪いのでしょう。

大切なのは、こちらは全てお見通しだというスタンス、お店は他にも沢山あるんだというスタンスを貫き通すことです。へりくだる必要も媚びを売る必要もありません。お客はこちらです。「イヤなら他を当たるよ」という強気の姿勢で行きましょう。

6. 究極の選択、クラック修理かリム交換か?

クラックの修理ですが、枝分かれが何本もあって、損傷がひどい状態の時には、思い切って「リム交換」をされることをオススメします。

クラックが入るのは、ホイールの外周、つまりはリムの部分です。損傷が激しい場合には、リムごと取り替えてしまうというのが「リム交換」です。

コロンブスの卵で、「新品に取り替える」という選択肢も時にはよいと思います。最近では、海外から社外リムなどを取り寄せることも比較的スムーズにできるようになってきました。

ホイール1本に対して、クラックが複数個所ある場合には、長期的に考えると最初からリム交換した方が間違いありません。

6-1. 割れるホイールはまた割れる

インナーリムのクラック修理は、修理というより「定期メンテナンス」と言った方が妥当かもしれません。

アルミホイールは、そのうち必ずクラックが入ります。原因は様々ありますが、特に最近のホイールの大口径化や超扁平タイヤなどが主な原因です。私のガレージにも、毎日クラック修理のホイールが入ってきます。

クラックを修理してきた者の見解として、一度割れたホイールは、修理後も再度割れる可能性がありますので、定期的なメンテナンスが必要になります。

修理してもまたすぐに別な箇所にクラックが入るホイールもあれば、ずっと割れずにいるものもあります。割れないホイールは割れません。1回でも割れたということは、割れるホイールだということです。

こうなると、「クラック修理」か「リム交換」か、迷うところです。

7. まとめ

ホイールの修理、時にクラックの修理は、ホイールの口径が大きい車は要注意ですので、信頼できるホイールの修理業者を見付けることがポイントになります。

前述した、クラック修理かリム交換かの見解を示してくれるのも、信頼できる業者ならではです。

ホイールは、あなたの愛車を支えてくれる大切な可動部分です。ぜひ大切にして、長く乗っていただけたらと思います。

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