タイヤのひび割れやつや出しに効果があるアイテムといえば、一般的にタイヤワックスの方が有名ですよね? でも今、「タイヤワックスよりも効果が高い」とちまたで人気のアイテムがあるって知っていますか。
そのアイテムこそが、今回取り上げるアーマオールです。アーマオールはタイヤの保護つや出し剤として昔からあるアイテムなので、あなたも一度はカー用品店などで見かけたことがあるはずです。
でもアーマオールの効果や特徴がよく分からない分、「やっぱりタイヤワックスには勝てないはず…」と思ってしまっているのかもしれません。
そこで今回は、タイヤワックスよりも人気があるアーマオールの効果や特徴、種類や選ぶ時のポイントなどをわかりやすく解説していきます。
目次
1. タイヤワックスの代わりにアーマオールが人気の理由
車が好きな人ならば、タイヤに性能だけでなく見た目の良さも求めたいと思うはずです。どんなにボディーをピカピカに仕上げたとしても、タイヤがくすんだ色をしていると残念なカンジがします。
もちろんタイヤは消耗品ですから、「出来るだけ良い状態を保ちつつ見た目の美しさも手に入れたい」というのが本音なはずです。そんな時に使う定番のアイテムが、タイヤワックスです。
でも「タイヤワックスを使うと劣化の原因になる」なんて話もよく耳にします。もしその話が本当なら、せっかくタイヤワックスでピカピカになったとしてもタイヤそのものがダメになっていくということですよね?
その点アーマオールはタイヤワックスと同じ効果が期待できるうえに、タイヤへの影響もありません。でも「ロングヒットし続けている王道のつや出し剤」ということもあって、アーマオールに関する商品の特徴やその効果などの情報があまり知られていません。
そこで今回は「今さら人には聞けないアーマオールの人気の秘密」を、商品の特徴や効果、種類などとともにわかりやすく解説していきます。
1-1. タイヤワックスのデメリット
タイヤワックスは、タイヤの表面にシリコンが溶かしてあるワックスでコーティングすることによって新品のようなツヤと光沢が蘇るのが特徴です。
ワックスによってはつや出し効果だけでなくタイヤの保護成分を配合したものなどもあるため、タイヤの劣化防止として使う人も多いです。でもタイヤワックスにはデメリットもあります。
最も大きなデメリットとしては、「タイヤワックスの選び方次第で、効果が出るどころかタイヤの劣化を早める原因になってしまう」ということでしょう。タイヤワックスには油性タイプと水性タイプがありますが、特にタイヤの劣化の原因として注意が必要なのが「油性タイプのワックス」です。水性タイプは効果が短いのですが、その分タイヤへのダメージは少ないです。
これに対して油性タイプの場合は、石油系溶剤にシリコンを溶かして作っています。そのため水に強く耐久性もあります。ただしワックスに使用されているのが石油性溶剤なので、タイヤの表面だけでなくゴムの中にまでジワジワと成分が染み込んでいきます。
もともとゴム製品は劣化しやすいため、タイヤメーカーも劣化防止のための保護成分をきちんと配合してタイヤを作っています。ところが石油系溶剤そのものがゴムの組織にダメージを与えていくため、本来のタイヤ保護成分の効果が無くなってしまいます。
そのため結果としてタイヤの劣化につながります。もちろんこのようなタイヤ劣化を防ぐための保護成分を含んだタイヤワックスもありますが、ゴムにダメージを与える石油系溶剤が含まれていれば劣化の根本原因は解決しません。
これがタイヤワックスのデメリットといわれています。
1-2. アーマオールの特徴と効果
アーマオールは、日本だけでなく世界でも広く人気があるタイヤのつや出し剤です。
アーマオールはタイヤのメンテナンスだけでなくプラスチック製品やビニールレザーにも使えるため、ダッシュボードやレザーの内張りなどの車内のメンテナンスもこれ1本で出来てしまいます。これこそがアーマオールの最大の特徴なのですが、それだけが人気の秘密ではありません。
まず注目しておきたいのは、アーマオールの液性が中性であるということです。
タイヤワックスのことを思い出してください。タイヤワックスでは、水性タイプと油性タイプの2種類あり、それぞれにメリット・デメリットがありました。ところがアーマオールは、そのどちらでもない「中性タイプ」なのです。もちろん主成分にはシリコンが含まれていますが、乳化剤も含まれているため少量でもスーッと伸びます。
タイヤに負担がない上にとっても経済的ということですから、長くユーザーから愛されるのは当然です。
サッと吹き付けるだけで簡単に紫外線などをシャットアウトできる
タイヤの劣化は、様々な条件で起こります。中でもタイヤの側面(そばに立った時によく見える部分)は、タイヤ全体の中で最も多くの紫外線やオゾンにさらされます。そのためタイヤの側面は、ひび割れや紫外線による日焼けを起こしやすい部分です。
このようなタイヤの劣化の原因である紫外線やオゾンをシャットアウトし、タイヤの劣化を抑えてくれる効果があるのがアーマオールです。
でも問題は、塗る手間ですよね?実はアーマオールはこの点もきちんとクリアしているのが人気の理由なのです。気になった時にサッと吹き付けるだけで、紫外線などタイヤの劣化の原因となる物をシャットアウトしてくれます。たったこれだけでタイヤの性能やツヤが保てるのであれば、タイヤのお手入れも楽しくなるはずです。
2. タイヤワックスよりアーマオールの方が効果的?「使い方」には要注意!
