タイヤを効率よく長く使用するためには、タイヤローテーション(前後左右のタイヤの入れ替え)が必要になります。
タイヤローテーションはやり方と手順さえ覚えてしまえば難しい事はありませんが、注意点や必要な工具があります。間違った方法では作業中に車を壊してしまったり、作業後の走行中にタイヤが外れ事故となってしまう可能性もあります。
そのような事を防ぐために正しいタイヤローテーションのやり方について確認しておきましょう。
タイヤローテーションのやり方
まず、タイヤローテーションのやり方は、自分でやる方法とディーラーなどに頼む方法があります。もちろん、それぞれにメリットとデメリットがありますし、掛かる費用も変わってきますので、詳しく確認していきましょう。
ディーラーやカー用品店に依頼する
ディーラーやカー用品店にタイヤローテーションを依頼する場合にかかる工賃は2,000円前後が相場となっています。
メリットは手間が掛からない事と、各店舗に必ず整備士免許を持っている人がいるので、作業ミスの可能性が少ないことです。反対にデメリットは、工賃が掛かってしまう事です。タイヤローテーションの理想の頻度は5,000kmに一度ですので、その度に工賃が必要になります。
fa-pencil-square-o工賃の詳細は「タイヤローテーション工賃の比較一覧」こちらからも確認することができます。
自分でタイヤローテーションする
タイヤローテーションは自分で行うこともできます。その場合、注意点や手順を知っておく必要があり、工具も揃える必要があります。工具を揃えるための初期投資が必要ですが、一式揃えればその後も長く使用することができるため、毎回ショップなどに依頼することを考えると結果的にはコスパがよくなることもあります。工賃を節約したい方は自分でタイヤローテーションをしてみましょう。
自分で挑戦する場合には、次項からお伝えする内容を必ずチェックして、安全に作業できるようにしておきましょう。
タイヤローテーションに必要な工具
タイヤローテーションには、「油圧ジャッキ」「ウマ」「トルクレンチ」「タイヤスロープ」「十字レンチ」の5つの工具が必要になります。
しかし、初めて工具を購入する場合は分からない事もあると思います。そこで、それぞれの工具のおおよその値段や選び方などをまとめましたので、工具を購入する際は参考にして下さい。
油圧ジャッキ
油圧ジャッキとは、車を持ち上げるために必要な工具です。正式な呼び方はメーカーにより異なりますが、ガレージジャッキやフロアジャッキという呼び方が多いです。価格は10,000~15,000円程度です。
ウマ
ウマとは、油圧ジャッキで車を浮かせた後、車を支えるためのスタンドで、正式な呼び方はリジットラックやジャッキスタンドと呼ばれています。価格は2脚1セットで2,500~5,000円程度となっています。
トルクレンチ
トルクレンチは、ホイールナットを締める際に必要な工具です。ホイールナットは必ず規定トルクで締め付ける必要があり、そのためにはトルクレンチを使います。4,000~10,000円ほどで購入できます。
タイヤスロープ
タイヤスロープは車によっては必要となる工具です。比較的新しい車は車高が低くなっている車が多いため、ジャッキアップポイントまで油圧ジャッキが入らないことがあります。このような時に、タイヤスロープがあれば車高を稼ぐ事ができます。値段は安いもので3,000円程度です。
十字レンチ
十字レンチはホイールナットの取り付け、取り外しをするための工具です。1つあれば様々な車に使用できますし、車載の工具を使用する場合と比べても作業効率がとても良くなります。値段も1,000円程度で購入できますので、自分でタイヤローテーションをする場合は用意しておきましょう。
これらの工具については、「タイヤ交換に必要な工具と詳しい使い方」でもご紹介していますので、こちらもぜひチェックしてください。
タイヤローテーションの方向と注意点
タイヤローテーションはタイヤの前後左右を入れ替える事となります。しかし、駆動方式やタイヤの回転指定などによって入れ替え方がそれぞれ異なりますので注意しましょう。
FF車(前輪駆動)の場合
FF車の場合、フロントタイヤは左右を変えずにそのままリアタイヤ側に履かせます。
リアタイヤは左右を入れ替えフロントタイヤ側に履かせます。
また、FF車はFR車や4WD車と比べ、フロントタイヤが磨耗しやすいため、早めにタイヤローテーションを行う必要があります。
FR車(後輪駆動)や4WDの場合
FR車や4WD車の場合、フロントタイヤは左右を入れ替えリアタイヤ側に履かせます。リアタイヤは左右を入れ替えずにフロントタイヤ側に履かせます。
タイヤの回転方向が指定されている場合
タイヤの回転方向が指定されている場合は、タイヤを左右で入れ替えてしまうと回転方向が逆となってしまうため、左右は入れ替えずにそのまま前後を入れ替えます。
回転方向の指定を守らないで使用してしまうとタイヤ本来の性能を発揮できないどころか、タイヤが偏磨耗してしまうなどの悪影響もありますので注意しましょう。
自分でできるタイヤローテーションの手順
タイヤローテーションには手順があります。そこで、タイヤローテーションの手順をわかりやすくまとめましたので、自分でやってみようと考えている方はチェックしていきましょう。
