自動車を運転する人は、運転する車両を定期的にメンテナンスや点検する事が法律で義務付けられています。もし、整備不良が原因による事故を起こしてしまった場合は、法律で罰せられてしまいます。
タイヤは自動車のパーツの中でも、運転手や同乗者の“命”を乗せている重要なパーツです。また、タイヤの整備不良は周囲を巻き込む大事故に繋がり兼ねないパーツでもあります。
このページでは、安全を守ってくれる重要なパーツであるタイヤについて、自分でも出来るメンテナンス・日常点検の方法をご紹介します。
タイヤのメンテナンス方法
タイヤに使われているゴムは経年劣化の影響を受けやすく、日頃のメンテナンス次第でタイヤのコンディションに大きな違いがでます。
タイヤのメンテナンス方法とは、空気圧を適正値に保ったり、綺麗に洗浄した後で保護剤を塗布する方法などが挙げられます。
ガソリンスタンドやカー用品店ではエアゲージを無料で貸出していますが、空気圧のチェックだけであれば、数百円で購入出来るエアゲージでも手軽に測定する事が出来ます。
タイヤの洗浄・洗車
タイヤの洗浄にはタイヤブラシやタワシなど、ボディとは別にタイヤ専用のブラシを用意して洗浄します(ボディと同じものを使用するとボディに傷がついてしまいます)。
車のボディを洗う洗剤で、ついついそのままタイヤも洗ってしまいたくなりますよね。しかし、カーシャンプーにはタイヤの劣化を早めてしまう石油系やアルカリ性のものが多く、タイヤの洗浄には好ましくありません。
汚れが酷い場合にやむを得ず洗剤を使う場合は、中性洗剤を使って洗浄してから水で綺麗に洗剤を落としてあげましょう。
タイヤワックス
タイヤワックスには様々な商品がありますが、大きく分けると水性ワックスと油性ワックスの二種類に大別されます。
油性ワックスはツヤツヤになるので塗布した後の見栄えが良く、水に強いので効果が長持ちするというメリットがあります。デメリットとしては、タイヤの劣化を早めてしまう可能性があることです。
一方、水性ワックスはツヤが出にくく、水に弱いので効果が短いというデメリットがあります。しかし、タイヤの材質を保護するには適しているので、タイヤが本来持っているナチュラルな艶を長持ちさせる事が出来ます。
タイヤの日常点検の方法
続いてはタイヤの日常点検の方法や、チェックすべきポイントについてご紹介します。タイヤのメンテナンス方法を実践するだけではなく、日頃から点検してタイヤトラブルを未然に防ぐ事も大切です。
特に、空気圧が適正値でなければタイヤを傷めたり、燃費が悪くなる原因になるだけではなく、ハンドルを取られてしまうのでとても危険です。また、パンクやバーストの原因にも成り得るので、空気圧は適正値に保つ事が必要です。
①空気圧
空気圧は車種ごとに適正値が設定されていて、一般的に運転席のドアを開けたら見えるドア側やBピラー(車のフレーム)側にステッカーが貼られています。規定の数字と単位で〇〇kPa(キロパスカル)で記載されているので、その数値にタイヤの空気圧が一致しているかを点検します。
長時間運転した後ではタイヤの温度が上昇して、圧力が高くなってしまうので、必ず乗車前やタイヤ冷えている時に測定します。少なくともひと月に一度を目安に測定しましょう。
②偏摩耗
タイヤの走行距離による寿命は3万km前後と言われています。
しかし、荷物を積んで車体が下がった状態で走行していた場合や、運転する人の癖などでも偏摩耗を引き起こしてしまう事があります。また、単にアライメントが狂っている事が原因で偏摩耗してしまう事もあります。
点検方法は溝の深さを測るタイヤゲージを使って、両端・真ん中の溝を測って極端な偏摩耗が無いかを点検します。
③ひび割れ・釘・亀裂・傷
外観をチェックして異常が無いかを、目視によって点検する事も重要です。
タイヤの点検はタイヤゲージやエアゲージのように、数値として点検する事も重要ですが、数値として表れない部分は、目視でなければチェック出来ません。