タイヤワックスよりもタイヤに対するダメージが少ないだけでなく、タイヤ以外の部分にも使うことが出来るのがアーマオール最大の魅力です。たしかにこの説明だけでも「さすが王道のつや出し剤といわれるだけあるな!」と思うはずです。
でもオールマイティーに使える王道のつや出し剤アーマオールも、使い方次第で逆効果になってしまうことがあります。
2-1. アーマオールでタイヤがひび割れ!?
タイヤにストレスをかける石油系溶剤が使われていないアーマオールでも、ネットなどでは「塗るとタイヤがひび割れを起こす」というコメントが時々見られます。確かにこのコメントの主が言いたいことに一理はあります。
そもそも車のタイヤはゴム製品ですから、時間が経てば劣化していくのは当然です。そのためタイヤメーカーとしても、ゴムの劣化をできるだけ抑えるための保護成分を入れています。こうしたタイヤの保護成分は、自然にタイヤの表面に染み出るように設計されているため、何も表面に塗られていなければ本来の効果を発揮します。
つまりいくらゴムにストレスがかからないアーマオールであっても、タイヤの表面をコーティングする以上、タイヤ本来が持つ保護成分がタイヤの内部に閉じ込められてしまうことになります。
これが「アーマオールを使うとタイヤのひび割れが起こる」というコメントにつながります。
2-2. アーマオールが逆効果だった例
アーマオールは、タイヤ以外の部分にも使うことが出来るのが魅力です。しかもアーマオールを吹き付けた布でサッとひと拭きするだけで、驚くほどピッカピカになります。
アーマオールはプラスチック製品にも使えるわけですから、「これだけピカピカになるなら、バンパーやダッシュボードにも!」と思うはずです。でもこれこそが、代表的なアーマオールの間違った使い方です。
ダッシュボードなどは、あえてつや消し加工をしていることがあります。これは、フロント部分から車内に入り込む日差しの照り返しを抑えるためにワザとしています。でもピカピカになったダッシュボードは光を反射させてしまうので、照り返しを抑えるどころかさらに照り返しが酷くなってしまいます。
しかもつや出し効果が持続するのがアーマオールですので、「しまった!やり過ぎた!」と思って慌てて拭き取ろうとしてもムダです。自然にアーマオールの効果が落ちていくのを待つしかありません。
2-3. アーマオールのおすすめの使い方
アーマオールはサッと塗るだけでビックリするほどタイヤがツヤツヤしてきます。液体タイプなのですが乳化剤を使っているので、実際に中身を見てみると少しとろみがあることが分かります。
もちろんアーマオイルはスプレータイプなのですが、このとろみがあるからこそ注意が必要なのです。
タイヤの汚れをしっかり落としてから使うのがおすすめ
アーマオールには洗浄成分が含まれているので、タイヤの汚れ落としとしても使えます。でも「つや出し」と「タイヤの劣化防止」の2つの効果を出来るだけ長く保ちたいのなら、塗る前にしっかりとタイヤの汚れを落としてから塗るのがポイントです。
必ず布やスポンジに吹き付けてから使う
アーマオールはスプレータイプなので、「直接吹き付ければ手も汚れなくて一石二鳥」と思うかもしれません。ただしこれは、アーマオールの使い方としてはNGパターンです。
何しろ少しの量で驚くほど伸びますので、ツヤを出したくない部分に間違ってついてしまうと大変なことが起こります。さらに塗りムラが出来てしまえば、せっかくのつや感も思った通りにはならないでしょう。
ですからタイヤの表面をムラなくコーティングするためには、面倒でも布やスポンジなどにアーマオールを付けてから塗るのがポイントです。
最後は必ず乾拭きする
アーマオールの効果をすぐに実感したいのなら、塗った後に必ず乾拭きをすることが大切です。このひと手間を加えることによって、アーマオールの驚きの効果を実感することが出来ます。
3. アーマオールの種類と選び方
1-1. ピッカピカなつやが欲しい!【プロテクタント】
「タイヤの劣化も防止したいが、何よりもつやが欲しい!」という人におすすめなのが、プロテクタントです。とにかくサッとひと塗りするだけで、驚くほどのつやが出てきます。
プロテクタントにもいくつか種類があります。日頃のメンテナンスに便利なプロテクト500mlが最もオーソドックスなタイプなのですが、長期的なコストをできるだけ抑えたい場合は業務用のプロテクタント3.8ℓがおすすめです。
また「つやが気になった時にすぐに使いたい」という人には、コンパクトなプロテクタントミニもあります。
いずれのタイプも微香性なので、「タイヤワックスのような独特の臭いが気になる」という人にもおすすめです。
1-2. つやよりもタイヤの劣化を重視したい!【プロテクタント マットフィニッシュ】
「不自然なつやよりもタイヤ劣化を防止するために使いたい」という人におすすめなのが、つや消しタイプのプロテクタント マットフィニッシュです。
紫外線やオゾンによるタイヤへのダメージを跳ね返してくれるので、日焼けや紫外線によるタイヤのひび割れをしっかりとガードしてくれます。しかもつや消しタイプなので、「プロテクタントの不自然なつやは要らない!」という人におすすめです。
4. タイヤワックスがわりにアーマオールを使う効果と注意点まとめ
タイヤワックスの代わりにアーマオールが人気なのは、「ゴムに対するストレスが極力抑えられている」「タイヤ以外にも使える」「ビックリするほどピカピカになる」の3つの秘密が隠されているからです。
ただしアーマオールも、使い方次第で逆効果になってしまうことがあります。さらに強いコーティング効果があるため、ハンドルやペダルなどに使うと滑ってしまい危険です。
つまり「オールマイティーとはいえ、使ってはいけない部分もある」ということは十分に理解しておいてください。これさえ理解しておけば「タイヤワックスよりも断然アーマオールの方がお得だ!」と思えるはずです。