実は、車のタイヤがパンクしていてもすぐに気づかず走行していることがあります。例えば、釘が刺さってゆっくり空気が抜けているような場合です。しかし、そのような場合でも危険を伴うためすぐに対処しなくてはなりません。もちろん、高速道路上でのパンクの場合はなおさらです。パンクしたときに誤った判断をしてしまうと二次災害を起こしてしまったり車を壊してしまうこともあります。

そのような事にならないよう、パンクしてしまった時の対処法を解説していきますので、安全に注意を払い作業を進めてください。

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タイヤのパンクに気付いた時の初期対応

タイヤのパンクに気付いた時は、まず始めにハザードを点滅させ徐行し安全な場所まで移動させます。この時、いきなり減速してしまうと車のバランスが崩れてしまい危険ですので、少しずつ速度を落とすようにしましょう。

また、道路の路肩は他の車が走っていて危険ですので、基本的には駐車場や広場に止めるようにしましょう

釘などが刺さった場合(スローパンク)

釘などが刺さってしまった場合は、徐々に空気が抜けていく「スローパンク」という状態になる事があります。空気が余り抜けていないようなら、刺さってしまった異物を抜かずに近くのディーラーやガソリンスタンドまで走らせてしまいましょう

近くにディーラーなどが無い場合は、途中で空気が抜けきってしまう可能性もあるのでスペアタイヤに交換しておくと安心です。

また、刺さっている釘などが抜けてしまったり、穴が大きくなってしまい空気が一気に抜けてしまう可能性もあるため、異物が刺さっている状態ではあまり速度を出さないようにしてください。

高速道路でタイヤがバーストした場合

高速道路上でタイヤがバーストしてしまった場合は、まず始めにハザードを点滅させ徐々に速度を落としていきます。速度を落としながら安全を確認し、左車線に移り徐行しながら非常駐車場まで車を移動させます。高速道路上では非常駐車場が約500m毎にありますので焦らずに走らせるようにしましょう。

非常駐車場に停車したら、左側のドアから車を降りガードレールの外に出て、発炎筒を炊きます。その後、車の数十メートル後方に三角表示板を置きます。この時も決して車道は歩かず、ガードレールの外を歩くようにしましょう。

三角表示板を置きましたら、携帯か非常電話で道路緊急ダイヤル「#9910」に通報し、状況を伝えるようにしてください。道路緊急ダイヤルに通報しておく事で情報版に故障車がいる事を表示してくれる他、場合によっては車線規制やレッカーなどの手配もしてもらえますので、必ず通報するようにしてください。

また、自分でパンクの対処が出来る場合でも、高速道路上では絶対に対処しないでください。レッカーなどを呼び、サービスエリアやパーキングエリア、もしくは高速道路の出口まで車を運んでもらってから対処するようにしましょう。

レッカーを待つ時も、決して車の中や車道に出るなどはせずにガードレールの外で待機するようにしましょう。この時も車の横や前方で待機してしまうと、別の車が追突してしまった際などに巻き込まれる可能性がある為、必ず車の後方で待機するようにしてください。

JAFやロードサービスへ連絡が必要な場合

高速道路上でパンクしてしまった場合はJAFやロードサービスを利用することもできます。高速道路上でスペアタイヤへの交換などをしてしまうと、走行している車にはねられてしまう事もあります。このような理由からJAF等に連絡しサービスエリアやパーキングエリア、高速道路の出口まで車を運んでもらってから対処しましょう。

その他にもスペアタイヤが無い車の場合、タイヤが裂ける様にパンクしてしまうとパンク修理剤が使用できないため、JAF等に連絡し整備工場まで車を運んでもらう必要があります。

車のタイヤがパンクしたままの走行は危険

タイヤと言うのは空気が入った状態を想定して設計されているので、パンクしてしまったタイヤでは本来のグリップ性能などが発揮出来ません。この様な状態で走行を続けると事故や二次災害に繋がる可能性があり、大変危険です。

