ここではタイヤがぬかるみにハマってしまった時の脱出方法を詳しくご紹介していますので、確認しながら作業してみてください。まずは一度深呼吸をして、慌てず、焦らず、安全に脱出を試みましょう。
1. タイヤがぬかるみにハマった!?緊急時に試したい脱出方法
1-1. 車の前後進を繰り返し、揺さぶった反動で出ることを試みる
まず、空転しない様にアクセルに注意を払いながら前進、後退を繰り返し、車両を前後に揺さぶるようにしてみましょう。その反動でぬかるみから出られることがあります。
この時、注意しなければならないのが空転を繰り返さないことです。余計にぬかるみを深くしてしまい脱出が困難になってしまいます。
もし、この方法で出られない場合は他の方法を試してください。無理に繰り返すと車の故障にもつながってしまいますので気をつけましょう。
1-2. 近くに人がいれば手伝ってもらい押してもらう
人の力で押してもらうことができれば大きな助けになります。もし周りに人がいれば、押してもらえるように頼んでみましょう。
この時、車の機動力と人の押す力を最大限に活かすためにドライバーは窓を開け、アクセルを踏む瞬間と人が力を入れる瞬間を同期させるために声を掛け合うことが大切です。また、押す人は車両に力をかけ易い位置を選びましょう。例えば、バンパーを押したり窓ガラスを下げて手が引っかかるようにしてみるといいでしょう。
1-3. タイヤの前後に、周りで調達できるものを入れてみる
ぬかるみにハマったタイヤの前後の隙間に木片・石・ブロック・タオル等をいれてみましょう。脱出できる場合があります。
1-4. ジャッキアップをしてタイヤの下にものを入れる
ジャッキアップができる状態であれば、ジャッキアップをしてタイヤの下に石、木材等を入れてぬかるみの深さを浅くして脱出を試みてみましょう。ジャッキ自体がぬかるみで安定しない状況であれば、丈夫な板やブロックを置いて、ジャッキが車両重量に耐えて安定するようにします。
1-5. タイヤ自体に突起を設ける
タイヤ上部に木片を乗せ、ロープをホイールの穴に通して木片を固定し、ゆっくり動かしてみる方法もあります。木片がキャタピラーの役目を果たして、ぬかるに対して車量重量が分散されて脱出しやすくなります。
1-6. 近くに他の車があればロープで引っ張ってもらう
人の力では脱出できない場合、近くに車両とその持ち主がいたら、牽引してもらうことをお願いしてみましょう。
牽引手順
- 搭載付属工具の中の牽引ボルトを取り出す
- バンパー左右にあるキャップを確認する
- キャップをマイナスドライバー等で外す
- 牽引ボルトを取り付ける
- 牽引ロープをかける
フック式の車両の場合
- バンパー下部の牽引用フックを確認する
- 牽引ロープをかける
2. タイヤがぬかるみにハマった時にやってはいけない2つのこと
2-1. ハンドルを切らない
ハンドルを切ると余計に進行方向への抵抗が高まり脱出しにくくなりますので直進状態にしましょう。
2-2. 空転をさせない
空回りをさせると土を掘り起こしてしまうので、タイヤが余計に深く入ってしまい脱出が困難になり、最悪車両の腹まで道路に乗ってしまいます。
3. タイヤがぬかるみから出られない場合の解決策
3-1. JAFを呼ぶ
上記の方法ではぬかるみから脱出できない場合、JAFに連絡して引き上げてもらいましょう。JAFに加盟しているのと、いないのでは料金が異なりますので連絡時に確認するといいでしょう。
JAFに加盟している方の連絡方法は、会員証及び適用規約が発行されていますので、常に携帯しておきましょう。
JAFへ連絡前に確認しておくこと
- 対象車の現在地
- 車名、登録ナンバー
- 車体の色
- ご依頼内容
- JAF会員証の有無
- JAF会員番号
JAFロードサービスへの連絡方法
TEL:0570-00-8139
3-2. 保険会社に連絡する
任意保険に加入している場合、保険会社に連絡してレッカー車を手配してもらえるかもしれません。ただし、保険の契約内容により別途料金が発生することもあります。常にグローボックス内に保険証書を入れておけば、いつでも確認ができ、分からないことは電話で対応してくれます。
4. タイヤがぬかるみにハマる原因と予防策
4-1. 原因
ぬかるんだところにタイヤが乗ると摩擦抵抗が無く、空回りしてしまうことがぬかるみから出られなくなる原因です。これは、雪の上でも氷の上でも同様です。
駆動輪側には、車が曲がるときに発生する内輪と外輪の回転差を吸収するためにデファレンシャルギヤーを介していますが、ぬかるみにはまった時には、このデファレンシャルギヤ―が不利な条件に働いてしまうのです。
左右両輪ともぬかるみにはまった時は別として、殆んどの場合、どちらか片方は摩擦のある路面に接地していることが多いので、こちらに駆動力が伝われば推進力を得られるのですが、このデファレンシャルギヤ―の働きでスタックしていない側のタイヤへは駆動力が伝わらず、摩擦抵抗の無いぬかるんでいる側のタイヤに駆動力が逃げてしまうのです。そのため、脱出しようとしてアクセルを踏み込むと、ぬかるんでいる側のみ空転して増々状況を悪化させることになります。
4-2. 予防策
まず私たちが考えなければならない予防策は、なんといってもぬかるんでいるところには乗り入れないことです。やむなくぬかるんでいるところに進入しなければならないときは、駆動力ではなくて、進入前からの車の速さの慣性で通過できる程度のぬかるみかどうかを判断することではないでしょうか。
ぬかるみ深さの目安として、タイヤの厚み分が限度でしょう。ホイールまでぬかるみにハマるような深さの場合は、ハマってしまうと脱出が難しくなってきます。
5. 備えて安心!タイヤのぬかるみからの脱出ツール
もしもの時の為に、ぬかるみ脱出を助けてくれるツールがありますので、これらを準備しておくこともいいでしょう。
5-1. スタックラダー
タイヤとぬかるみの間に差し込んでから車を前進させる事により、ラダーに乗り上げることができれば、ぬかるみから脱出することができます。ラダーがゴム製なので凸凹のいろいろな条件に適応できます。専用ケース付で比較的コンパクトですので携帯にも便利です。
5-2. スタックステップ
原理は先ほどのスタックラダーと同じですが、材質が異なります。また、折りたたみ式で軽量ですのでより車に積んでいても邪魔にならないでしょう。
5-3. スタックヘルパー
こちらも原理は同じです。軽量で小型車に向いています。
5-4. タイヤチェーン
深いぬかるみでなければ、スノータイヤチェーンを部分的に掛けて使えば、脱出の助けになります。
5-5. その他
麻製南京袋、ござ、厚目の丈夫な板、角材等があれば代用になります。
6. まとめ
愛車でぬかるみにはまることは、いろいろな面で代償が大きいものです。楽しいはずの行楽の時間を奪われて楽しさが半減したり、お仕事であれば、お客様や業務に悪影響を及ぼすこともあるでしょう。心身ともに疲れますし、ましてや車にダメージを与えては経済的にも負担になります。
でも、これは注意さえしておけば事前に防止できることです。また、そういう可能性のある所に行く場合は、それに見合った装備と道具の用意をしておくことで回避できるのが、タイヤのぬかるみでのスタックではないでしょうか。