圧雪路や凍結路(アイスバーン)を安全に走るためには夏タイヤ(ノーマルタイヤ)からスタッドレスタイヤに交換する必要があります。

スタッドレスタイヤは雪道でもスリップすることなく安全に走り、止まれるための工夫が凝らされています。

この記事ではスタッドレスタイヤへの交換を検討する場合に役に立つ情報を詳しく説明します。

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スタッドレスタイヤとは?

スタッドレスタイヤを装着すれば、圧雪路や凍結路(アイスバーン)でも安全に走ることが出来ます。

夏タイヤ(ノーマルタイヤ)で、こうした道路を走るとスリップしてしまう原因は、路面との密着性が得られないからです。スタッドレスタイヤならしっかりと密着してグリップ力を発揮できるように作られています。例えば、タイヤゴムの性質や溝にその性能が隠されています。

降雪地にお住まいの方や、ウィンタースポーツを楽しむために降雪地に行くユーザーには必須のアイテムと言えます。

スタッドレスタイヤの交換方法

では、どのようにしてスタッドレスタイヤに交換すればいいのでしょうか?詳しく確認していきましょう。

交換時期の目安

夏タイヤ(ノーマルタイヤ)からスタッドレスタイヤに交換する時期は、最低気温を目安にしましょう。初雪が降る前でも最低気温がマイナスになると、濡れた路面や橋の上などは凍結しています。

10月に入ったら天気予報で最低気温を確認し、気温がマイナスになりそうな場合は早めに交換するのがおすすめです。

また、4月に入り春が近づいてきたら夏タイヤ(ノーマルタイヤ)に戻すことを考え始めると思います。その際も、最低気温を目安に交換時期を検討すれば悩むことも少なくなります。

地域によっては5月に季節外れの雪が降ることもありますので、週間天気予報などを確認しながら交換時期を判断し、適切なタイヤの選択に活かしましょう。

詳しくは、「【地域別】スタッドレスタイヤの交換時期」こちらで解説されていますのでチェックしておきましょう。

交換できる場所

スタッドレスタイヤに交換する際は、自分で交換するか、交換してくれるショップにお願いするかのどちらかになります。

インターネット通販の人気が高まってきたことによって、タイヤを購入しなくても交換だけしてくれる持ち込み交換対応のタイヤショップやカーショップも増えてきました。自分で交換する時間がなかったり、交換するのが不安な場合はこうしたショップを利用しましょう。

また、タイヤショップやカーショップなどの専門店が近くになくてもガソリンスタンドでも対応してくれるので相談してみて下さい。

自分で交換する方法

自分で交換する際は、スタッドレスタイヤの状態の確認、装着前の準備、装着と装着後の点検が必要です。

保管場所からスタッドレスタイヤを出してきたら、ひび割れや傷がないかを確認します。また、摩耗してプラットホームが現れていないかの確認も重要です。

次に、適正空気圧になるまで空気を充填します。装着する際はジャッキアップする方法や、ホイールナットの締め方に注意しましょう。間違った方法で行うと車を傷つけたり、しっかりとホイールが装着されない可能性もあります。

車両に備え付けの取り扱いマニュアルにて、ジャッキアップする場所やホイールナットの締め方の順番を確認してから作業を行いましょう。

タイヤ交換をしたことがない方は、「【初心者向け】タイヤ交換を自分でやるための安全な方法」こちらの流れに沿って安全に作業してください。

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スタッドレスタイヤの価格

スタッドレスタイヤは滑りやすい路面を安全に走れる工夫が凝らされている分、夏タイヤ(ノーマルタイヤ)よりも価格も高めになっています。その中でも安く購入する方法を紹介します。

購入価格

例えば、プリウスの標準装着サイズである195/65R15サイズでスタッドレスタイヤの相場を確認してみます。

国産スタッドレスタイヤではインターネット通販の場合、1本当たり7,000円から13,000円でした。カーショップ、タイヤショップなどの路面店、実店舗ではこれよりも2割程度高くなっています。

交換・取り付け価格

スタッドレスタイヤに交換する場合は、夏タイヤ(ノーマルタイヤ)からスタッドレスタイヤへの取り付け工賃も必要です。

取り付け工賃は、インターネット通販で購入したタイヤを持ち込んで交換してもらう、タイヤ交換専門店では4本で8,000円から12,000円、実店舗でスタッドレスタイヤを購入して取り付けてもらう場合は、タイヤ価格に追加で4,000円から8,000円程度が一般的です。

スタッドレスタイヤの選び方

スタッドレスタイヤを選ぶ場合は、その車にあったサイズを選ぶことが重要です。合わないサイズのスタッドレスタイヤを装着すると、圧雪路や凍結路(アイスバーン)を走行するのに必要なグリップ力が得られません。

