ランフラットタイヤは、パンクして空気が抜けた状態でも100km程度の距離を時速80km以下で走り続ける事が出来るように作られています。
例えば、パンクした際に停車してタイヤ交換を行うことが危険な高速道路上でも、ランフラットタイヤを装着していれば止まることなく、安全な場所まで移動することができます。また、そのままタイヤ交換を行えるタイヤショップなどに移動することが可能です。そのため、万が一パンクしてしまった時でも慌てることなく対処できます。
ただし、このランフラットタイヤ特有の構造によるデメリットもあります。もしランフラットタイヤに交換を考えている方は、このデメリットも踏まえて選択していただくと良いでしょう。今回の記事で詳しくご紹介していきますので、ぜひチェックしてください。
ランフラットタイヤの5つのデメリット
ランフラットタイヤには主に5つのデメリットがあります。それは、価格が高く、交換作業工賃も今までよりも高くなり、乗り心地が硬くなる可能性があることです。また、ランフラットタイヤに交換したいと思っても、そのタイヤサイズが用意されていないこともあります。
これらの4つのデメリットについて詳しく確認してみましょう。
タイヤの値段が高い
ランフラットタイヤはパンクして空気が抜けた状態でも、完全に潰れることなく、タイヤの形状を保持できるようにタイヤ側面が厚めに作られています。
厚くなったタイヤ側面は、タイヤの形を保つために配置されているナイロンやスチールのベルトも普通のタイヤ(ノーマルタイヤ)よりも多く使うことによって強化されています。
このように、原材料が多く使われている分、価格も高くなっているわけです。ランフラットタイヤは、普通のタイヤ(ノーマルタイヤ)よりも、同じタイヤサイズで比較した場合、およそ1割から2割程度高くなっているようです。
交換工賃が高い
ランフラットタイヤをホイールから脱着する場合は専用の機材が必要になりますので、交換工賃も高めになります。
また、ホイールに組み込む際にも、普通のタイヤ(ノーマルタイヤ)とは異なる技術が必要です。そのため、ランフラットタイヤの交換に対応していない店舗もあります。
対応している場合の工賃は、1本当たり2,000円から5,000円と設定している店舗が多いようです。
サイズバリエーションが限られている
新しいテクノロジーであるランフラットタイヤは、普通のタイヤ(ノーマルタイヤ)と比べてまだまだタイヤサイズのラインナップも限られています。
タイヤ幅では195mm以下、扁平率も55%扁平よりも高い60%扁平などはほとんどラインナップされていませんので、全てのタイヤサイズがランフラットタイヤへの交換に対応しているわけではありません。
現在はタイヤへの負担が大きい、エンジン出力の大きなスポーツカーやスポーティーカー向けが中心となっているため、タイヤ幅も太く、扁平率の低い、薄いタイヤサイズを中心としたラインナップになっています。
乗り心地の変化
タイヤの側面が厚く作られ硬くなっているという事は、乗り心地にも影響します。路面の段差はサスペンションだけではなくタイヤが変形することでも吸収しますが、ランフラットタイヤは普通のタイヤ(ノーマルタイヤ)よりも変形しにくい分、乗り心地がそれまでよりも硬めになりがちです。
新車時にランフラットタイヤが標準装着されている車両では、それにあわせてサスペンションがセッティングされていますので、乗り心地の変化を感じることは少ないかもしれません。しかし、普通のタイヤ(ノーマルタイヤ)からランフラットタイヤに交換した場合は、それまでよりも乗り心地が硬めになったな、と感じる方が多いようです。
ランフラットタイヤの乗り心地が心配な方は、「ランフラットタイヤでも「乗り心地」を損なわないオススメのタイヤとは?」こちらで紹介されているタイヤを検討してみてください。
パンク修理できない場合がある
パンクして空気が抜けた状態でも100km程度は時速80km以下で走行可能なように作られているランフラットタイヤですが、タイヤショップやカーショップに到着してもパンク修理できずタイヤ交換になる場合があります。
パンクした状態でも走行できるように作られているランフラットタイヤですが、タイヤショップなどに到着するまでの間は空気がない状態で、タイヤだけで車の重量を支えていますのでタイヤには大きな負担がかかっています。そのため、タイヤ内部にあるスチールのコードなどが損傷している可能性がありますが、それらはゴムの内部にありますので目で見て確認することはできません。
内部に損傷があると、パンク修理を行っても次にパンクした際は同じように走れるかはわかりません。そのため、ほとんどのタイヤメーカーは、ランフラットタイヤのパンク修理を推奨していません。
つまり、ランフラットタイヤがパンクした場合は新品のランフラットタイヤへの交換が必要になるので、パンク修理よりもコストは高くなります。
そもそもランフラットタイヤの仕組みとは?