車が安全に操作できなくなる

タイヤにはグリップ力というものがありますが、パンクしてしまうとそのグリップ力が0になってしまうと言っても過言ではありません。

また、車は4輪全てのタイヤに適切な空気が入っていることで重心が安定していますが、タイヤがパンクしてしまうとその重心も崩れてしまうため不安定となってしまいます。このような状態で通常の走行をしてしまうと、簡単にスピンなどをしてしまうので大変危険です。

このような理由からタイヤがパンクしてしまうと安全に車を走行させる事が出来ませんので、タイヤがパンクしてしまった際には車は走らせないようにしましょう。

また、パンク直後の移動などは必ず徐行で移動するようにしてください。

タイヤの修理ができなくなる

タイヤは「パンクしてしまったら交換するしかない」と思われるかもしれませんがそんな事はありません。タイヤが裂けてしまっているような場合は修理も出来ませんが、釘が刺さってしまった程度でしたら修理する事が出来るのです。

しかし、パンクしたまま走行し続けてしまうとタイヤのサイドウォール(タイヤの横の部分)やビート(タイヤとホイールの接触面)などが傷ついてしまい、修理が出来なくなってしまう可能性があります。パンク直後に徐行で移動させる程度でしたら問題ありませんが、徐行せずに走らせたり長い距離を走らせてしまったりすると、あっという間にサイドウォールなどが損傷してしまい、パンク修理が出来なくなってしまいます。

走行距離が長くなれば長くなるほどタイヤへのダメージは大きくなってしまうため、タイヤがパンクしてしまった場合は、安全な場所への移動以外では極力走らせないようにしましょう。

ホイールにもダメージや変形が出る

タイヤがパンクしたまま走行すると、最終的にはホイールが割れてしまったり変形してしまう可能性があります。ホイールが傷ついてしまう程度なら使用に問題はありませんが、ひび割れや変形までしてしまうと使用できなくなってしまいます。

こちらもタイヤと同じく、パンク後の走行距離が長くなれば長くなるほどホイールへのダメージも大きくなりますのでパンクしてしまった場合は極力走らせないようにしましょう。

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パンクしたタイヤをスペアタイヤに交換する方法

一般的に車にはタイヤがパンクしてしまった時のために、スペアタイヤが車載されています。スペアタイヤに交換する方法は、まず始めに車載のパンダグラフジャッキで車体を持ち上げタイヤを浮かします。タイヤを浮かしましたらパンクしたタイヤをスペアタイヤに入れ替え、ホイールナットを仮締めします。その後、車を地面に下ろしホイールナットを増し締めして作業終了です。

タイヤ交換を一度もしたことがないという方は、「タイヤ交換を自分でやるための安全な方法」こちらで詳細を確認しながら作業を進めましょう。

また、スペアタイヤに交換する際の注意点は3つあります。

1つ目はジャッキを使用する場所です。車載のパンダグラフジャッキはあまり車体を安定させる事ができません。ですので、傾斜のある場所や土の上などで車体を持ち上げるとバランスが崩れ、車がジャッキから外れてしまう可能性もあります。このような理由から、スペアタイヤへの交換は平らな固い場所で作業するようにしてください。

2つ目はホイールナットの取り付け向きです。ホイールナットには向きがあります。一般的に平らな面が外側で、斜めや球面になっている方がホイールと接する面となっています。これを間違えてしまうとホイールが適切に固定されず、走行中にホイールが外れてしまうこともありますので注意しましょう。

3つ目は、スペアタイヤを駆動輪に使用しない事です。スペアタイヤは純正のタイヤと外径差があることが多いので、駆動輪に使用してしまうと左右で回転差が生じてしまい駆動系に負担を掛けてしまいます。このような理由からスペアタイヤを使用する際は駆動輪以外に使用するようにしましょう。

パンク応急修理キットの使い方(スペアタイヤなしの場合)