また、ハンドルを切った際にタイヤと車体がこすれたり、スピードメーターの誤差が大きくなって車検に通らなくなります。

サイズの選び方

どのサイズが合っているかは、車のドア内側に貼られたタイヤサイズ毎の適正空気圧シールに書かれています。

カーメーカーは冬道での走行テストを行って車両ごとの適切なタイヤサイズを選択しています。そうして選択されたのが適正空気圧シールに書かれたタイヤサイズです。

基本的には夏タイヤと同じサイズ、規格のスタッドレスタイヤを装着するのがおすすめです。

スタッドレスタイヤのインチダウンについて

スタッドレスタイヤに交換する際にインチダウンされる方もいらっしゃいますが、そのメリットとデメリット、サイズ選択の注意点について確認してみましょう。

インチダウンを行う際のメリットは価格が安くなることと、スリップしにくくなることです。

タイヤは扁平率が高いもの(タイヤが薄いもの)ほど価格も高くなります。インチダウンした場合は扁平率が低く(タイヤが厚い)、タイヤ幅も狭いタイヤが装着可能ですので価格も安くなります。

タイヤ幅が狭くなれば、より狭い面積でタイヤと路面が接触していることになります。このことから結果的に接触している部分の圧力=接地圧が高くなります。接地圧が高くなれば路面により強くタイヤが押し付けられていますので、圧雪路や凍結路(アイスバーン)でスリップしにくくなります。

デメリットとしては、タイヤ幅が狭くなってグリップ力が低くなっているため、乾燥した路面を高速でカーブする際などはスリップしやすくなることです。

また、スポーツカーや、スポーツグレードなどで大きなブレーキが装着されている場合はインチダウンをすると、ホイールとブレーキが接触したり、装着自体が出来ない場合があります。

適正空気圧シールやカーディーラーなどでインチダウンが可能かを確認してから検討しましょう。

メリットとデメリットを確認した上でスタッドレスタイヤのインチダウンを行う際は、タイヤ外径を夏タイヤ(ノーマルタイヤ)と同じにすることが重要です。タイヤ外径が変わると、タイヤが1回転する際に進む距離(タイヤの円周の長さ)が変わるため、それを基にして表示しているスピードメーターの数値も変わってしまいます。この数値の誤差が大きくなると車検に通りませんので注意が必要です。

詳細は、「インチダウンの効果とは?スタッドレスタイヤを変更する5つのメリット」こちらでも解説されていますのでご確認ください。

おすすめのメーカー

では、具体的にどのようなスタッドレスタイヤがおすすめなのか確認してみましょう。

ブリヂストン

BRIDGESTONE(ブリヂストン) スタッドレスタイヤ1本 BLIZZAK(ブリザック) VRX2 195/65R15 91Q T4961914458911

ブリザックのブランド名で、最も多くのユーザーに選ばれているのがブリヂストンのスタッドレスタイヤ、ブリザックシリーズです。

ヨコハマ

YOKOHAMA(ヨコハマタイヤ) スタッドレスタイヤ iceGUARD 6 アイスガード iG60 195/65R15 91Q R2754

ヨコハマのスタッドレスタイヤブランドである、アイスガードもブリザックに匹敵する人気のスタッドレスタイヤです。

ミシュラン

MICHELIN(ミシュラン)スタッドレスタイヤ X-ICE 3 PLUS 225/45R18 95H 新品1本 705410

タイヤの販売本数ではブリヂストンに次いで世界第2位のミシュランのX-ICE(エックスアイス)も輸入車ユーザーを中心に人気のスタッドレスタイヤです。ブリヂストンやヨコハマよりも3割程度安めな価格で手に入れられる点も人気の理由です。

スタッドレスタイヤの寿命

スタッドレスタイヤの寿命はゴムが硬くなってしまった場合と、残り溝が50%以下になってプラットホームが現れた場合で判断します。

ゴムが硬くなると最適な摩擦力や接地力が得られなくなってしまいます。そうすると、新品時よりもスリップしやすくなります。プラットホームが現れた場合も同様です。

耐用年数

スタッドレスタイヤの寿命は3年から5年と言われています。

製造年月日を確認するにはタイヤのサイドウォールに刻印された4桁の数字で判断します。例えば、「2618」などと記載されています。

この数字は上2桁が製造週を、下2桁が製造された西暦年を表しています。上記の例では(1年52週のうちの)26週目、18年(2018年)の、という事になります。このタイヤの場合、たとえ購入したのが2019年でも、製造から3年が経過した2021年には交換も含めて検討するのがおすすめです。

走行距離

溝がすり減るのに最も影響を与えるのは走行距離ですが、夏タイヤ(ノーマルタイヤ)と比べて冬の数ヶ月しか使わないスタッドレスタイヤでは、溝が減ることも少なくなります。