fa-pencil-square-oまた、「タイヤローテーションをDIYで行う4つのコツ」こちらも確認していただくと、より安全な作業ができるようになるのでおすすめです。
①車を油圧ジャッキで持ち上げ、ウマに載せる
始めにタイヤが地面と設置している状態でホイールナットを少しだけ緩めましょう。車を浮かしてからだとホイールナットが緩まず苦労してしまいます。
ホイールナットを緩めたら車を持ち上げ、ウマに車を載せます。車にはジャッキアップポイントといわれるジャッキを当てる場所が車のフロア下とサイド部分の2つあります。油圧ジャッキを使用する際はフロア下のジャッキアップポイントにジャッキを当て、車を持ち上げましょう。ジャッキアップポイントの場所は車により違いますので、事前に取扱説明書やディーラーなどで確認してください。
両サイドにウマを置いたらゆっくりとジャッキを下ろします。これを前後で行い4輪全てが浮いている状態にします。ウマに車が載ったら、十字レンチなどでウマを叩き動かない事を確認しましょう。これをしておかないと、作業中にウマが外れてしまい車が落下する可能性もあるので必ず行うようにしましょう。
②タイヤローテーションをする
車をウマに載せタイヤが4輪とも浮いた状態になったら、ホイールナットを完全に外しタイヤをローテーションします。
ホイールを入れる際は、基本的にはホイールのスポーク部分ではなくタイヤの外周を持って入れる様にしましょう。ホイールのスポーク部分を持って入れたほうが楽ですが、車によってはスポーク部分と足回りの隙間が少なく、ホイールを入れた際に指を怪我する可能性があるためです。
ホイールが入ったら、ホイールナットを仮締めしていきます。この時、いきなり一箇所のみをきつく締めるのではなく、それぞれのホイールナットを対角線上に3回程度に分けて締めていくようにしましょう。いきなり一箇所のナットをきつく締めてしまうとホイールのセンターがずれてしまい、高速走行をした時に車がばたついてしまったり、ホイールナットが外れてしまうこともあります。
また、仮締めが終わりましたらホイールを揺すってガタがないことを確認しましょう。
③車をウマから下ろし、ホイールナットの本締めをする
ホイールナットの仮締めが終わlるたら、ウマから車を下ろします。ウマから車を下ろす手順は、ウマに車を載せたときの逆になります。
車をウマから下ろしたら、トルクレンチでホイールナットの本締めを行います。締め付けトルクを間違ってしまうと、ホイールが走行中に外れてしまったり、ハブボルトが折れてしまうなどの危険があります。そのため、本締めをする際は、トルクレンチの設定を間違わないようにしましょう。
また、本締めをする際は、ホイールセンターがずれてしまう可能性があるので仮締め同様、対角線上に締め付けてください。
タイヤローテーションに関するQ&A
ここまで、タイヤローテーションに関することをまとめましたが、まだまだ気になる事が沢山あるかと思います。そこで、よくある質問をまとめましたのでご覧ください。
Q.タイヤローテーションにはどんな効果があるの?
タイヤローテーションには、タイヤを均等に減らせる効果があります。
タイヤは、駆動方式によっても減りやすい場所が違います。そのため、タイヤローテーションをせず使用し続けると減りやすい部分の溝が先に無くなってしまうため、タイヤ交換の頻度が早まってしまいます。
タイヤローテーションをするとタイヤを均等に減らせるので、タイヤが長持ちすることになります。
Q.タイヤローテーションを行う時期や頻度はどれくらい?
タイヤローテーションを行う理想の頻度は5,000kmに1回です。FF車の場合は特にフロントタイヤが減りやすいため、早めにローテーションする事でタイヤをより効率的に使用する事ができます。
Q.タイヤローテーションは必要ないとも聞くけど本当?
「タイヤローテーションはしなくとも問題ない」、「工賃を取るために勧めている」という話もありますが、そんな事はありません。
もちろん、工賃が高いお店や極端に安いタイヤを使用している場合は、費用の面で見ると効果が薄くなりますが、それでもタイヤローテーションをした時としなかった時とで比較すると、タイヤローテーションをした時のほうが、タイヤが長持ちするので最終的には安く済みます。
また、タイヤローテーションをしないとタイヤの減りが不均等になり、溝の少ない部分ができてしまいます。このような状態になってしまうと、溝の少ない部分のグリップ性能が低下してしまい危険ですのでタイヤローテーションはするようにしましょう。
Q.カー用品店やディーラーに頼むと工賃はいくらかかる?
カー用品店やディーラーでの工賃の相場は2,000円程度となっています。ディーラーやカー用品店を利用する際はこの金額を参考に安い工賃のお店を探しましょう。詳細は「タイヤローテーション工賃の比較一覧」からご確認ください。
まとめ
タイヤローテーションはディーラーなどに頼んでもそれほど工賃は高くないため、年間走行距離が少ない方はディーラーに頼むのが良いでしょう。
また、家に車が2台以上あり、年間走行距離も多い方は工具を揃えて自分でタイヤローテーションをした方が安く済みますので、ぜひチャレンジしてみましょう。