スペアタイヤが車載されておらず、パンク応急修理キットが車載されている場合もあります。

今まで一度も使用したことがない、もしくは使用方法が全くわからないという方は、「車のタイヤがパンク【応急修理キットの使い方】」こちらから確認してください。

パンク応急修理キットの使用方法は、始めにパンク修理剤をタイヤのバルブに装着し反対側のホースはコンプレッサーに接続します。コンプレッサー側にパンク修理剤を装着するタイプの場合はコンプレッサーに装着し、コンプレッサーのホース先端をタイヤのバルブに取り付けます。

その後、車のエンジンをかけシガーソケットにコンプレッサーの電源コードを差し込み、コンプレッサーの電源を入れ指定空気圧まで空気が入っていくのを待ちます。この段階で指定空気圧まで空気が入っていかない場合は、応急修理が出来ないということですのでレッカーを呼びディーラーなどに車を運んでもらいましょう。

無事に指定空気圧まで空気が入りましたら、時速80km以下で5kmほど走行した後に再び空気圧を確認し、空気が抜けていないようでしたら応急修理は終了です。

応急修理をした場合は、時速80km以下で走行するようにしてください。また、応急修理キットを使用した場合は長距離の走行はせず、早めにタイヤ修理、交換をするようにしてください。

タイヤのパンク修理の方法

パンク修理方法は一般的に2種類あります。

1つ目は「外面補修」と言う、タイヤの外側からタイヤのパンク箇所に補修剤を詰め込む方法です。この方法は多くのお店で行っている方法で、修理時間も工賃も安く済ませる事が出来ます。

ただし、稀に空気が抜けてしまう場合や、パンク部分の穴の大きさなどによっては対応できない場合もあるため注意が必要です。

2つ目は「内面補修」と言う、一度タイヤをホイールから外し内側からパッチを貼り付けて穴を塞ぐ方法です。外面補修と違い、タイヤを取り外す必要があるので工賃が高くなってしまうなどのデメリットもありますが、外面補修よりも大きな穴に対応でき、内側からパッチを貼るので再び修理箇所から空気が漏れてしまう事もありません。

どちらの修理方法もメリットとデメリットがあるので、パンク部分の状況とタイヤの残溝の量などで修理方法を決めるのがおすすめです。例えば、「タイヤを変えたばかりでまだまだ使用する」と言う場合は内面補修、「もうそろそろ交換しようと思っていた」と言う場合は外面補修と言う具合です。

また、パンク応急修理キットを使用した場合、基本的にはパンク修理は出来ません。しかし、車種や修理剤によっては修理できる場合もありますので、事前に修理店に確認しておきましょう。

ガソリンスタンド・カー用品店・ディーラーなどで修理

パンク修理はガソリンスタンドやカー用品店、ディーラーなどで行えますので、パンクした場合は近くの店舗を探しましょう。ただし、内面補修をする場合、タイヤサイズによってはガソリンスタンドでは対応できない事もありますので事前に確認しておきましょう。

タイヤのパンク修理料金

パンク修理の料金は外面補修の場合は2,500円程度、内面補修の場合は3,500円程度が相場となっています。パンク修理をお店に頼む場合はこの金額を参考にお店を探しましょう。

詳しい情報は、「車のタイヤパンク修理料金の比較一覧」こちらで確認することができます。

自分でタイヤのパンク修理をする

釘が刺さった程度の小さな穴の場合は、自分でパンク修理をする方法もあります。使用する工具はタイヤに刺さった異物を取り除くための「ペンチ」とホームセンターなどで売っている「パンク修理キット」になります。パンク修理キットはパンク応急修理キットとは別のものですので、購入する際は間違わないよう注意してください。

使用方法はタイヤの異物を取り除き、パンクの原因となった穴を整え、その整えた穴に補修材を差し込むと言う流れになります。修理キットの値段は1,500円前後です。作業自体もそれほど難しくは無いため、安くパンク修理をしたい方にはおすすめです。

具体的な方法については、「初めてでもできる!車のパンク修理を自分でやる方法」こちらでチェックしましょう。

車のタイヤのパンクに関するQ&A

以上がパンクしてしまった際の対処方法、パンク修理の方法となります。しかし、タイヤのパンクについてまだまだ気になる事がある方も多いかと思います。

そこで、良くある質問を以下にまとめましたので、タイヤのパンクについて気になる事がある方は参考にしてください。

Q.タイヤがパンクする原因は何ですか?