また、圧雪路や凍結路(アイスバーン)は路面の摩擦抵抗も低いのでゴムがすり減りにくくなります。

このようなことからスタッドレスタイヤでは夏タイヤ(サマータイヤ)のように「5,000kmで1.6mm程度、溝が減少」という判断がしにくく、そのため走行距離のみを目安にすることは出来ません。

また、交換が必要な溝の深さも夏タイヤ(サマータイヤ)のスリップサインとは異なり、プラットホームで判断します。プラットホームはタイヤのサイドウォールに刻印された矢印の延長線上に作られています。この延長線上のトレッド面には、溝の間に出っ張りのような部分が存在しています。このプラットホームがタイヤ表面に現れていたら交換時期であるサインとなります。

スタッドレスタイヤで乾燥した路面を走ることの多い方は、溝の深さをプラットホームで確認して下さい。

スタッドレスタイヤの保管方法

スタッドレスタイヤを保管する方法は自宅敷地内や車庫で、というのが一般的でしたが最近人気なのがタイヤ預かりサービスです。

預かりサービス

タイヤ預かりサービスとは、取り外したスタッドレスタイヤを、次のウィンターシーズンまでタイヤショップやカーショップで保管しておいてくれるサービスです。保管場所を自宅敷地内に確保する必要もなく、最適な状態で保管してくれます。保管後にまた装着する際は脱着作業も行ってくれますので、ユーザーの手間を大幅に省くことが出来ます。

保管料金の相場は次のようになります。

  • 月額コース:1ヶ月1,000円〜2,000円
  • 年間契約コース:20,000円〜30,000円

自宅で保管する場合

自宅で保管する場合は、スタッドレスタイヤの空気圧を適正空気圧の半分程度に下げてから、タイヤラック(タイヤ保管専用の棚)かタイヤカバーを利用しましょう。

タイヤカバーを使う場合は、車庫や倉庫内などの平らな場所に横に倒して積み上げましょう。こうすることでタイヤの一点に圧力がかかって変形することを予防できます。

詳細は、「スタッドレスタイヤの正しい保管方法」こちらで確認しておきましょう。

スタッドレスタイヤの性能・必要性

スタッドレスタイヤは圧雪路や凍結路(アイスバーン)でもスリップせずに安全に走れるように多くの工夫が凝らされています。

頻繁に降雪地を走るユーザーの場合は、安全に雪道を走るためにはスタッドレスタイヤの装着が必須となります。

スタッドレスタイヤ交換時の注意点

スタッドレスタイヤに交換する場合には何点か注意すべき点があります。それらについて解説します。

取り付け向き

タイヤの溝の模様(トレッドパターン)によっては、タイヤの回転方向が指定されている場合があります。回転方向はサイドウォールに回転方向を示した矢印が刻印されています。この回転方向が正しくなるように取り付けましょう。

空気圧

空気圧は車のドア内側に貼られたタイヤサイズ毎の適正空気圧シールに記載された数値に調整します。高すぎても低すぎてもタイヤの性能が発揮できなくなります

慣らし・皮むき

新品のスタッドレスタイヤを装着したあとは、雪のない路面を100km程度走行し、タイヤの表面少しだけすり減った状態にします。この慣らし走行を行うことで、タイヤ内部の水をはじく構造が表面に現れます。

車検

インチダウンした車両では、タイヤ外径が適正サイズのタイヤと同じことを確認して下さい。外径が小さくなっても大きくなっても、それがスピードメーターの誤差の原因になります。

誤差が大きくなると車検のスピードメーター試験に通りません。

スタッドレスタイヤを一年中履いているのは危険

スタッドレスタイヤを暖かい季節に使い続けるのは色々なリスクがあります。例えば、燃費が悪化したり高速走行時にバーストやハンドルを取られる危険性が高くなったりします。

スタッドレスタイヤを履き続ければ交換の手間を省けると考えがちですが、冬道以外で一年中使い続けると事故の危険性が高まりますので、適切な時期に夏タイヤ(ノーマルタイヤ)に交換しましょう。

点検・メンテナンス

スタッドレスタイヤの点検・メンテナンスは脱着時には必ず行いましょう。点検のポイントは、

  • プラットホームが現れていないこと
  • 製造年月日からの経過年数
  • 表面に傷やひび割れがないこと

このようなことに注意しましょう。

また、保管前には洗浄して汚れを取り除き、空気圧を落とした後にタイヤカバーを用いるなどして適切に保管して下さい。これらの作業が不安な方は、タイヤ保管サービスの利用も検討してみましょう。

まとめ

スタッドレスタイヤには、雪道を安全に走るためのテクノロジーが多く採用されています。しかし、正しくメンテナンスしたり保管しないと、スタッドレスタイヤの性能が低下してしまう危険性もあります。

雪道を走る可能性がある方は、今回の記事を参考にしながら早めの交換を検討してみて下さい。

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