寿命をむかえたタイヤは交換する必要があります。交換しないで走行することは安全面で色々な問題が生じます。
今回の記事ではタイヤの交換時期を検討する上で必要となる、タイヤの寿命の調べ方を解説します。記事を参考に交換時期の参考にしてみて下さい。
タイヤ交換のタイミングはいつ?
タイヤ交換のタイミングは「そのタイヤが寿命を迎えたとき」です。ただし、寿命は具体的な交換推奨日時がどこかに書かれているわけではありません。タイヤ寿命の判断は
- タイヤの溝の深さ
- 耐用年数
- タイヤの傷
この3点で判断しましょう。
タイヤの溝が浅くなっていると雨天時の排水性が低下しスリップしやすくなります。耐用年数を超えたタイヤはヒビ割れが発生したり、溝が残っていてもゴムが硬くなったりして所定の性能を満たしていません。また、縁石などでこすってタイヤサイドに傷がついた場合はパンクやバーストの危険性が高まります。
これらのタイヤ交換のタイミングは、「スリップサインでタイヤの溝の深さは十分か確認する」、「耐用年数を製造年月から確認する」、「目視によって表面の傷などを確認する」ことで判断することが可能です。
タイヤの交換時期が遅れると危険な理由
安全性能の低下による事故やパンクの可能性が増加する
交換時期をむかえたタイヤで走行することで最も注意する必要があるのが安全性能の低下です。
タイヤの溝の深さは雨天走行時の排水性に影響を及ぼします。溝が浅くなって交換時期をむかえたタイヤで走行することは、スリップする可能性が高くなったりブレーキング時の制動距離の延長にも繋がります。
タイヤには性能を維持できる期間である耐用年数もあります。タイヤのゴムは使用していなくても硬くなるなど劣化し、ひどい場合はヒビ割れを生じることもあります。こうしたタイヤで高速走行を行うと走行中のバースト(破裂)の危険もあります。徐々に空気が抜けていくパンクと異なり、バーストを起こすと一瞬でタイヤ内の空気が失われますので、場合によってはハンドルが取られて側壁に接触するなど大事故にも繋がります。
車検に通らない
車検の際にもタイヤの状態が検査項目に入っています。タイヤの溝が浅くなり、スリップサインの出ているタイヤでは車検にも通りません。
また、溝の深さだけではなく内側だけが極端に減っているような偏摩耗状態や、大きなヒビがある場合にも車検に通らない場合があります。
快適性能の低下
溝が十分にあるタイヤなら道路表面の小さな凹凸をタイヤの表面(ブロック)のゴムが変形することである程度吸収してくれます。そのため、乗り心地も快適になります。
しかし、溝が浅くなってきたタイヤでは、細かい振動がステアリングを通じて感じるようになるなどの症状が現れ、快適性能も低下してしまいます。
タイヤの交換時期の目安
寿命をむかえたタイヤ交換の必要性はご理解いただいたと思います。ここではタイヤ交換を検討する時期についておおよその目安を解説します。
タイヤの溝の深さ
一般的な新品タイヤの溝の深さは約8mmです。この溝は走行することによっておおよそ5,000kmで1mmずつ減っていくといわれています。タイヤ交換の目安となるスリップサインは残りの溝の深さが1.6mmで現れるようになっていますので、以下のように逆算すると約3万キロ走行したタイヤは交換時期に近づいていると判断することができます。
- 8mm-1.6mm=6.4mm
- 6.4mm×5,000km=32,000km
ただし、ゴムの柔らかいハイグリップのスポーツタイヤや、ユーザーの運転の仕方によってはこれよりも早く交換時期をむかえることもありますので日常の点検による確認が重要です。
タイヤの寿命・耐用年数
タイヤのゴムが性能を維持できる耐用年数は、4年から5年と言われています。この年数を超えたタイヤはゴムが硬くなってしまい、走行中の段差による変形を吸収できずヒビ割れなどの劣化が生じる可能性が高くなります。
タイヤの耐用年数は製造年月から確認できます。タイヤのサイド部やメーカー名が書いてある内側などに「4218」などと記載されています。この場合は「42週目、2018年」を表しています。ユーザー自身で確認するのが不安な場合はタイヤショップやディーラーにお願いして確認してもらうことも出来ます。
タイヤの磨耗
スリップサインも出ておらず、まだ使えそうに見える場合でも偏摩耗によって交換が必要な場合もあります。偏摩耗とは、空気圧の過不足や運転の仕方によって、タイヤが部分的にすり減ってしまった状態を言います。また、前後のタイヤを入れ替えるタイヤローテーションを行なっていない場合も偏摩耗している可能性があります。
この偏摩耗したタイヤでは、ハンドルをとられるなどの安全性能にも影響が出てしまいますので交換が必要な場合があります。