経年劣化で固くなったゴムはひび割れを起こしてしまいます。段差や障害物にぶつかって強い衝撃を与える事で亀裂が走ってしまう事もあります。また、落ちている釘を知らず知らずの間に踏んでしまっている可能性もあります。
このような傷はドライバーの目によって発見して、必要に応じて整備工場などで交換してもらう必要があります。
④残り溝(スリップサイン)
タイヤの溝を見ながら進行方向にぐるっと一周してみると、溝の底に出っ張りがついている箇所があります。その出っ張りは新品の時は底の方にありますが、タイヤが擦り減ってくると出っ張りの先端が顔を出してしまいます。
その出っ張りがスリップサインであり、顔を出した状態が残り溝が1.6mm以下になったというサインです(1.6mm以下は整備不良で法律違反です)。
スリップサインを目安にすれば、簡単にタイヤの残り溝をチェックすることができます。
⑤走行中の異音・振動
数値や目視といった点検方法以外にも、異音や振動が発生していないかを感じる点検方法もあります。
高速道路のような速度を出せる道路で、ある一定速度に達した時に振動を感じた場合は、ホイールバランスが狂っている可能性があります。
走っている時に、タイヤの回転と同じリズムで異音が聞こえる場合には、溝に石が詰まっていたり、タイヤが変形してコブが出来ている可能性があります。
どちらも、あくまでも可能性である為、異音や振動を感じたらまず安全な場所で停車して点検してみましょう。もし原因が分からなかったり、処置が出来ない場合は速やかにロードサービスや整備工場へ持って行く事をオススメします。
⑥タイヤローテーション
自動車の性質上、均等にタイヤの溝が減る事はありません。殆どの車は前後のタイヤで偏って溝が減ってしまいます。そういった場合に、摩耗が早い箇所のタイヤを摩耗が遅いタイヤと交換して、均等に摩耗させる為にローテーションを行います。
基本的に駆動輪・操舵輪は摩耗が早く、FF(フロントエンジン・フロント駆動)であればエンジンの荷重もかかるので、フロントタイヤの方が早く摩耗してしまいます。
FR(フロントエンジンリア駆動)や4WD(4輪駆動)であれば、駆動輪の方が早く擦り減ってしまうので、リアタイヤが早く摩耗しないようにフロントタイヤと交換します。
また、左右によっても摩耗に違いがある場合は、前後だけではなく左右のローテーションも実施します。
ただし、タイヤにロードインデックス(進行方向を示す矢印)がある場合は前後のみ、前後でサイズの違うタイヤを装着している場合は左右のみでしかローテーションは出来ません。
ローテーションのタイミングや時期は、一般的に5,000km~1万kmと言われていますが、車種によって違いがあります。
タイヤの保管方法と預かりサービス
冬用タイヤとの入れ替えや、車外アルミホイールを装着した場合など、タイヤを保管しておきたい場合は、適切に保管しないとタイヤを傷めてしまう事になってしまいます。
ホイールが装着されているタイヤの場合は、タイヤの空気を半分くらいに抜いて横積みで保管します。高温多湿を避けた屋内保管が望ましいですが、屋外で保管する場合は、タイヤカバーで直射日光と雨からタイヤを防ぐ必要があります。
ホイールが装着されていない場合は、横並びで保管しても大丈夫ですが、タイヤラックのように風通しがよく負荷もかかりにくい棚で保管しましょう。
また、タイヤ交換をする店舗では、タイヤを保管してくれるサービスを実施しているケースもあるので、そういった場所であれば適切に保管をしてくれます。
メンテナンスと日常点検でタイヤの寿命を伸ばして安全なカーライフを!
タイヤのメンテナンスと点検をする事で、
- トラブルのリスクを大幅に軽減できる
- 綺麗なタイヤは黒が引き締まってカッコイイ
- タイヤの寿命が伸びる
- 燃費が良くなる
このように、メリットが驚くほど豊富にあります。
ぜひこの機会にタイヤのメンテナンス・点検を習慣にして、これまでよりも安全なカーライフを満喫して下さい!