タイヤがパンクしてしまう原因は主に「空気圧が低い」「タイヤの劣化(ビビ割れなど)」「ガラス片や釘などの異物が刺さってしまう」「縁石などにタイヤを当ててしまう」の4つがあります。

タイヤのパンクで意外に多いのは、空気圧の低下やヒビ割れによるものです。これらは日常の点検で未然に防げますので、月に1回程度は空気圧とタイヤの確認をするようにしましょう。

Q.パンクしたタイヤを1本だけ交換することはできますか?

パンクしたタイヤ1本のみを交換する事も可能です。しかし、他のタイヤの溝が少ない状態で1本のみを新品にすると、他のタイヤと外径差が大きくなり駆動系が壊れる原因となってしまいます。そのような場合は前輪、若しくは後輪2本を新品にすると言う方法もあります。

4WD車の場合は前後のタイヤ外径差が違っても駆動系に負担が掛かりますので、タイヤの磨耗が進んでいるようでしたら全てのタイヤを交換してしまうのが良いです。

Q.車のタイヤがパンクした場合は車両保険が使えますか?

基本的にタイヤのパンクで車両保険を使用する事は出来ません。車両保険は事故の場合でしか使用できないためです。

しかし、逆に言えば事故の際にパンクしてしまった場合には車両保険を使用する事も出来ます。例えば「縁石に車をぶつけてしまい、その際にパンクしてしまった。」と言う場合は使用する事が出来ます。

Q.タイヤのパンク保証サービスって何ですか?

タイヤのパンク保障サービスと言うのは、ディーラーやカー用品店などで行っているサービスです。内容は主に、パンクしたときにタイヤの金額を保証してもらえたり、タイヤを新品に交換してもらえるという内容になっています。

基本的にはタイヤ購入時に保険として料金を支払うような形になっています。料金もそれほど高く無いため、利用しておくとパンクの際に余計な出費が掛からないためおすすめのサービスです。

Q.パンクしても走れるタイヤって何ですか?

一般的な車両にはあまり使用されていませんが、パンクしても走行可能な「ランフラットタイヤ」というタイヤがあります。このタイヤはパンクした後でも約100km程度走行できるタイヤです。国産の高級車や、BMW、メルセデスベンツなどの車では標準タイヤとなっている事が多いです。

ランフラットタイヤを使用すれば突然のパンクでも、バランスを崩して事故を起こしてしまう事や、パンク時の対処などの必要が無いなどメリットは多いですが、タイヤ本体や取り付け工賃が一般的なタイヤと比べ高くなってしまうのがデメリットです。

Q.スタッドレスタイヤでもパンク修理はできますか?

スタッドレスタイヤでもパンク修理は出来ます。ただし、パンクの状況によっては外面補修では対応できず、内面補修や焼付け補修と言う修理方法になる事もありますので、自分で修理はせず修理店舗に持ち込み判断してもらうのが良いでしょう。

また、冬シーズン中はカー用品店などがタイヤ交換作業で一番忙しい時期ですので、修理を頼む店舗に事前に作業出来るかを確認しておきましょう。

タイヤのパンク緊急マニュアルまとめ

以上がタイヤのパンク時の対処方法やパンク修理方法となります。

タイヤがパンクしてしまった時に一番重要なことは慌てずに対処する事です。慌てて行動してしまうと、事故や二次災害を引き起こしてしまう事もありますし、交通量の多い道路や高速道路上では大怪我や命の危険もあります。

正しい対処をする事で、事故の危険や後々の費用が高くなってしまう可能性も少なくなりますので、周りやパンクしてしまったタイヤの状況をしっかりと確認し、落ち着いて対処するようにしましょう。

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