タイヤ交換時期の目安については、こちらの「タイヤ交換時期は3つの目安をチェック!」でより詳細に解説されていますので、無駄な出費をしたくないという方は、ぜひチェックしておきましょう。
スリップサイン(タイヤ溝の深さ)の見方
スリップサインとは
スリップサインとは、タイヤの摩耗を確認するために直線的な溝(ストレートグルーブ)に設置されている目印のことです。この目印が現れた時は、タイヤ溝の摩耗による使用限度となり法律で規制されているため車検も通りません。
スリップサインの見方
スリップサインはタイヤの残り溝の深さが1.6mmで現れるようになっています。ハンドルを真っ直ぐにした状態では接地面(トレッド)が視認しにくいので、駐車した状態でハンドルを左右どちらかに切るなどしてフロントタイヤを確認します。リアタイヤも見づらいですが、明るい場所で覗き込むなどしてよく確認してみて下さい。
直線的な溝(ストレートグルーブ)を観察すると、溝の中に幅8mm程度で横一線に並んでいるブロック状のゴムが4から9カ所あるのが確認できます。このブロック状のゴムがスリップサインです。
ここと接地面(トレッド)に段差があれば問題ありませんが、段差がかなり少ない、段差がなく既に接地面(トレッド)と同一になっている場合は交換が必要な状態になります。
スリップサインを見逃してしまうと思わぬ事故を起こしてしまったり、車検前に慌ててタイヤ交換するはめになり無駄な出費になってしまう可能性もあります。「タイヤのスリップサインや溝の深さを確認する方法」ではより詳細な情報をお伝えしていますので、今まで気にしたことがなかった方や初めて聞いたという方は、ぜひ確認しておくようにしましょう。
タイヤの寿命を伸ばす「タイヤローテーション」とは?
フロントとリアタイヤを入れ替えるのがタイヤローテーションです。タイヤの溝はフロントとリアで減り方が異なります。約5,000キロを走行するごとに溝の減り具合を確認してみましょう。フロントとリアで溝の減り方に違いがあったらフロントに装着していたタイヤをリアへ、リアに装着していたタイヤをフロントへと交換します。
このタイヤローテーションを行うことで、4本のタイヤの溝が均等に減っていくようにします。4本のタイヤで減り具合が異なると直進安定性が悪くなるだけではなく、タイヤの寿命を縮めてしまうことになりますので、車の維持費用の負担を減らすためにも大切な作業です。
また、溝の減ったタイヤだけを交換するのはおすすめしません。例えば、銘柄の異なるタイヤに交換してしまうと、タイヤ毎の特徴が異なりますのでバランスが悪くなります。また、同じ銘柄に交換しようとしても、タイヤの耐用年数である4〜5年を経過すると同じタイヤが販売されていないこともあります。
そのため、タイヤ交換は4本同時に新品に交換するのが安心です。タイヤローテーションを行い、4本の溝が同じように減っていくことが結果的にタイヤの寿命を伸ばすことに繋がります。
こちらの「タイヤローテーションのやり方【保存版】」では、具体的な方法をご紹介していますので、こちらもぜひ確認しておきましょう。
タイヤは日常点検・メンテナンスが重要
タイヤの交換時期の確認方法や劣化についてこれまで説明してきました。タイヤは走行距離や運転の仕方に応じて摩耗していき溝が浅くなってきます。
また、その減り具合も全てのタイヤが同じように減るわけではなく、前後や左右でも異なっていたり、1本のタイヤの内側と外側でも減り具合が異なってくる場合があります。
タイヤの溝は安全に走行する上で重要であり、快適性にも影響します。そのため、給油の際に空気圧を確認すると同時に、スリップサインや偏摩耗していないかを点検しておくことが重要です。
タイヤの交換時期がきたら早めの対応を!
タイヤ交換時期は「タイヤの溝の深さ」、「耐用年数」、「タイヤの傷」が適正な範囲を超えてしまった時です。タイヤの状態は雨天時の排水性能、耐スリップ性能、停車時の制動距離など安全に車を走らせる上で多くの部分に影響を与えますので、日常的な点検が重要になってきます。
また、交換時期に近づくにつれてロードノイズや乗り心地などの快適性も低下してきます。車の性能もタイヤの性能も年々高まってきているため、タイヤの劣化に気づきにくくもなってきています。
しかしながら、スリップサインが現れて新品タイヤに交換してみたら驚くほど静かになったり、水たまりを通過した際のハンドリングが安定したような気がする、と変化を体感したユーザーの声も多く聞かれます。
タイヤは寿命のある消耗品と考え、日常的な点検と、寿命が来たら交換する必要があることを是非認識して頂ければと思います。