ランフラットタイヤとは、パンクして空気が抜けた状態でも一定のスピード(時速80km以下)であれば、100kmほど走れるように作られているタイヤです。パンクしてもすぐにタイヤ交換を行う必要がないため、タイヤショップやカーショップなど、パンク修理が行える場所まで安全に移動することが可能です。その仕組みは、タイヤの側面(サイドウォール)を厚くすることで、空気がない状態でもタイヤが潰れない構造になっているからです。
この仕組みによって、厚く強化したタイヤが硬くなってしまい乗り心地が悪くなると敬遠されていました。しかし、最近は改良が進み、標準装着されている車両も増えています。例えば、レクサスやBMWが積極的にランフラットタイヤ装着車をラインナップするなど、多くのメーカーで採用が進んでいます。
ランフラットタイヤに交換するメリット
サインのランフラットタイヤは性能がよくなっているとはいえ、やはりネガティブなイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。そこで、先にご紹介したデメリットを踏まえた上で、ランフラットタイヤに交換するメリットも考えてみましょう。
パンク時の交通事故を防ぐ
パンクの程度にもよりますが、ハンドル操作が効かなくなることがあります。突然のことでパニックになってしまい、操作を誤って交通事故を引き起こしてしまう危険があります。パンクは頻繁に経験するものではないため、落ち着いて行動できないことはよくあります。
一方でランフラットタイヤならパンクした状態でも一定距離の走行が可能ですので、異変に気付いてからでも慌てることなく安全な場所まで移動して車を止めることができます。
パンク後の二次災害を防ぐ
例えば、高速道路を走行中にパンクしてしまった場合、スペアタイヤに交換する場所を探すのが難しいことがあります。また、高速道路上で車を停車させることは非常に危険です。後続車から追突されてしまったり、作業中には身の危険を感じてしまいます。また、JAFや出張修理業者を呼ぶ場合でも、高速道路上のガードレールの外で待機している必要があるなど高速道路上でのパンクは危険お伴います。
しかし、ランフラットタイヤに交換していれば、こうした危険性を防ぐことができます。
スペアタイヤや応急修理キットが使えなくても安心
万が一パンクして動けなくなってしまった時は、自分でスペアタイヤ に交換したり、応急修理キットで対応する必要がありますが、こうした作業ができない、苦手という方も多いはずです。そんな時でもランフラットタイヤに交換していれば、近くのガソリンスタンドやカー用品店・ディーラーなどに車で移動することができますので、作業を依頼することができます。
もしくは、ロードサービスやJAFを呼ぶこともあると思いますが、瞬時に駆けつけてくれるわけではなく、長時間待たされてしまうこともよくあります。こうしたことも回避することができますので、旅行中や仕事中の貴重な時間を無駄にすることがなくなります。
スペアタイヤや応急修理キットの積載が不要
通常のタイヤが標準装備されている車種の場合、パンクなどに備えてスペアタイヤもしくは応急修理キットが積載されており、そのためのスペースが必要になっています。しかし、ランフラットタイヤに交換することで、これらの積載が不要になり私物などを積むスペースを広げることができます。
例えば、車種によってはトランクの床をめくるとスペアタイヤが積まれていますが、そのスペースに荷物や工具を積んだりして活用することができます。
ランフラットタイヤはこんな人におすすめ!
以上のように、ランフラットタイヤにはデメリットもありますが、万が一のトラブルに備えて安心、安全なタイヤでもあります。また、最近のランフラットタイヤは性能がよくなっていますので、以前まで言われていた乗り心地が悪くなるなどのデメリットも少なくなってきました。
こうしたことを踏まえて、ランフラットタイヤは次のような方におすすめです。インターネット通販を利用すれば、カー用品店やタイヤショップよりも割安で購入することができますので、一度チェックしてみるといいでしょう。
- パンクした時の交通事故、人身事故のリスクを避けたい
- 自分でパンク修理ができない、したくない
- 旅行で遠出することが多い
- 高速道路の利用が多い
- 急なトラブルで時間を取られたくない
また、ランフラットタイヤが標準装着されている車両の場合には、引き続きランフラットタイヤを装着するのがおすすめです。ランフラットタイヤの性能が上がっていることを考えると、通常のタイヤに戻すほうがデメリットがあります。
もし、ランフラットタイヤの価格が高くて迷っているようであれば、「ランフラットタイヤをやめるデメリット」も確認してみてください。
【メーカー別】ランフラットタイヤの見分け方
ランフラットタイヤは、メーカーごとに刻印表記が異なりますので、参考までに一覧表を載せておきます。1例として、ブリヂストンのランフラットタイヤなら「RFT」と表記されています。こちらは「Run-Flat Technology(ラン・フラット・テクノロジー)」の頭文字の略となっています。
ランフラットタイヤの購入検討する際の参考にしてください。
タイヤメーカー |
表記 |
ブリヂストン |
RFT(Run-Flat Technology) |
ダンロップ |
DSST(DUNLOP Self-Supporting Technology) |
ヨコハマ |
ZPS(zero pressure system) |
ミシュラン |
ZP(zero pressure) |